『歌舞伎のかわいい衣装図鑑』 君野倫子/著 市川染五郎/監修

小学館 1,680円 A5判 128ページ 2008年4月発行 ISBN9784093107235

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歌舞伎見人(かぶきみるひと)




■出版社の案内文


敷居が高いと敬遠されがちな歌舞伎の世界。でも、ひとたびその非日常で美しく華やかな空間に足を踏み入れると、魅惑の世界に取り込まれる……。そんな経験をした著者が、一人でも多くの女性、特に、和もの、着物好きな女性に魅力を伝えたいと案内する、ちょっとユニークな歌舞伎指南書です。「図鑑」とあるとおり、色彩・柄・コーディネートの魅力あふれる衣裳を中心に、小道具、髪飾りなど、歌舞伎の舞台でしか見られない数々の品をこの本のために一つずつ撮影し、衣裳、小道具、床山(鬘・髪飾り担当)のプロのみなさんに著者の「驚き」「疑問」をぶつけつつ解説を書き、仕上げました。監修は、立役から女形までこなし、歌舞伎以外にも映画・テレビ・舞台で活躍中の市川染五郎氏。着物好きさんにも、歌舞伎好きさんにも、楽しみが十倍になる本です。


■目次

はじめに


あ行 赤姫/花魁/扇/帯 

か行 傘/髪飾り/裃/季節/キセル/格子/腰元/こしらえ

さ行 シースルー/仕事/真紅の女/筋書/裾まわし/ストライプ

た行 足袋/手ぬぐい

な行 女房

は行 履物/鉢巻/ハンサム/びっくりコーデ/吹雪/ふんどし/ペアルック

ま行 前かけ・たすき/身だしなみ/モチーフ

や行 役者絵/有名キャラ


こうして私は歌舞伎にはまった 5Steps

Step 1 役者にはまる

Step 2 劇場に足を運ぶ

Step 3 演目を知る

Step 4 着物の楽しみが広がる

Step 5 受け継がれる芸に惚れる


染五郎さんに聞く - 役作りから着物話まで


舞台を支える人達 衣装/小道具/床山


コラム

 歌舞伎の女言葉

 懐紙の使い方(歌舞伎に学ぶエチケット)

 帯の歴史

 江戸の手ぬぐ

 座布団のすすめ方(歌舞伎に学ぶエチケット)


KABUKIMONO

 歌舞伎の友 - お弁当と甘味

 歌舞伎の演目柄のハギレ

 歌舞伎いろはかるた

 歌舞伎カラーと歌舞伎モノ


■歌舞伎見人メモ (抜き書きの部分もあれば、まとめた部分もあります)

・(染五郎さんのコメントより)新歌舞伎十八番の一つ『素襖落』の太郎冠者が持つ扇は、太郎冠者を演じる役者

 が自分で扇に蝙蝠が羽を広げた絵を描きます。蝙蝠の柄は成田屋を表す図柄で、新歌舞伎十八番は市川

 団十郎家の芸ですので、誰が演じてもこの柄を描くことになっています。


・帯といえば、今ではほとんどの人がお太鼓を結ぶが、お太鼓結びは江戸後期に生まれた帯結びで、

 深川芸者が流行らせたそ咲く結び。江戸初期は、丸組の編んだ組紐を巻き、花結びをしていた。しだいに

 帯の幅は広くなり、長さも長くなったきっかけが、初代上村吉弥が考案した吉弥結び、初代水木辰之助の

 水木結び。


・浅草の猿若町にある藤浪小道具さんは、創業138年の会社で、歌舞伎はもちろん、テレビ、商業演劇にとって

 なくてはならない存在。

 大道具、小道具、床山という仕事分担の中で、どこまでが小道具かというと、役者が手にするものはすべて

 小道具。役者が家の柱を剥ぎ取って立ち回りをすれば、その柱は小道具。桜の木を折って手にしたら、その

 枝は小道具。簪を抜いて手にしたら、それも小道具。


・室町時代以降、武家では足袋の着用は許可制になった。御殿女中でも病人でも足袋を履くな許可が必要。

 また、遊女や花魁は足袋を履いていないが、素足の美しさが彼女たちの売りだったから。足袋は野暮だと

 履かなかったそう。


・紫鉢巻を左に結んでいる場合は、病鉢巻といって、恋わずらいや、病気だということを表しているのに対し、

 右に結んでいる場合は、ハンサムのしるしになる。