ひんやりした

逢魔時の空気が

風と一緒にくるくると回る。

 

 

 

まだ夏も来ないのに

冷たい空気は

どこか秋を思わせて

しんみりと煙草をくわえた。

 

 

 

おぅおぅと

不穏な音を響かせて

シャツの上を

冷たい風が撫でてゆく。

 

 

 

夕方の

ニュースを見ながら

冷めたコーヒーを飲んでいる、

そんな自分を見つめている

もう一人のわたし。

 

 

昼でもない

夜でもない

狭間の時間の不思議な空気。

おもてを

選挙カーが走ってゆく

滑稽さ。

 

 

 

CMだらけの

テレビを見るでもなしに

つけっぱなしにして

換気扇の回る音に耳をすます。

 

 

 

空は白くて

少し光っていて

意識が浮遊するのを感じながら

何も見ていない自分に気付く。

 

 

 

もう少ししたら

空も藍色になってゆくと

想像しながら

春の終わりの逢魔時に

わたしはわたしでなくなる。