玄関先に植えられた樹齢100年以上のぶんごうめがやっとほころびました。

今冬はとても強い寒気が何度か入ってきた影響で

いつもの年より少し遅い開花です。

気品を感じる香りが、そこはかとなく香っています。

 

 

病床にあった母は、窓の外に見えるこの梅に

メジロのカップルがやってくるのを楽しみに

ずっと外を見ていました。

 

母は外で働くのが大好きな人でした。

物心ついたときから、母が家に居た記憶はありません。

母とのコミュニケーションは、交換日記のようなノートでした。

 

私 今日学校でこんなことがあったよ

 

母 テーブルの上に、500円を置いておくね

  何か買って食べてね

 

私 参観日のお知らせをテーブルに置いておくね

 

母 給食袋を洗って、アイロンをかけたから

  忘れ物をしないようにね。

 

たわいのないひと言日記のようなノートは

いつの間にか、何冊にもなりました。

 

母の遺品を整理していたら、ノートの一部が保管されていました。

母にとっては、宝物だったようです。

 

高校生のときに海外留学をしていました。

今でこそ、インターネットが普及し、どこにいても

手軽に遠く離れた人とコンタクトを取れますが

当時は、携帯電話もなく、メールもありませんでした。

国際電話は通話料がとても高くて、できませんでした。

母は心配性だったので、単身海外へ行く娘を送り出すのは

不安でたまらなかっただろうと思います。

 

私は、留学先より毎日絵はがきを書いてポストに投函しました。

今日あったこと、これからあること、学友や学校のこと、

ホストファミリーとの生活のこと、観光をしたこと、

現地の美味しい食べ物など、見たり聞いたり経験したりしたことを

思いつく限り毎日毎日書いて、絵はがきを投函しました。

”お母さんにも見せてあげたい” 一心でした。

 

私の書くことの原点は、”お母さんにも見せてあげたい”

ただただそれだけです。

 

母は旅立ってしまいましたが、今年もこの梅を

楽しみにしていたことだろうと思います。

お母さん、咲きました。