『おじいちゃん、ほら、みんな来てくれたよ。』おばさんが言った。
おじいちゃんはピクリともしない。
ベットを囲み、無言の時が過ぎる。
ふとおばさんに目をやると、涙を流し、じっとおじいちゃんを見つめている。
待合室に戻り、椅子に腰掛けた。家族のうち誰一人、口を開こうとしなかった。
何時間経っただろう。
辺りはすっかり暗くなり、病院内は静けさが一層増していた。
世間は年越しで慌ただしく動く中、おじいちゃんはゆっくりと息を引き取った。
医者から第一声を聞いた時は心に大きな穴がぽっかり開いた気がした。そして涙が止まらなくなった。
(続く)