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群像の星――可能な限り、あなたで埋め尽くしてほしい編(後編)

前編からの続きです。
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(イメージ画像→引用元
鏡征爾。2008年8月、第五回講談社BOX新人賞で初の大賞を受賞。『白の断章』で単行本デビューした。同賞の受賞は講談社BOXを立ち上げ、西尾維新や舞城王太郎などを担当した文芸編集者・太田克史の強い推薦によるものであり、また太田が単独で編集を行う『ファウスト』の公募新人賞(講談社BOX新人賞の前身)では第4次まで連続で受賞作無しが続いていたため、9度目にして初の受賞者として注目された。
なお文芸誌『パンドラ』に掲載された第二作『向日葵とRose-Noir』掲載時のイラスト、及び受賞作『白の断章』の表紙は、鏡自身によって描かれたものである。
東京大学博士課程在籍中。
鏡征爾 カクヨム「少女ドグマ」プロフィール より引用)


前述引用が鏡征爾さんという作家さんのプロフィールになります。前述通りに華々しく活動されていた方ですが、ここ最近はお名前を耳にしなかったので、そういう意味では、カクヨムで鏡さんの小説を久しぶりに読むことができるというのは何よりの朗報でした。鏡さんの復活作『少女ドグマ』は、初期作の『白の断章』や『向日葵とRose-Noir』で見られるハードコアな印象を保ちつつ、やわらかい脂みを加味させて丸みを帯びた文体に変化していました。

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(イメージ画像→引用元
 ――何みてやがる。殺してやろうか?
 そういって彼女は、ティーカップに七個目の角砂糖を投げ入れた。それからセーラー服のリボンでこちらを指差し、
「あのギアの鳥はきさまの病み」
 意味不明な言葉を口走って、さらに続けた。
「頭上をマワるそれはぐるぐるに溶けて、ミサイルのバター雨で世界を滅ぼす。きさまの正体は街の不安をエネルギーに旋回する衛星でした」
 そういってまた角砂糖をつかみ、こちらを上目遣いに睨んだ。
 僕は念入りにスプーンを掻き混ぜた。
 もうすぐ春です。
鏡征爾 カクヨム「少女ドグマ 第01話『何みてやがる。殺してやろうか?』」 より引用)


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(イメージ画像→引用元
前々述引用にある「ギアの鳥」という言葉の響きから、僕は、村上春樹さんの『ねじまき鳥クロニクル』に登場する「ねじまき鳥」のような抽象的なイメージを連想しました。それは前々述引用の画像に見られるラテアートに描かれた鳥のようでもあり、UFOのような物体でもある。そこにはコーヒーのやわらかさが漂っていて、曖昧な感じであるが、ポップな感覚もある。…その上で僕は、前述引用画像にある、『新世紀エヴァンゲリヲン』に登場した「量産型エヴァ」を「ギアの鳥」に重ねてみました。90年代に思春期を過ごした少年が抱く暴力的メタファーが、同時代のサブカルチャーに代替された感覚も感じました。

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(イメージ画像→引用元
 僕は息を吐き出し、のびをして、ゆっくりと酸素を吸いこんだ。そして目をあけると、ラップトップをひらいた。ウィンドウズが立ち上がるのを待ってから、事前に用意しておいたアナライザー『AX』をクリック。サイト閲覧者の解析結果が凝縮されたログの集積となって、個別の識別番号(IPアドレス)が並ぶ。

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 ざっと、これが『project禁猟区』に常駐しているスレッド閲覧者の標本だ。
 まだ、数十分だが、もう既に数十件のアクセスがある。監視者の特性からいって、半日ほど寝かせれば、十分なサンプルが完成するだろう。
 もちろん、どれだけ注意を喚起したところで、閲覧者の全てがリンクを踏むわけではない。せいぜい、七、八割くらいだろう。だが一般のユーザーならそうでも、情報の漏洩を恐れていているスレッド監視者ならば確実に踏む。
 試しに、そのなかの一つをピックアップしてみる。ポインタが触れると、画面から出力された解析結果が、画面に立体で浮かび上がる。

