○2025年12月21日(日) 13:15- 英国ロイヤル・バレエ&オペラ in シネマ2025/26
プッチーニ「トスカ」於:TOHOシネマズ日本橋(現地2025年10月1日の公演を収録したもの)
久しぶりのROHシネマは「トスカ」。何度も観た演目ではありますが、お気に入りの作品、しかも2019年以来、コロナとロシアのウクライナ侵攻問題で英国の舞台から遠ざかっていたアンナ・ネトレプコが復帰、しかもトスカを演じるとなると、中々日本では見れそうもないので、頑張って行って参りました
初演は1900年ですが、コベントガーデンでも上演されたらしく、その際はプッチーニもその場にいたとのこと
今回は何十年ぶりかの新演出ということで、舞台が現代のローマと聞いて、その点にはちょっと不安を感じながらの鑑賞となりました😅
キャスト等:
指揮 ヤクブ・フルシャ
演出 オリバー・ミアーズ
トスカ アンナ・ネトレプコ
カヴァラドッシ フレディ・デ・トマーゾ
スカルピア ジェラルド・フィンリー
スポレッタ カルロ・ボージ
アンジェロッティ オシアン・ハスキンソン
堂守 アレッサンドロ・コルベッリ
その他
感想:
いやー、ネトレプコ、期待どおり素晴らしかったです
心配したオリバー・ミアーズの演出に関しては、可もなく不可もなくといったところ😅
第1幕の教会のシーンは、ミサイルが突っ込んできて瓦礫が積まれた半壊状態の教会内部、第2幕は白い大理石で囲まれた、やたら広くてがらんとした無機質なスカルピアの執務室、第3幕は窓からバチカン聖堂が覗く、白いタイルが敷かれた拷問室のような処刑部屋、といった感じ。
とりわけ第3幕は上記のような設定なので、ちょっとむごたらしい、刺激強めの描写がありました
このような設定だと、どうしても現在進行中のロシアとウクライナの戦争を想起してしまい、トスカとカヴァラドッシ、アンジェロッティなど市民がウクライナ側、スカルピアやスポレッタ等官憲が侵略してきたロシア側に見えてしまうのですが、他方でネトレプコはロシア出身で、ロシアのウクライナ侵攻をめぐって、METや欧米の主要劇場から事実上追放された過去があるだけに、この演出でトスカを演じている彼女が、どう感じていたのか気になるところです💦
キャストのパフォーマンスについては、上述のようにネトレプコが素晴らしく、力づよさや華やかさに加えてピアニッシモの繊細な美しさ、華のある立ち姿などトスカが憑依したかのような歌唱と演技は圧倒的でした
対するカヴァラドッシのフレディ・デ・トマーゾも負けず劣らずの出来で、圧倒的な声量を誇るスピント系のテノールで、その声の密度と圧力は凄かったです。両者とも、それぞれの聴かせどころ、「歌に生き、愛に生き」と「星はきらめき」では拍手と歓声が止まず暫くショーストップの状態でした
大体「トスカ」ではスカルピアの存在感が凄まじいので、カヴァラドッシが目立たなくなることが珍しくないのですが、これだけ強力なテノールだと流石にそんなことはなかったです(^^;;
かといってスカルピアのジェラルド・フィンリーが物足りなかった訳ではなく、こちらも快演
演出家がインタヴューで、スカルピアは労働者階級出身で、貴族階級出身のカヴァラドッシにコンプレックスとライヴァル心を持っているみたいな設定を言っていましたが、その辺りが滲み出てくる名演だったと思います
ということで3幕にサンタンジェロ城が登場する伝統的な演出の方が好きではありますが💦キャストのパフォーマンスが圧倒的だったので、満足のいく公演でした
ネトレプコは2年前にも来日していますが、その時は元夫君とのコンサートということで行きませんでしたが行っておけば良かったかなと後悔😅
しかし、今回英国ロイヤルオペラとの縁が復活したようですので、近いうちにお引越し来日公演で舞台上の姿を見てみたいものです
評価:☆☆☆☆


ただ、「演出」がない代わりに「映像」となっていたように、オケの背後のスクリーン及びその周辺の壁いっぱいに映し出されるイメージ映像?は、中々工夫されていて面白かったです







高名なテノール歌手、ローランド・ビリャソンが演出した新演出版ということで、N.シエラがどう演じるのか楽しみに行ってまいりました











キャパが約700席ということですが、ホワイエを兼ねたエントランスは券売所、売店などでほぼスペースがない状態
休憩時間は混雑防止のため、1階側出口は封鎖され、2階部分まで一旦上がってから階段を降りてトイレに向かう必要があり、面倒くさいですし、肝心のトイレも男女1箇所ずつで、少なくとも男性用は便器の数も少なくかなり混雑するなど、居住性、快適性からはほど遠い状況
新しい劇場なのだから、もう少し余裕を持って作って欲しかったところですが、まあ吉本ですからねえ💦客席自体は、今日は最前列だったので見えやすさは判断できませんでしたが、見たところ、舞台の見通しは悪くなさそうでした





