「光の速度は一定である」


アインシュタインが特殊相対性理論で説いた法則である。

だが、現代の最新の天文学の観測によると、このアインシュタインの相対性理論では説明がつかない現象がいくつか発見されていると本書は説明する。

例えば、宇宙の膨張のスピードは光の速度を超えているとか、逆にブラックホール付近の空間においては光の速度が落ちているとか、光の速度が一定であるとしたアインシュタインの発見では説明がつかないことが幾つも解明されているようである。

この本を読んでいると、物理学は常に変化していることがよくわかる。

とは言え、現代物理学の基礎はニュートン、アインシュタインがベースとなっていることも事実。

本書は物理学の基礎から最新のトピックまで網羅しているので、現代物理学の入門テキストとしては最適と言えるかもしれない。

ちなみに、本書の内容は、NHKで放送している「白熱教室」でも放映されたことがある。

著者のウォルタールーウィン教授はMITの物理学の教授であり、そのわかりやすい講義内容で

有名であるようだ。

本書に興味を持たれた方は、「白熱教室」もご覧になられると良いかもしれない。


これが物理学だ! マサチューセッツ工科大学「感動」講義/ウォルター ルーウィン

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本来、数学にはストーリー性はないが、素数だけは異なる。

素数とは、1とその数字以外に約数がない(割り切れない)数字を指す。

例えば、1、2、3、5、7、11・・・、と言った数字になる。

この素数、その数列性に法則がない。

だが、下記の関数(ゼータ関数)のsに素数を入れると、一直線の分布に配置される。

\zeta (s)=1+\frac{1}{2^s} +\frac{1}{3^s} +\frac{1}{4^s} + ... =\sum_{n=1}^\infty \frac{1}{n^s}


とは言え、全ての素数が一直線に並ぶとの証明はされていない。

これはあくまでも予想に過ぎない。

リーマン予想」と呼ばれている。

このリーマン予想の証明に人生を費やした、いや人生を狂わされた数学者は多い。

素数により人生を狂わされた一番有名な数学者はジョン・ナッシュだろうか。

ゲーム理論によりノーベル経済学賞を受けた彼だが、ゲーム理論に登場する彼の功績(ナッシュ均衡)は別に価値ある発見ではない。

ナッシュはリーマン予想を、背理法(A=Bであることを証明するために、Aでないこと=Bでないことを証明する方法)でリーマン予想に当てはまらない素数はないことを証明しようとした。

だが、証明は失敗し、彼は統合失調症を患ってしまう。

ナッシュの悲劇を知ると、やはり素数には悲劇的なストーリー性はある。

だが、本書の著者によれば、素数には音楽性があるという。

あえて言えば、素数は悲劇とも喜劇とも取れる音楽だと著者は説く。

本書は数学書と言うより芸術書と言ってよい。

思えば、数学は科学と言うよりも芸術なのかもしれない。

素数の音楽 (新潮文庫)/マーカス デュ・ソートイ

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NHKの「白熱授業」で紹介された、アメリカの物理学の教授ミチオ・カク教授の最新の物理学に関する解説本である。

現代物理学は、研究対象がマクロの宇宙からミクロの素粒子まで幅広い。

だが、宇宙論を語る上で、素粒子のモデルについて触れることは避けては通れない。

と言うことで、本書のメインテーマは素粒子論である。

厳密に言うと、「超紐(ひも)理論」となろうか。

そもそも、素粒子は点なのか別の形態なのか、アインシュタインの相対性理論以降、かなり議論が行われてきた。

現在、最も有力な説がこの「超ひも理論」なのであるが、この理論は素粒子を点として捉えず、限りなく長さが0に近く、そして幅も0に近い紐が超高速度で回転している状態なのだと著者は解説する。

ちなみに、「超ひも理論」によれば、紐が回転する速度により、素粒子の質量が変わるとのことだが、これは質量がバラバラである素粒子の実態には理屈に叶う理論だと言える。

だが、著者によれば、「超ひも理論」を採用してしまうと、空間は11次元と設定してしまわなければ矛盾が生じるという。

この11次元と設定してしまう理由については本書は詳しく触れていない。

今、私たちが生きる空間は立体なので3次元、時間をというファクターを入れると4次元なので、どうしても7次元から8次元は余ってしまう。

そこで登場している仮説がパラレル・ワールドという理論である。

すなわち、現在の空間には、7次元から8次元の空間が並行して隠れて存在しているというものである。

ここまで来ると、もはや着いていけなくなる。

思えば、現代物理学はかつてのSFの世界を凌駕している。

本書のような本を読んでいると、高校の物理の教科書の内容がいかに時代遅れであるか、痛感してしまうのである。


パラレルワールド 11次元の宇宙から超空間へ/ミチオ・カク

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数学と物理学の間には、決定的な相違点が一つある。

物理学の世界では、研究対象が宇宙であろうと、素粒子であろうと、その理論的相関性、システムとしての一体性は必ずある。

例えば、宇宙物理学の分野においては、その主たるテーマは素粒子論(超紐理論)であり、素粒子論なき宇宙論はあり得ない。

だが、数学は違う。

素数の計算で人生を狂わされた数学者もいれば、幾何学の世界で大発見をして名声を得た者もいる。

だが、素数と幾何学の世界と間には理論的一貫性がない。

そもそも代数と幾何は全く別物として考えられている。

だが、科学の基盤とも言うべき数学に理論的体系がなければ、他の自然科学の道具としてしか位置づけられない危険性はある。

「数学には理論的統一性がある・・・」。

こんな大命題を掲げたのが本書である。

しかしながら、本書の内容は著者の自伝を殆どを占めるエッセイであり、数学書としての価値はあまり高くない。

無論、幾何と代数を繋ぐ試みについて書かれた部分はある。

だが、ほんの数ページでしかない。

とは言え、「数学には理論的統一性がある」との命題は大いに価値がある。

中には、数学など理論的統一性がなくても良いとの考えもあろう。

だが、この命題は他の自然科学(特に物理学)からの要請でもあり、今後、数学が他の学問の「道具」から脱却するためにも、本書の掲げる命題の追求は重要だろう。


数学の大統一に挑む/エドワード・フレンケル

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現代の宇宙物理学においては、「宇宙」をUniverseとは呼ばない。
Multiverseと呼ぶらしい。
すなわち、宇宙は一つではなく、「平行宇宙」が存在するという仮定の基で、宇宙物理学は宇宙を研究しているのである。
また、宇宙には始まりと終わりがある、と著者は説く。
大事な点は宇宙の始まりであり、始まる以上は、何か外的な要因(宇宙の外にある外的要因)により、宇宙は始まったのだとも著者は説く。
更に著者は、万物の創世は「無」から始まるとも著者は説く。
と、ここまで書くと、本書はどこかオカルトちっくである。
だが、著者はアメリカを代表する宇宙物理学の権威であり、物理学による宇宙研究はかつてのSFを上回っているとしか言えない。
ちなみに、著者によれば、現在膨張する宇宙の膨張スピードは光の速度を越えていると言うが、これはアインシュタインの相対性理論と相反する理屈である。
だが、相対性理論は光も含めた宇宙空間内の物質には適用されても、空間そのものには適用されないという著者の意見は当たっているのかもしれない。
とにかく、現代の宇宙物理学=天文学は、かつての常識からはるかに離れ、極めて多様性に富む学問分野になっている。
星や宇宙に興味のある人に是非一読をお奨めしたい。
宇宙が始まる前には何があったのか?/ローレンス クラウス
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