【IP: 210.67.61.123 / host: softbank210048041123.bbtec.net
 Referrer: http://www.google.com/url?xa=x&fct=a&s=sexr=s&sxrm=1&so...
 Agent: Mozilla/5.0(compatible; MSIE 9.0; Windows NT 6.0; Trident/5.0; Sleipnir/2.9.7
 machine: Windows Vista/Internet Explorer 9.0/1280×1024/32 bit /日本語】

 アクセス解析、『AX:Analyzer-X』で出力されるアクセスログは、右のような形式をとる。
 アクセス解析とは、サイトにアクセスした閲覧者の情報を、読み取れるサービスだ。具体的には、閲覧日時、IPアドレス、ホスト名、マシン環境、閲覧スペック、閲覧回数、そしてリンク先などが表示される。サービスの種類にもよるが、だいたい、このような解析結果が、利用者に提示される。
 解析されたログのなかで最も重要なのは、座標のように陳列されたIPアドレスだろう。IPアドレスとは、文字通り、ネット上の住所を指す。
 だがここで問題なのは、インターネット上の住所がわかるからといって、相手を特定できるわけではない、ということだ。
鏡征爾 カクヨム「少女ドグマ 第28話『調査!調査!調査!』」 より引用)


…前述を少し躊躇しつつ引用しました。『少女ドグマ』は、前々述引用で説明したような、曖昧模糊なオブラートで包まれたサブカル風味のポップ小説、だけではない、ということが、前述引用から伝わってきます。一見して無意味な数値が、IPアドレスとプログラム・コードが、小説内に侵食していきます。…これらは本当に小説に記す必要性があるのだろうか?、という疑問を読者は抱くかもしれません。正直に言えば、薄気味悪さを感じてしまいます。…ここで、引用画像にある映画『マトリックス』の場景を考察してみましょう。主人公のネオは覚醒して、ヴァーチャル・リアリティのマトリックス空間に隠されている夥しい数値を可視化します。今まで見えなかったものが、見えてしまう。…ある意味、『少女ドグマ』に書き込まれた無意味に見える数値にも、『マトリックス』で描かれた表現と同じ効果が現れているのかもしれません。

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(イメージ画像→引用元
 光が爆発して、撃ち抜かれたこめかみから記憶が流れ出した。
 地獄に連綿と流れる音楽みたいに、幾条も鮮やかな記憶が糸状の光となってあふれては降り注ぎ、撒き散らされた涙の水滴の粒とともに一瞬後にはボコボコと炸裂して、色が。匂いが。光が。痺れが。五感が急速に閉じていき――、
 そして意識は粉々に消し飛んだ。

 白。
 橙。
 緑。
 黄。
 赤。
 紫。
 藍。
 灰。
 白。

 光の断層が点滅する。
 螺旋状に弧を描いてひらめきながら連続的に発光する。
 ゴッ、突風が通過して透明な衝撃波が轟音とともに降り注ぐ。
 撃ち抜かれたこめかみから次々と記憶が蝶となって飛び出してくる。
 光の蝶は燐粉を撒き散らしながら舞い降りて、互いに共鳴しあいながら暗闇に浮かぶ点になり、やがて点と点が星座のようにつながって、線状にのびて記憶の灯火の帯になる。それは幾何学的な繊維の束のように増殖しながら折り重なり、凄まじい速度で視界を虹色に染めてしまう。ホログラフィックな光の殻層都市みたいに屹立する虹色の帯の群れは、瞳に増殖しながら転位し結晶化し接近して、顔のまわりで分裂しながら爆ぜていき、様々な声や言葉や囁きをひらめかせながら耳元をゆらゆらと通り抜けては、あたまのうしろで炸裂していく。
鏡征爾 カクヨム「少女ドグマ ドグマ33『少女ドグマ』」 より引用)


