急性増悪の入院し病状が安定した。

父への病状説明を前に、主治医から電話をいただき、私から余命についてお聞きした。

『間質性肺炎の父（１８）』急性増悪を起こして、入院手続きをし、タクシーで帰宅。『間質性肺炎の父（１７）』『間質性肺炎の父（１６）』私だけ、診察室に呼ばれ、医師から急性増悪を起こして…

ameblo.jp

急性増悪の場合、年齢や何度目の急性増悪かで状況は全然違ってくるようだけれど、ネットで検索すると２～３か月という記述も多い。

主治医は、私が父の余命をお聞きしたら、「半年」とのことだった。

主治医がなぜ２～３か月と言わず、半年と言ったのか、今となっては、わからない。

主治医との電話の後、すぐに姉に電話をして、施設への入所を勧められたこと、父の余命について話をした。

絶句していた。

急性増悪を起こしても、あと２～３年は生きられる、生きてくれると思っていたらしかった。

母にも伝えた。

やはり絶句していた。

姉と同じで、あと２～３年は生きられる、生きてくれると思っていたらしかった。

インドネシアにいる兄にも仕事終わってから電話をもらい、話しをした。時差二時間で忙しい兄から電話をもらったのは、０時過ぎだった。

やはり兄も絶句していた。

余命がそんなに短いのかと落胆していた。

秋ごろに一時帰国するつもりだったけれど、急いで帰国して会うべきか？と尋ねられたので、そうすべきだと思うと伝えた。

兄は調整すると言って電話を切った。

義姉にも伝えた。

義姉のご両親も、癌や心臓病で闘病中。

海外赴任する夫を持つ妻の立場は同じで、話もあうこともあり、度々電話をしていたので、義理姉にも伝えた。

やはり絶句だった。

私は、姉、兄、母たちと違って、冷静だった。

ショックだったし、悲しい、辛い。涙もでる。

しかし、知識があっただけに、やはりこのような経過になってしまうのかと、冷静な部分もあった。

父の病気がわかったとき、間質性肺炎という病気について勉強したり、闘病ブログを読んで、父の今後辿るであろう未来を想像して、ストレスで食事がとれなくなり、眠れなくなった。

大好きな父。

頼りにしている父。

父が居なくなってしまうかもしれないと思うと悲しかったし、不安だったし、辛かった。

どん底の気分を経たけれど、私がしっかりしなければ、父を支えなければと、それから落ち込むことはなくなった。腹をくくったのだ。

母、兄も姉も、主治医から一旦施設に行くという提案をされたことについては、母の負担を考えると「仕方ないね」と言っていた。

しかし、自宅に帰りたがっていた父が納得できるかどうか、皆が心配していた。

主治医から電話をいただいた翌日の火曜日、父の大好きな果物を持って、私が見舞いに行った。

病室に到着すると、父が落ち込んだ様子で、「先生から退院したら自宅に戻らず施設に行きましょうって言われてしまったんだよ・・・・家に帰りたいんだけどさ、ばあちゃんの負担考えるとさ・・・・でも家に帰りたいんだよ・・・・・」と落ち込んでいた。

病状説明と退院後の施設の話は、水曜日の病状説明の際に話をする予定だったのに、あれ？と思っていたところに、私の携帯が鳴った。

父の病室にいるのに、主治医の先生からの電話だった。

父に（誰からの電話とは言わず）電話がきたから、談話室で話してくるねと伝えて、病室を出て、主治医に「今、父の病室に来たところなんですけど」と伝えると、談話室で話ましょう！すぐに行きますので、お待ちください！と言われ待っていると、主治医がすぐに来た。

病状説明を水曜日に予定していたが、病状説明のその場で、施設への入所を○○さん（父のこと）へ伝えると、拒否されて、話が進まなくなる可能性があるなと思ったので、先ほど、病室へお伺いして、ジャブをうっておこうと思い、少しお話したんですとのことだった。

