「俺の名は、モビー 私立探偵のモビー
俺は今、『フロッグポッドＭＧ０５カエルちゃん号』の操縦席座っている
窓の外には、見覚えの有る 鬼岩島の砂浜が見えているんだ
たった今、敵に見つからず上陸することが出来たんだな
やっと、ここまで来たって感じだ・・・
予定では、あと２０分で神埼君達 ダーク・ロアに監禁されている学生達が
兄弟子によって解放され、１０分後に、ここまで逃げてくるハズだ
俺は、それまでに彼らを受け入れる準備をしなきゃならないんだ
いよいよ、俺達のミッション『格闘聖書（バイオレンス）』も大詰めだ！！」
久々にモビーは独り言で、今の状況を教えてくれた
ザザーン ザザーン ザザーン ザザーン
モビーは、操縦席を立つと島に上陸する準備を始めた
「親びん 一人で大丈夫でやんすか？」
言葉づかいは変だが、フロッグポッド０５はモビーの事を心配していた
「大丈夫だよ・・・たぶん・・・言うほど自信は無いけど
でも 皆が逃げ出して来た時に、素早く全員収容する為の用意をしとかないとね」
そう言い残すとモビーは、ハッチを開け鬼岩島に上陸をした
その頃、鎧将ギ･ガイブは谷を下り 流れの早い川を渡り 間近に迫った海岸基地を目指し森の中を急ぎ進んでいた
「大分遅れてしまったが、海岸基地はもうすぐだ
急ぎ『メタル・ファルコ』を起動させ、ガルバス様の元に向かわねば・・・」
ガイブは、冷静さを失わないよう心を静めながら海岸基地を目指していた
しかし、そんなガイブの努力を打ち壊す 想定外の出来ごとがガイブを襲った
轟音とともに後方の空から巨大な物体が飛んで来たのだ
グォーン！！
ガイブは、振り返り飛んで来る物体を目視した
「なっ、何だと！？」
太陽の光を反射させ眩いほどに輝く その物体は、まぎれもなくメタル・ドラゴの頭だった
その瞬間にガイブは、ガルバスの敗戦を悟ったが認める事は出来なかった
「まっ、まさか！
ガルバス様が、メタル・ドラゴが負けるなど・・・有り得ん！！
宇宙最強の・・・ ダーク・ロア最強の・・・ この私が、唯一敬服する・・・
有り得ん！ 有ってはならん事だ！！」
たとえ宇宙全体が無くなったとしても、絶対に起きるハズが無いと思っていたことが起こった・・・かもしれないと思ったガイブは、パニック状態になりメタル・ドラゴの頭が飛んで行った方へ走って行った
自分の予想が間違いで有ることを祈る気持ちでガイブは、木々の中を走った
森が終わり明るい平地に出た時、ガイブの微かな希望は打ち砕かれた
「ガルバス様・・・」
ガイブは、メタル･ドラゴの無残な姿を前に途方に暮れてしまったが 自分が今、何をすべきかが すぐに思い浮かんだ
「メタル・ファルコで、ガルバス様の弔い合戦だ！
宇宙刑事め！ 絶対に許ん！！」
ガイブは、急ぎ『メタル・ファルコ』が格納されている海底基地につながる海底トンネルの入り口が有る海岸基地に向かった
その頃、機甲将軍ゼ・ガルバスが操縦するメタル・ドラゴを撃破した宇宙刑事レイカースは、メタル・ドラゴの高出力レーザー砲の直撃を受け動かなくなったグランドダイモンの操縦席にいるレミーに連絡を取った
「レミー！ レミー、聞こえるか！？ 応答してくれ！！」
しかし、レミーからの応答は帰ってこなかった
レイカースは、レイカースロボ・ビクトリーをグランドダイモンから上がっている煙の方に向かって急ぎ歩きださせた
レイカースが、肉眼で捉えたグランドダイモンは炎と白煙を噴き上げていた
「レミー！ 燃料に引火する前に消火しなければ！」
レイカースは、レイカースロボ・ビクトリーに搭載してある消火機能で急いで吹きあがっている炎を消火した
「よし、完全に消火出来たな」
レイカースは、爆発の危機を回避出来たグランドダイモンの機体を軽く揺すり 操縦席にいるレミーに呼びかけてみた
「レミー！ 大丈夫か！？」
すると、グランドダイモンから返事がジョーク混じりで返って来た
「レイカース？・・・大丈夫・・・よ でも、あまり揺すらないで・・・酔っちゃうから」
「ははは それはすまなかったね・・・ でも、良かった」
レイカースは、レミーの無事が確認でき安心した
「目を覚ましたばかりのところ悪いが、グランドダイモンのシステムは起動出来そうか？」
「ちょっと待って 今、確認するから・・・」
レミーは、グランドダイモンのコンピューターシステムを確認してみたが起ち上がる事は無かった
「駄目ね・・・完全にイカレちゃってる これじゃ、動力の機動も出来ないわね」
グランドダイモンは、この後のミッションに必要な戦力だったので 戦線から外れることは痛手だった