『少女ドグマ』は、曖昧模糊なオブラートを纏うポップ集合体であり、無意味と不条理を弄ぶ文学的実験の場でもあるのですが、実はそれだけでは済まなくなってきます。僕がここに挙げる引用以上の夥多なイメージが『少女ドグマ』に渦巻いています。僕は、このことを、小説の体が崩壊するぎりぎりの状態で踏み留まり毒と甘露の相異なる物体を同時に放出している、という文章で評します。前述引用は、即興的に捉えても、即物的に口走ってしまっても、『2001年宇宙の旅』に登場する「スターゲート」を連想してしまいます。それは幻覚を伴う非合法薬物を服用した後に現れる臨床体験に似ているし、神の啓示を得た後に現れる至高体験にも似ている。…正直に言えば、前述表現を迷わずに描いてしまう作者の心の器を、僕も迷わずに評したいと思います。

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(イメージ画像→引用元
鏡征爾さんの著作『白の断章』と、坂上秋成さんの著作『惜日のアリス』を並行して読んだことがあった。『白の断章』は2009年刊行、『惜日のアリス』は2013年刊行。結論を言えば、『惜日のアリス』のほうが面白かった。2009年と2013年の時代の差異が読者である僕に影響を及ぼしていた。僕は異性愛よりもLGBTを好んでいた。『白の断章』は僕の中で急激に劣化していった。2013年に鏡さんが『戦国BASARA3 毛利元就の章』を書かれていたことも劣化の要因に繋がったかもしれない。

それから数年が経った。突然、鏡さんのツイッターアカウントからフォローされた。以前に少しだけやり取りしていたのを鏡さんは覚えていてくれた。そして、ここで新作小説を連載していることを告げられた。そこには『白の断章』をダブステップ・リミックスしたような過激さがあった。それは振り切れていた。今の時代の言葉を使うなら、ポリコレ棒で叩かれそうな野蛮さがポエムの下に隠されていた。少女性はフェミニズムよりもセクシズムに近かった。「……みんな、死んでしまえばいいのに……」 そう思った読者の僕の想いにシンクロしたかのように、登場人物は人体崩壊していった。人間のおぞましさを真正面から捉えたいから、神である作者が、創造物である登場人物を無慈悲に破壊していったのだろう。「……神の思想とは如何なるものなのか?」 読者の僕がそう思っていた時に物語は終幕を迎えた。それは、エンデの『はてしない物語』に匹敵する終幕だった。

……かなり荒削りだけど、『少女ドグマ』を最後まで読んで、こんな想いを抱きました。もう、劣化だとか言っている次元ではないですね。……そして、この小説がコンテストで賞を取り書籍化されるのかどうかも気になります。「角川さん、この過激な小説を商業出版する勇気があるんですか!?」と言いたくなるけど、まずは結果を楽しみにしています。
鏡征爾 カクヨム「少女ドグマ おすすめレビュー M☆A☆S☆H『disから始まり、愛で終わる』」 より引用)


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(イメージ画像→引用元
前々述にある坂上秋成さんの『惜日のアリス』は、前述の引用画像に似た感覚があります。そこには、映画監督のウォシャウスキー姉妹(当時はウォシャウスキー兄弟と呼ばれていた)が撮られた映像のような、LGBTに対する偏見を打破した恋愛映画の要素が散りばめられています。

