あたらしいふく | 子宮筋腫をとったらば

子宮筋腫をとったらば

2015年12月に開腹で子宮の全摘をした、45歳・既婚・子ナシの備忘録。

ちょっと近所で買い物のつもりでもさもさの格好で外出し。

ふと「筆ペン買わなきゃ」と思い出してデパートに行き。

文房具売り場で買い物を済ませ、

エスカレーターを降りる途中に「冬物の季節ね」などと思ってしまい。

お気に入りのお店に偵察に行ったのが運の尽きでした。

真っ黒のロングコートに一目惚れ!

 

筋腫でお腹がポッコリになってから着るものが変わりました。

それまでは身体に沿うような

シンプルなラインのモノトーンのものが好きだったのに。

どう頑張っても不格好になってしまって、

ゆったりめな服を買ったり着たりするようになっていたのです。

その手合いは色味もナチュラルカラーが多く、

「ガラじゃないなー」とは感じつつも、

世間では年を取ると暗い色は顔がくすんで見えると言うし、

そういう年齢なのかも仕方ないのかもともぼんやり思っていました。

 

ポッコリお腹仕様の服は一通り必要な枚数が揃うと、

服を選ぶ楽しさもあまりなくて服装に無頓着気味に。

筋腫のせいというよりも年のせいだと無理に納得して、

「服を着る」という行動が装うのではなく

快適なものを選びとる単純作業のような感じになっていきました。

着替える時の喜びが少なくなっていたような気がします。

オシャレから縁遠い人になったようでちょっと寂しかったかも。

新しい服を買おうという気概も極端に減少しました。

 

そんなここ数年だったのに。

ご無沙汰だったお店でふっと目に留まったコートがとっても欲しい。

そもそも物欲はあまりない方で、

ご縁がなければそれはそれと割り切れるタイプ。

それにちょっと金額の大きい買い物をするときは夫同伴。

加えて夫は服選びのセンスが私よりも確かなので、

服を買うときは大概いつも一緒。

彼は私専用のスタイリストのような人です。

でも!今スタイリストはいらない!このコートは欲しい!

今日は月曜日、夫の休みの週末を待って、

売り切れたら絶対に絶対にものすごく後悔する!

久しぶりに味わう気持ちに自分でも少し驚きました。

長いお馴染みの店員さんが我が家の近所に移動になっていたのも

運がいいんだか悪いんだか。

「試着してみるだけでも?」

普段着なので上着を脱ぐのが恥ずかしい……(←でも脱いだ)。

それに試着したら買うに決まっています……。

作っただけのクレジットカードを生まれて初めて使いました。

現金ナシで買い物ができるって恐ろしいですね。

うちを出るときは牛乳とブロッコリーを買うだけのつもりだったのに。

 

人生初の暴挙に出たので夫帰宅時には懺悔大会。

あのですね……本日ワタクシやらかしちゃいました。

「え?なにを?大丈夫なの?」

えーと私は大丈夫です、これね(←大きなショップの袋を見せる)。

「ああそういうことか。着て見せて」

ほらねほらねいいでしょ好きそうでしょ似合うでしょ(←必死)。

「うん似合うよ、いいコートだね」(←若干のやれやれ感)

夫が鷹揚な人でよかった……。

 

そのときに夫がぽつんと

「オシャレしたい気持ちになったんだね、よかったね。

しばらくはあの店にも見向きもしてなかったもんな」と言って、

ああそういえばそうですねと我ながら思ったことでした。

上に書いた一連のこともその時にはわりと無意識で、

夫からこう言われて初めてはっきり気が付いたような次第です。

手術からもう随分日が経っていて毎日変わりはないようでいても、

これも大げさに言えば改善のひとつかもと、

まだよくなることがあると分かって嬉しい気持ちでした。

祖母が晩年によく

「腰も曲がって格好悪いからもう新しい服を作る気にならない」と

寂しそうにこぼしていたのを思い出します。

その気持ちも分かったような気がしますし、

好きな服を気兼ねなく着られる楽しさも再確認できました。

でも調子に乗って物欲大王にならないように気をつけます。

 

 


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