「失敗は成功の元、成功におごらない」はチューリッヒ生命日本代表兼最高経営責任者の太田 健自(おおた・けんじ)さんの座右の銘です。
「昔、ベンチャー事業で成功し、大富豪になった人の招待を受け、大豪邸に行ったことがあります。すごい豪邸でした。しかし、15年前、その富豪の会社は救済で買収されてしまった。それを見て思ったのは成功は失敗の元であり、失敗は成功の元。失敗をよく見、よく研究すれば、必ずそこに成功の元が潜んでいるはずです」
太田健自さんは、1963年東京都生まれ。米スタンフォード大学大学院、経営修士課程(MBA)修了。ソニー、ジェミニ・コンサルティング・ジャパン、AIGライフ部門、同イースト・アジア・ホールディングス等の役員を経て、2009年、アメリカン・ライフ・インシュアランス・カンパニー日本支社(現メットライフ・アリコ生命保険)のプロダクト&サービス担当専務執行役員。2012年から現職。
(太田健自さん)
専門家そろえ新商品開発 “100日計画”で戦略構築
太田健自さんは、1963年東京都生まれ。米スタンフォード大学大学院、経営修士課程(MBA)修了。ソニー、ジェミニ・コンサルティング・ジャパン、AIGライフ部門、同イースト・アジア・ホールディングス等の役員を経て、2009年、アメリカン・ライフ・インシュアランス・カンパニー日本支社(現メットライフ・アリコ生命保険)のプロダクト&サービス担当専務執行役員。2012年から現職。
(太田健自さん)
専門家そろえ新商品開発 “100日計画”で戦略構築
スイス・チューリッヒに本部をもつ世界有数の保険グループで、1996年に日本での生保事業をスタートさせたチューリッヒ生命。慣れない日本で苦戦を余儀なくされてきたが、一昨年、米系生保で活躍し、実績をもつ太田健自氏を獲得、“新生チューリッヒ”として反撃を始めた。次々と繰り出される新しいコンセプトの商品。業界に旋風を巻き起こしつつある。
--2012年の1月、スカウトされてチューリッヒ生命に入りました。まず行ったことは
「決算も赤字続き、新商品も07年が最後で、販売方法もテレマーケティングが中心でした。当時、電話を通じての保険加入手法は効果が薄れつつあり、お客さまへの新しいアプローチ手法が求められていました」
--そこで実行した手法は
「販売チャネルの拡大と新商品の開発です。13年に2つの新しい商品を出しました。1つが6月に出した『終身医療保険プレミアム』、もう1つが12月に発売した『定期保険プレミアム』です。前者は、長期化しがちなストレス性の病気に対する保障を手厚くした終身医療保険で、胃潰瘍や精神疾患などのストレス性の病気に伴う入院を最長1年まで保障します」
「もう1つの『定期保険プレミアム』は、健康な人を応援する保険で、『喫煙をされずに、当社の定める健康状態の基準を満たした方は、保険料が最大約41%割安になる』という生命保険です」
--この定期保険プレミアムは「非喫煙優良体型」「標準体型」ともに、最高1億円までの死亡保障が可能だそうですね
「500万円から1億円まで保障金額を設定できるフリープランコースがあり、お客さまのニーズに合わせて、保険金額を設定することが可能です。価格競争力のある保険料のため、保険ジャーナリストに『定期保険の業界勢力図を塗り替えた』と評価されました」
--販売チャネルについても改革を行ったと?
「新しくウェブオンラインを導入し、乗合型の保険代理店にも参入。従来のテレマーケティングと3つの販売チャネルをもって巻き返しを図っています。新商品の導入と販売チャネルの刷新。この戦略を“100日計画”と呼んで、100日で戦略を構築。さらにその後の計画、戦略についても100日単位で戦略展開を進めています」
--終身医療保険も定期保険も他社にはない斬新な保険です。どのような商品開発手法を
「専門家をそろえた商品開発チームをもっているのが強みです。中には生保、損保両分野を経験した専門家も何名かいますし、リーダーはさらに年金保険にも通じています。それでいてメンバーの大半は20代のバリバリの若手で、その中には数学的要素以外に法律用語に精通した人材もいます」
--オリコン顧客満足度ランキングの医療保険部門で、2年連続総合第1位に選ばれました
「コールセンターにおける担当者の対応、保険金の支払いなどが評価いただけました。コールセンターについては、当社は入電1回あたりの対応時間に制限をもたせていません。生産性が悪くてもお客さま一人ひとりに丁寧に対応する。それを私たちのモットーにしています」
【テニス】 現在より12~13キロ、体重が多く、テニスで減量。「1カ月に1キロずつ減らし、1年で今の体重(72キロ)となりました。ハードなスポーツなためか、利き腕(右)が少し長くなったほどです」
【ピラティス】 ドイツのジョセフ・ピラティスが開発したトレーニング法。「膝や肩の故障防止に」と昨年から始めた。「筋トレを週1回、ピラティスを週2回、これが健康法ですね」
【白黒写真】 2つの白黒フィルムカメラを愛用し、風景やポートレートを撮っている。自宅の暗室で現像して楽しんでいる。
【読書】 最近読んだのはビックデータ、ゲーム理論などのビジネス書のほか、京セラ創業者・稲盛和夫氏の本。「道徳や倫理観は人類の普遍的なもので、どこの国でも求められています。当社でも『チューリッヒ・ベーシック・バリューズ』という標語を作り、社員に配っています」
【社是】
(1)Integrity(誠実であること)
(2)Customer Centricity(お客さま第一主義)
(3)Sustainable value Creation(たゆまぬ価値の創造)
(4)Excellence(卓越すること)
(5)Teamwork(チームワーク)