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(イメージ画像→引用元
相対して鏡征爾さんの『少女ドグマ』には、前述の引用画像の感覚が現れています。「少女性はフェミニズムよりもセクシズムに近い」 …前々々述で引用しているこの言葉の中には、セクシズムに近づきそうになるくらいに激しい暴力性が秘められています。前述の引用画像は『マッドマックス 怒りのデスロード』に登場するフュリオサというキャラクターを使用したTシャツです。フェミニズム運動のアイコンで有名になった「ロージー・ザ・リベッター」が、フュリオサの秘めた暴力性と重なっていきます。それはフェミニズム擁護と言うよりも、ラディカル・フェミニズムに近づいていきます。『惜日のアリス』も『独舞』も「性的マイノリティの壮絶な半生」と言われてしまうような状況を描いてます。LGBTよりも異性愛を優先する『少女ドグマ』では、異性愛を謳う以前に、少女も少年もお互いの性別が自覚できなくなり、自信も持てずに、不安定に陥った故に暴走してしまう状況を描いてます。イノセントなセクシュアリティは、ラディカル・フェミニズムに似た暴力性を生み出すのです。

…最後に。僕は以前にツイッター上で鏡征爾さんとやり取りをしたことがありました。僕は拙小説『テディベア・カウンセラー』を講談社BOXに投稿したことがあり、当然のことながら同誌文学賞の初の受賞者である鏡さんのことも存じていました。勇気を出して、僕のほうから鏡さんへお声かけをしました。暫くして、鏡さんはツイッターを退会しました。…どうされているのかな?、と思うくらいに時が経った頃に、鏡さんは新しいツイッター・アカウントを作成して、前回とは逆に鏡さんのほうから僕に向かってお声をかけてくださったのです。恐縮と光栄の想いを抱いています。…後述は、当時のツイッター上でのやり取りを引用しています。実は鏡さんは当時の呟きを削除されていたので、恐縮ですが魚拓サイトに残っていたログから引用しています。

(ΦωΦ)本職は作家だ、他に生活費を稼ぐために仕事をしていて、小説では食えないが、気持ちは小説が生業だ。このような主張をする方もいると思います。立派な矜持です。趣味で音楽をやっていて、息抜きでギターに触れて、ぽろんと爪弾くのが好きだ、という方もいるでしょう。今の僕は後者ですね。
M*A*S*H Twitter@kumakakiya 2017/2/2 より引用)


@kumakakiya お久しぶりです。再度フォロー頂きありがとうございました。ツイート、非常に共感しました。それそのものの行為が好きなのか、それによって自尊心を満たしたいのか? 僕も前者派で、そのためにネット発表を選びました。短い話ですが、もし読んでくださると嬉しいです。
(鏡征爾 Twitter@kagamisa_yousei 2017/2/3 より引用(魚拓サイトから引用))

それそのものの行為が好きなのか。それとも小説を書くことによって有名になる、コンプレックスが解消される、というひとたち。どちらかなのか。僕は前者がいいと思う。だってそれだけでしあわせなわけだから。
鏡征爾 Twitter@kagamisa_yousei 2017/2/24 より引用)


前述引用の僕の呟きは、当時の僕の本音そのものでした。第六十回群像新人文学賞に拙小説を送り終えたばかりの頃で、肩の力を抜くつもりで呟きました。勿論、受賞したら嬉しいですよ。但し、絶対に受賞する為に傾向と対策を考えて書き抜いた訳ではない。今の自分自身が最も書きたいものを、例えそれが実験的で難解だと言われても、それを衒いなくぶつけて、相手がどんな反応をするのか試してみたくて、思いっきり力を籠めて書き潰しました。商業主義に走らない、媚を売らないという気持ちも籠めました。

…恐らく鏡さんも僕と似たような気持ちだったと思います。…重ねがさねで恐縮ですが、鏡さんは僕以上に、あれから色々なことが起こり、追われて、襲われてきたのだろうなと思っています。鏡さんは僕よりも若い。若さ故に、才能の赴くままに作家デビューを果たしたとしても、何らかの事情で一度だけつまづいたとしても、まだやり直せる。…偉そうに聞こえるけど、人生とはそういうものだと僕は思っている。僕は何度も何度もつまづいたので、やり直す時間は残ってないかもしれない^^; …それでも、つまづく度に、ここで挫折したらお仕舞いだと、何度も何度も思い込んでいきました。大げさな言い方だけど、諦めることと死ぬことが同義になることがある。世知辛い世の中なので、止むに止まれぬ事情で最悪の選択をした人もいるだろう。…それでも、僕はまだ、そこまではいきたくない。…その声が僕の中から聞こえる間は、僕は生き続けていく。小説を書き続けていくことも、生き続けていくことと同義になる。

