「成せば為る」はシシド・カフカ(ししど・かふか)さんの座右の銘です。

シシド・カフカさんは本名は非公表。1985年メキシコ生まれ。アルゼンチンで中学時代を過ごし、14歳でドラムを始め、18歳でプロのアーティストとして活動。数々のバンドでドラマーとして経験を重ねて、ドラムボーカルとしての才能を開花させる。20125月の「デイドリームライダー」で配信デビュー。同9月日「愛する覚悟」でメジャーデビュー。PVは刺激的で斬新な作品になっている。ビートきかせた才色兼備 パワフルにドラム操る美人ミュージシャンとして知られる。
                                                  (シシド・カフカさん)

イメージ 1ビートきかせた才色兼備 パワフルにドラム操る美人ミュージシャン

美女は裸足になり、長い髪を揺らしながらパワフルにドラムを操った。彼女のDVDを何本か見た。歌力(ぢから)がある。飛び散る汗が、ほどよいエロスの香りを漂わせる。すべてが格好いい。美は売りではなく、実力あるミュージシャンがたまたま美人だった。
 会ってみた。長い髪が風光に映え、揺れる。スラリと伸びた手足、思わず吸い込まれそうになった目の輝き。ソフィスケート・ビューティー(洗練された美)だ。「ハーフ? っていわれるけど日本人ですよ」
 一躍有名にしたのが菓子メーカーのCF。ドラムをたたきながら、プリプリプリッツ、ハラペコ~、ってやるシーン。誰やって。
 「ですよね。話をいただいた時にえっ、何のこと?って。だって、CMなんて縁がないと思ってましたから。おかげで顔や名前、ドラムをたたいて歌うということも含めていろんな方に知っていただきました」
 貴重な体験もした。撮影はチェコの首都・プラハ。世界遺産であるストラホフ修道院。何百年前の古書が並んだ未公開ゾーンで「書棚の鎖を外して、古書を見せていただいた。普段は絶対にない。感動でした」。美人は得なんです。
 ン? チェコといえば。「そうなんです。芸名のカフカって、チェコ語でカラスという意味なんです。縁がありますよね。私がいつも黒い服を着ていて、付けていただいたんです。超お気に入りです」
 作家のフランツ・カフカはチェコ出身。村上春樹の小説で『海辺のカフカ』もあるが、「そう思われる方、多いです。けど私、全く文学的じゃあないです」。そんなの気にしない。だけど、何でまたドラムなの。
 
「10歳の頃、音楽番組を見ていて、あるバンドが1曲演奏する中でドラムの人が一度も映らなかった。テレビに出ているのに、映らないという絶妙の立ち位置にときめいた。その頃、感じ始めていた目立ちたいけど、目立てないというジレンマ。性格が似てる所にひかれたんですかね」 
 キリスト教系の学校に通い、聖歌隊でいつも歌っていた。電子オルガンはすぐ飽きた。バイオリンは5歳から7年間続いたが。父親の仕事でアルゼンチンに住んでいた14歳の時、両親にドラムをおねだり。ハマッた。
 ロック、Jポップ、レゲエジャンルを超えてたたいた。ボーカルが歌いたい曲は、何でもやった。バンドも組んだ。呼ばれれば、掛け持ちもした。腕は磨かれた。縁の下の力持ちであるドラムが、脚光を浴びるのに時間はかからなかった。
 先月22日に発売されたシングル『キケンなふたり』はドラマ「ダブルス~二人の刑事」(テレビ朝日系)の主題歌に抜擢(ばってき)された。ビートがきいた疾走感抜群のサウンドは耳心地がいい。ヤング層向きか。いえいえ、おじさんにも十分楽しめます。よ~く聴くと山口百恵っぽい歌唱
 「えっ、うれしい 百恵さんの大ファンなんです。よくものまねして歌ってます。昭和歌謡は耳心地が良く、好きですね。歌詞を書き始めるようになって、昭和歌謡の詞の世界っていい意味で生々しいものだったり、いい意味で含ませる世界がある。自分の中ではとても新しくって
 今年4月から「オールナイトニッポン0」(ニッポン放送)水曜パーソナリティー、「堂本兄弟」(フジテレビ系)のバンドメンバーとしても出演中。
 「これまで顔とドラムをたたく人と楽曲がだったのが、いろんな所に出させていただき、それらがになってきた。いろんな経験を音楽に還元して、その線を太くしていきたい」
 モデルもこなし、書の達人でもある。イラストは米国の高級百貨店バーニーズニューヨークのチラシのデザインも手がけた。目が離せない美人、才女、いやアーティストである。

ZAKZAK 201365日)
  
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