主治医の話によると、退院後の家族の負担、特に奥様のご負担を考えると老々介護になり、奥様が慢性硬膜下血腫の術後で無理をされると共倒れになる可能性があるので、自宅へお帰りにならず、施設へ一旦行ったほうが良いと考えていますと伝えたところ、拒否されて、号泣だったんですとのことだった。

大変取り乱していらして、その後の私の話も耳に入らずな様子でした。

と主治医は、疲れた様子だった。

私が父の病室を訪れた時は、取り乱した様子もなく、落ち着いていたし、母の負担を考えると施設に行くしかないのかもしれない、でも家に帰りたいと言っていましたと伝えた。

すると主治医は、私が話したあと、少し時間をかけて○○さんも気持ちを落ち着かせて、奥様の負担を考えると仕方ないと思い直したのかもしれませんねと言っていた。

私は、先生にご負担をかけてしまい、すみませんと謝罪をした。

主治医は、私はいいんです。悪者になっていいんですと言っていた。

主治医のお父様も８０歳になり病気をされ、自宅での介護は母の負担を考えると無理と判断し、施設に入ってもらったのだそう。

介護の家族の負担は大きいです。

医師の私が家族を自宅で診ず施設に行ってもらうと判断したのですから、それだけ負担が大きいということなんですよ。

病気をしている本人も辛いけれど、家族が無理をしすぎてはいけないという考えに至ったご自身の経験を私に話してくださった。

主治医は、「僕はあまり精神的に強い人間じゃないんです。心が弱くて。」とおっしゃっていた。この言葉を聞いたのは二回目だった。通常の診察の際にも、何かの話の流れでそのように言っていた。

私は、「でも、先生は心がお優し方だと思います。心が弱いとおっしゃいますが、もし仮にそうだとしたら、心が弱い父のような患者さんの気持ちがわかる医師ということですよね」と言うと、苦笑いをしていた。

主治医は、父の気持ちが落ち着いた様子なら、良かったと言って談話室を出て行かれた。

私は父の病室に戻って、父と話しをした。

自宅に帰りたい。なんとしても帰りたい。

でも、母の負担を考えると、申し訳ない。

無理はさせられない。

仕方ないけれど、自宅に帰りたい。

まだまだ気持ちが整理できず、せめぎ合っているようだった。

先生が医師の立場として施設にオススメするには理由があるはずだし、確かに母の負担をかけて共倒れは避けないといけない。

良い施設を紹介してくれるはずだから、そこでもっと病状が安定したら、帰ってこれるように頑張ろうと伝えた。

まだまだ納得できていなかったが、なんとか気持ちを整理しようとしている父をみて切なかった。

心が苦しかった。

その後、私が父のお見舞いから帰宅して、実家へ行くと、父は母へ電話をしたようだった。

主治医から施設へ行くように勧められたこと、そうするしかないと思っていることを話していたようだった。

２０２２年１１月に体調が悪化して、酸素を導入する為に入院した１２月のある時、見舞いに行く途中だったエレベーターホールで主治医とばったり会ったことがあった。

立ち話で、主治医から父の様子を聞いたあと、治験があるので、体調が戻れば、参加するかどうかの話しをしてもいいかなと思っていますなどとお話されていた。

私は、その際オフェブの副作用で父が苦しんでしまったことについて、私がもっと早く先生に相談して服薬をやめていれば良かったと話した。父も私も薬が怖くなっていたのだ。

治験は怖いと言った。

主治医は、「どうか娘さんはご自分を責めないでください。私がもう少し見極めができていれば良かったんです。娘さんのせいじゃないです。」とおっしゃった。

主治医は、本当に心の優しい方だった。

『間質性肺炎の父（２０）』急性増悪で入院して、病状が安定した父。『間質性肺炎の父（１９）』急性増悪の入院し病状が安定した。父への病状説明を前に、主治医から電話をいただき、私から余命につ…

ameblo.jp