…そんな僕と一緒にしてしまうと、鏡さんに対して失礼にあたるかもしれない…。新人文学賞を受賞して出版社から小説を出された人だ。プロの作家として世間に認知された人だ。例え音信が途絶えたとしても、自分自身のビジネスを成功させるために、再び小説を書き始めるかもしれない。野心は消えていないのかもしれない。…それでも、前述の僕の呟きに呼応してくれた鏡さんに対して、僕は、彼の中から何らかの声が聞こえてくるような気がしているのです。…幻聴かもしれないことを承知しながらも…。

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(イメージ画像→引用元

あなたに最後味方するのは、あなた自身と
エンターテインメントという最高のテーマであり、舞台である。
(中略)
今回の作品で、1つ不満があるとすれば
要所要所で、「寄り添った」形跡を、少し感じたところだ。
ただ、それはデビュー作であるという上で、やるべきことだったのかもしれない。
しかし、次作以降では、なるべく、なにかに寄り添うことなく
可能な限り、あなたで埋め尽くしてほしいと思う。
期待しています。
面白かった。
飯野賢治(fyto代表・ゲームクリエイター)
鏡征爾 カクヨム「少女ドグマ 近況ノート『飯野賢治さんからの最後の手紙、全てのクリエイターの方へ』」 より引用)


若き日の鏡さんは、当時ゲームクリエイターとして名を馳せていた飯野賢治さんを尊敬していました。前述引用の飯野さんから鏡さんに送られたメールが、そのことを証明しています。恐らく鏡さんは、この飯野さんの言葉を糧にしながら、『少女ドグマ』を書かれていったと思います。

「なにかに寄り添うことなく、可能な限り、あなたで埋め尽くしてほしい」

…長く生き過ぎて汚れてしまった僕にとっては、この飯野さんの言葉が眩し過ぎます。…誤解されるかもしれないけど、話を最初に戻します。第六十回群像新人文学賞は当選作なしで佳作に該当する優秀作が二編選ばれました。そしてその二編と併せて選外作も読んでみると、共に良く書けていることがわかります。小説の体をはみだしていません。…しかし、ここで強引に話を結び付るなら、飯野さんの言葉にあるような、「要所要所で寄り添った形跡」を感じてしまうのです。…それは仕方のないことなのかもしれません…。仕方ないけど、それでも群像新人文学賞の選考委員である野崎歓さんは、このように語るのです。

「総計二〇一六篇にも及んだという応募作がどれもこれも同傾向ということはなかろうに、もう少し別の種類の話も読みたいという気持ちも抑えがたくなった」

…今となっては、この言葉が輝いてきます。…自我が肥大してカッコ悪くなった僕は、拙小説『イブリース・エッセンス』が落選したことに対して、正直に言って、悔しさを覚えました。そして、厭らしい言い方になりますが、選考委員の野崎さんが求める多様性が拙小説の中にも存在しているのではないか、ということを直感し始めています。…拙小説と、鏡征爾さんの『少女ドグマ』を一緒にすると、また失礼にあたるかもしれません…。繰り返しますが、鏡さんは知名度があり、カクヨムの読者も『少女ドグマ』に対して熱いコメントを送っています。読者は鏡さんのことを認めています。僕も、「この過激な小説を商業出版する勇気があるのですか」というコメントを出版社に向けて送っています。そういう意味でも、カクヨムのコンテストの結果が楽しみです。…これからも、なにかに寄り添うのではなく、自分自身の中に秘めているエンターテイメント性に耳を傾けていきたい。幸運にも受賞を果たしても、残念ながら落選しても、どちらにしても、小説を書くという行為は楽しいということに変わりはないのだから。

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