昨日、民主党の新代表に決まった野田佳彦さんの座右の銘は「素志貫徹」です。
第1回投票で143票を獲得しながら決戦投票で敗れた海江田万里さんの座右の銘は「人生意気に感ず」です。
「素志貫徹」の出所は、松下政経塾の五誓(素志貫徹の事、自主自立の事、万事研修の事、先駆開拓の事、感謝協力の事)の最初の誓いからです。
「人生意気に感ず」は唐時代の詩選集の魏徴作から引用された語句で本文は、「人生意気に感ず、功名誰か論ぜん」と続き、人は、欲得ではなく、他人の何か をしようとする強い意志(特にそれに関する自分への期待)に感動して、積極的に行動 するものであるの意味です。
イメージ 1野田佳彦さんは松下政経塾の第一期生で、「地バン、カンバン、カバン」なしで千葉県議2期から衆議院議員当選5回、その間平成8年の衆院選では105票差の最小票差で落選するという苦渋も味わっています。
海江田万里さんは経済評論家としてマスコミにしばしば登場後、政治家に転身後は衆議院選挙東京第1区での与謝野馨さんとのバトルが有名です。
今回は、野田佳彦さんの「どじょう」や「坂道の雪だるま」といった演説が分かりやすかったのかもしれません。野田佳彦さんは県議選前から昨年6月まで「駅前留学はNOVA、駅前演説はノダ」と言われるように駅頭朝立ちを四半世紀続けた成果でしょう。
海江田万里さんは昨年の民主党代表選挙に一旦は出馬を表明し小沢一郎さんにも出馬の意向を伝えましたが、しかし当の小沢さんが出馬の意向を示したため自身の出馬表明を撤回し代表選挙での小沢さんへの投票を明言しました。今回は小沢一郎さんの担ぐ御輿に上手に乗ったつもりが、「人生意気に感ず」は小沢一郎さんの総理大臣を狙う強い意志を感じ、その前哨戦を代理大将として出陣させてくれる小沢さんの自分への期待に感動したように思われます。これではやっぱり勝ち目は薄かった?
野田佳彦さんは、相田みつを氏の「ドジョウがさ 金魚のまねすることねんだよなあ」という言葉が好きで、「ドジョウが金魚のまねをしてもしようがねえじゃん。ルックスはこの通り。赤いべべを着た金魚にはなれません。泥臭く国民のために汗をかくドジョウの政治をとことんやりたい」と訴えていました。
松下政経塾の後輩である自民党の高市早苗代議士が、「野田佳彦さんが千葉県議に初めて立候補した時に先輩の応援に駆けつけたが、当時から格好はダサくて弟さんの方が格好よかった」と述懐しているので、やっぱりドジョウが似合います。
松下政経塾を創った松下幸之助さんが総理大臣たる要件として次の三点を挙げています。
第一に、その人が国家国民全体を心から愛し、その繁栄を真に求めようをする力強い信念があること。
第二に、必ずしも博識は必要ではないが、何が正しく何が国家国民のためになるかということに高い識見をもっていること。
第三に、いっさいの責任はわれにありとするような責任感のあつい人であること。
待ったなしの日本の現状です。野田佳彦さんは今日午後に第95代総理大臣に就任します。松下幸之助さんが期待した「力強い信念と高い識見とあつい責任感」を持ってこの国難に正面からぶつかって欲しいものです。
 
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