レイカースは、一瞬考えたが すぐに次の行動に移った
「仕方ない、グランドダイモンは諦めるしかないな・・・
モビーとの約束の時間の事も有る！ 一部変更して、作戦を続行する！！」
作戦の性格上、モビーとは作戦終了まで連絡をとることが出来ないので 今の状況をモビーに知らせることは出来なかった
残った戦力で、打ち合わせ通りのタイミングで作戦を進行させるしか無かったのである
「レミー この後、グランドダイモンで行うハズだった鬼岩島要塞への攻撃は
レイカースロボ・ビクトリーのプラズマ・キャノンで行う」
「了解・・・
でも、グランドダイモンが動かないと 要塞攻撃の後のミッションが継続出来ないわ」
「大丈夫 要塞攻撃後 レイカースロボから合体解除して スカイダイモンを預けるから
俺が、海岸の基地に向かった事に気付かれないように
レミーは、スカイダイモンで思いっきり暴れてくれ」
「スカイダイモンって、大門はどうするの？ 海岸基地まで、結構距離有るわよ」
「走って行くから大丈夫だ」
「走るって・・・」 
かなり無理が有るミッションになってしまったが、それ以外に対応方法は無いので
レミーも、その作戦変更を承諾した
ズオオオオオン
作戦の変更事項を擦り合わせると レイカースとレミーは鬼岩島基地への攻撃を再開した
怒りに任せ走ったガイブは、何処をどう走ったか 全く覚えていなかったが、気が付くと波の音が聞こえていた
「海か・・・やっとたどり着けたな すぐに、海底基地に・・・」
そう言って、防風林から浜辺の岩場に飛び出たガイブの目に 予想だにしない光景が飛び込んで来た
「なんだ！？ これは！！」
岩場を挟んだ反対側の浜辺に、巨大なカエル型のメカが存在していた
そして、砂浜には見覚えの有る地球人の姿が有った
「あいつ！ 生きていたのか！？」
ガイブは、岩場を越えて見覚えの有る男の前に仁王立ちした
突然目の前に飛び出て来た、出来れば一生会いたくなかった『金ぴか鎧野郎』を目にしたモビーは、自分の勘が当たった事を喜ぶ気にはならなかった
「あ～あ 見つかっちゃった・・・ やっぱ、こうなるのか・・・ しゃあねぇなぁ・・・」
そう言いながら、モビーは頭を左右に振り 首の骨をポキポキと音を鳴らし腕を交互に回しウォーミングアップを始めた
ガイブは、モビーの事より 海上に有るフロッグポッド０５の存在が気になっていた
「まさか、これが本当の目的か！？
銀河連合艦隊はおろか、宇宙刑事の戦闘母艦による奇襲攻撃までも
我々に、この事を気付かせない陽動の為のオトリだったと言う事なのか・・・」
ガイブは、ここに来て初めて 今回のレイカース達の作戦の本当の目的を知ったのだった
「ばれちゃったんじゃ仕方無いね うん、当たり」
モビーの言葉を聞いて、ガイブの怒りは頂点に達した
「オトリだと！
そんな事の為に、ガルバス様は メタル・ドラゴは 我が艦隊は
俺の部下達は、死んでいったというのか！？
貴様らだけは、絶対に許さん！！」
〔あとがき〕
今回の新撮の為に、２７年振りに『メタル・ドラゴ』の頭を厚紙で作成しました（笑）
（２７年前のメタル・ドラゴ製作風景）
作り方は、ほぼ同じです・・・ 設計図は、私の頭の中のだけですけど（笑）
紙工作の良いところは とにかく安い！（笑） 今回の実費は、５０円ぐらいですかね（笑）
紙工作の醍醐味は、工作用紙に出来上がりの姿を思い浮かべて計算しながら線を引いて
実際に、組み立てた時に計算通りの形になると 超やった感が有ります（笑）
そのあと、薄い紙を糊で貼って形を整えて
銀紙を貼ると それっぽくなります
２７年前と決定的に違う素材は、目の部分に貼ったフォログラフィ紙です
あの頃、こんな素晴らしい素材なんか売ってませんでしたからね
しかも、材料は全て１００円ショップさんで買った物です
こんなに素敵な素材が、いとも簡単に入手できる・・・なんて、素晴らしい時代なんだ（笑）
レイカースロボ・ビクトリーとメタル・ドラゴが、どんな闘いをして勝敗が決まったか 気になる方は２０１１年１０月17日更新の宇宙刑事レイカース２〔格闘聖書〕第２２話を御覧下さい
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本編（桜大門目線）での今回のストーリーが気になる方は、２０１１年１０月２５日更新の宇宙刑事レイカース２〔格闘聖書〕第２３話を御覧下さい
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