なだらかな坂の続く丘の先に小屋が見えた。バイクを止めて見やると、中は伐り出した木材が収納されていて木のいい匂いがする。振り返るとコンクリ打ちっぱなしの公民館が建っていて、尋ねるとK先生夫妻が作業をされていた。奥さんは手芸をされていて、一抱えもあるような大きなヌイグルミをたくさん作っておられた。そこに置かれたベッドの上に6体程並んでいる。ヌイグルミにはオレンジに顔のついたキャラクターのタグがついている。病院にずっと入院している子供達を支援する団体のマークのようだ。
K先生と表に出た。見上げるともの凄く高い赤い塔があって空に向ってそびえている。空には鏡があるのか、その塔のそびえた先に塔とその一帯が空に映しだされている。その奇景に驚いて、興奮してしきりにシャッターを切った。丘を見上げると、ゆるい坂の両サイドに住宅街が並んでいる。ここのどれかがK先生ご夫妻の家なのだろうと考えている。
K先生が、「ほら」と懐からカメラを取り出した。ソニーのミラーレスのようだが海外製のようだ。ソニーの特徴的なミラーレスの形をしておらずペンタ部のある一眼レフカメラの形をしていた。もさっとしたデザインで、ソニーのシャープさがない。ペンタ部上部にドーム型の露出計がくっついていて、どこにホットシューが付いてるんだろうかと考えている。