国の法律は国会が定めます。

自治体の条例はその自治体の議会が定めます。

会社の規則は会社内で定めます。

いずれも「条文」があってそこに内容が定められており、皆実際にその決まりに従って行動することで「決まり」は初めて実効性あるものになります。



私が勤務する放課後デイサービスにも利用規則があり、会社で定めています。

利用規則は保護者との関係では「契約」で利用規則を守ることに従ってもらい、実際に利用する児童が施設の規則に従って利用することになります。

この場合も、利用する児童が規則を遵守してもらうことによって円滑な運営が成り立ち、誰もが利用しやすい施設になっていきます。

子供たちは学校に通うのが主ですので、学校では「校則」に従って過ごしています。

ただ、放課後デイサービスに通う子は何らかの精神的問題を抱えている子が多いですので、学校の校則も実は十分に理解できていない子も多くいます。

そういう子にも施設の規則を守ってもらうために、違反行為があった場合は通常学校などで行う方法とは違って、よりわかりやすい言葉や言い回し(小学生以下の幼児に対する言葉や表現を使ったりとか)、ボディラングェッジなどで何をしていいのか、いけないことは何かを説諭します。

一朝一夕にはなかなか身につきませんし、個人差があるので体得してもらうまでにどうしても時間はかかります。

それでも根気よく同じことを繰り返したり、時には説明する角度を変えて説いてみたりと、いろいろ工夫してその子に浸透するように努めますが、健常者のようにはうまくいかないのが実情です。

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ただ、理解できるようになることは即その子の成長につながり、行動規範として確立するとそのルールは「身についた」ことになり、今度は自分で実践することでそのルールが意味を持つ=実効性あるものとして機能するようになります。

また、一緒に遊んでいる友達との間で共通のルールを守れるようになると、その子たち同士は「感情」だけでなく「理性」でも関係を構築できるようになります。

つまり、感情の赴くままに行動していると必ず衝突が起きますが、ルールによって感情に抑制がかかることで理性が機能し、やっていいことといけないことの区別がつくようになり、ルールを踏み越えると相手を傷付けることまで学びます。

こうして、子供たちの変化と成長がルールの実効性をいわば「担保」する形になるのです。

言い換えれば、ルールが子供たちの変化と成長を後押ししていると言ってもいいでしょう。



更に、運営していると従来のルールでは不都合が生じる場合があります。

子供たちが利用しにくくなっているとか、われわれ職員も使い勝手が悪いルールというのも時間の推移によって生じることもあります。

職員自ら気づいて直すのが原則ですが、時に目が行き届かず子供たちの様子によってそうした不都合さを感知する場合もあります。

あるいは子供たちの指摘によって初めて気づくことも時にはあります。

こういう場合は、子供たち自らルールの策定過程に参加していることになり、ルールの担い手ばかりでなく言ってみれば「創造者」として新ルールに実効性を持たせることに貢献していることにもなります。



子どもたちは日々成長していくものです。

成長に伴って自身に見えてくる「景色」も当然変わってきます。

それが、自分たちの生きる社会をよりよくするために何らかの役に立ちます。

われわれ大人たちがそういう「目」や「芽」を見逃さないよう、ルールをよりよいものにアップデートし、実効性を保てるものにして行くよう、日々努力していく必要があります。