「これは5項目ですが、社員に配るものは、何十枚にわたり、毎年更新されます。大企業はよく業績、業績と思われがちですが、決して業績至上主義ではなく、お客さまとの接し方、社員との接し方、社会全般との接し方をとても大事にしています。これは稲盛さんのいう道徳論と同じで、スイスも日本も変わりません」
■会社メモ チューリッヒ・インシュアランス・グループの日本支店。東京都中野区。同グループは、スイス・チューリッヒ市を本拠地に1872年に設立。ヨーロッパ、北米、中南米、アジア、中東などに事業拠点を持ち、世界170カ国以上で損害保険、生命保険の商品・サービスを提供する。1986年に日本支店を開設、生命保険事業より先に損害保険事業を開始した。新契約件数8840件(前年度同期比179.9%)、保険料等収入76億4700万円、総資産179億4400万円、従業員数127人(いずれも2013年度第3四半期)。
--2012年の1月、スカウトされてチューリッヒ生命に入りました。まず行ったことは
「決算も赤字続き、新商品も07年が最後で、販売方法もテレマーケティングが中心でした。当時、電話を通じての保険加入手法は効果が薄れつつあり、お客さまへの新しいアプローチ手法が求められていました」
--そこで実行した手法は
「販売チャネルの拡大と新商品の開発です。13年に2つの新しい商品を出しました。1つが6月に出した『終身医療保険プレミアム』、もう1つが12月に発売した『定期保険プレミアム』です。前者は、長期化しがちなストレス性の病気に対する保障を手厚くした終身医療保険で、胃潰瘍や精神疾患などのストレス性の病気に伴う入院を最長1年まで保障します」
「もう1つの『定期保険プレミアム』は、健康な人を応援する保険で、『喫煙をされずに、当社の定める健康状態の基準を満たした方は、保険料が最大約41%割安になる』という生命保険です」
--この定期保険プレミアムは「非喫煙優良体型」「標準体型」ともに、最高1億円までの死亡保障が可能だそうですね
「500万円から1億円まで保障金額を設定できるフリープランコースがあり、お客さまのニーズに合わせて、保険金額を設定することが可能です。価格競争力のある保険料のため、保険ジャーナリストに『定期保険の業界勢力図を塗り替えた』と評価されました」
--販売チャネルについても改革を行ったと?
「新しくウェブオンラインを導入し、乗合型の保険代理店にも参入。従来のテレマーケティングと3つの販売チャネルをもって巻き返しを図っています。新商品の導入と販売チャネルの刷新。この戦略を“100日計画”と呼んで、100日で戦略を構築。さらにその後の計画、戦略についても100日単位で戦略展開を進めています」
--終身医療保険も定期保険も他社にはない斬新な保険です。どのような商品開発手法を
「専門家をそろえた商品開発チームをもっているのが強みです。中には生保、損保両分野を経験した専門家も何名かいますし、リーダーはさらに年金保険にも通じています。それでいてメンバーの大半は20代のバリバリの若手で、その中には数学的要素以外に法律用語に精通した人材もいます」
--オリコン顧客満足度ランキングの医療保険部門で、2年連続総合第1位に選ばれました
「コールセンターにおける担当者の対応、保険金の支払いなどが評価いただけました。コールセンターについては、当社は入電1回あたりの対応時間に制限をもたせていません。生産性が悪くてもお客さま一人ひとりに丁寧に対応する。それを私たちのモットーにしています」
【テニス】 現在より12~13キロ、体重が多く、テニスで減量。「1カ月に1キロずつ減らし、1年で今の体重(72キロ)となりました。ハードなスポーツなためか、利き腕(右)が少し長くなったほどです」
【ピラティス】 ドイツのジョセフ・ピラティスが開発したトレーニング法。「膝や肩の故障防止に」と昨年から始めた。「筋トレを週1回、ピラティスを週2回、これが健康法ですね」
【白黒写真】 2つの白黒フィルムカメラを愛用し、風景やポートレートを撮っている。自宅の暗室で現像して楽しんでいる。
【読書】 最近読んだのはビックデータ、ゲーム理論などのビジネス書のほか、京セラ創業者・稲盛和夫氏の本。「道徳や倫理観は人類の普遍的なもので、どこの国でも求められています。当社でも『チューリッヒ・ベーシック・バリューズ』という標語を作り、社員に配っています」
【社是】
(1)Integrity(誠実であること)
(2)Customer Centricity(お客さま第一主義)
(3)Sustainable value Creation(たゆまぬ価値の創造)
(4)Excellence(卓越すること)
(5)Teamwork(チームワーク)
「これは5項目ですが、社員に配るものは、何十枚にわたり、毎年更新されます。大企業はよく業績、業績と思われがちですが、決して業績至上主義ではなく、お客さまとの接し方、社員との接し方、社会全般との接し方をとても大事にしています。これは稲盛さんのいう道徳論と同じで、スイスも日本も変わりません」
■会社メモ チューリッヒ・インシュアランス・グループの日本支店。東京都中野区。同グループは、スイス・チューリッヒ市を本拠地に1872年に設立。ヨーロッパ、北米、中南米、アジア、中東などに事業拠点を持ち、世界170カ国以上で損害保険、生命保険の商品・サービスを提供する。1986年に日本支店を開設、生命保険事業より先に損害保険事業を開始した。新契約件数8840件(前年度同期比179.9%)、保険料等収入76億4700万円、総資産179億4400万円、従業員数127人(いずれも2013年度第3四半期)。
(MSN産経ニュース2014年5月20日)
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