紀州屋良五郎 ☆関西の大衆演劇・上方芸能・イベント☆最新情報★ -19ページ目

紀州屋良五郎 ☆関西の大衆演劇・上方芸能・イベント☆最新情報★

Produced by 紀州屋 ☆ 大衆演劇・上方芸能・イベント・映画評☆情報系日々更新ブログ

〇 見てもろておおきに〜まいどおなじみの観劇メモでおま

〇 「綺麗に品よく」がモットーの劇団

〇 大盛況  満員札止め

★ 写真撮影は全て禁止

☆芝居  小泉版「明治一代女」

川口松太郎原作  辰己小龍 脚本・演出

≪配役≫

小泉たつみ‥ 巳之吉(箱屋)沢村仙枝(のち・津の国屋仙之助)

小泉ダイヤ‥芸者  秀吉

小泉ライト‥警察署長

辰巳小龍‥お梅

辰己竜子‥お梅の母

辰己和たる?‥武彦(お梅の弟)

神楽良‥箱屋の親方

宝良典‥新聞社社長

辰己花‥芸者

ほか  

 

【たつみ版『明治一代女』─お梅という女の人生】

「明治一代女」のお梅。

役者に恋をして道を踏み外した愚かな女。
その果てに人を殺した、稀代の毒婦。

そんなふうに語られることの多い女性だ。

けれど、この日、辰巳小龍が舞台で生きたお梅は、まったく違っていた。

真面目で、健気で、利発で、家族思い。
小さな体いっぱいに気を張りながら、懸命に生きている一人の女性。弟思いの姉は旦那も持たず花柳界で生きてきた。

 

〇清らかな梅の花

物語の序盤、お梅の着物は純白。

芸者でありながら旦那を持たず、「男嫌い」とまで言われるほど潔白に生きてきた女性だった。

それもすべては、母と弟・武彦を養うため。

好きで芸者になったわけではなく、家族を支えるためだけに働き続ける姿が胸を打つ。

そんなお梅が初めて心を寄せた相手が、役者・沢村仙枝。

「別にねぇ、変な仲じゃあないんだよ」

そう言いながらも、

「そりゃあね……あんな素敵な人だもの……」

と、ぽつりと本音を漏らす小龍演ずるお梅は可愛らしい女である。

しかし、その恋は大物芸者・秀吉の嫉妬を招く。

客前で三味線をけなされ、嫌味を浴びせられ、理不尽ないじめに耐え続けるお梅。

眉をきゅっと寄せ、涙をこらえる小龍の表情には、胸が締めつけらる。

一方の秀吉は、黒を基調とした着物に身を包み、堂々とした物言いで舞台を支配する。

 

〇 恋が運命を狂わせる

仙枝の襲名披露を成功させたい。

その一心で、お梅は箱屋・巳之吉から千円を借りる。代わりに求められたのは、

「襲名披露が終わったら芸者を辞めて、俺と夫婦になってほしい」という約束。

お梅は確かに頷いてみせた。

しかし、仙枝から

「お梅、お前を俺の女房にすると決めていた」

と告げられ、その約束を守ることができなくなる。

恋に染まり、同時に破滅の色へ染まっていく、抗う事すらできず流されゆくお梅。

裏切られた巳之吉は、お梅を執拗に追い続ける。

そして雪降る十二月二十七日。

「来ないで、来ないで……」

逃げ惑うお梅の手に握られた匕首で、巳之吉を刺す。

「あたしじゃない……違う……」

動揺し、その場から逃げようとするお梅。

しかし積もった雪が、その足を絡め取るように動きを奪う。赤い着物に白い雪。

黒い街灯にもたれかかる小龍に紙吹雪が降り積もる場面は、この日の舞台でも屈指の名場面になった。

これぞ、小泉版圧巻の芝居。

 

〇最後に残された救い

物語は五日後の正月。

お梅は黒い着物に黒頭巾。

罪人となり、人目を避ける影のような姿で劇場前に現れる。

ただ一つの願いは、

「津の国屋の晴れ姿を、一目見てから牢へ行きたい」

しかし警察署長に捕らえられ、その願いはもどかしくも叶わない。

絶望したお梅は、自ら胸を突く。

けれど人生は、最後にほんの少しだけ優しかった。

晴れ装束の津の国屋が駆けつけ、お梅一人のためだけに襲名口上を述べる。

「今日のこの日を迎えられたのは、命を賭してまで尽くしてくれた、ある女性のおかげです」

その言葉を聞いたお梅は、涙とも笑顔ともつかない表情を浮かべ、客席へ手を伸ばします。

そして最後に叫ぶ、

「津の国屋ーっ!」

その一声に、すべての想いが込められていた

役者に恋をして道を踏み外した女性。

毒婦と呼ばれた女性。

けれど、この夜、小龍が演じたお梅は違っていた。

真面目で、健気で、家族思いで、一生懸命生きた一人の女性。

白梅のように清らかだった彼女は、恋に染まって紅梅となり、最後は黒い罪を背負った梅となって散っていく。

それでも人生の最後に、愛する人の言葉だけは受け取ることができた。

その小さな救いがたつみ版の極地だ。目頭を押さえる客席。私も感動がこみ上げてきた。

拍手鳴り止まず幕となる。

 

箱屋とは芸者の付き人

置屋とは芸者が所属する事務所

検番とは芸者を手配する場所、置屋と同義

切り火とは火打ち石をならし安全祈願をすること

※ たつみ演劇BOXでは小道具のこだわりも精緻である

 

沢村仙枝という役者

男の目から見たらとことん悪い男に思えるがこんな男に惚れるのが女の定めか

 

〇見せ場の一つはこことここ

狂った巳之吉、抗うお梅、降りしきる雪

事の重大さに気づくお梅、浜町河岸が血に染まる

嗚呼‥

 

事切れる寸前、命の限り絞りだすお梅のハンチョウ

 

それにしても客席を釘付けにした小龍脚本・演出の

素晴らしい出来栄えの舞台だった。

 

大衆演劇文化の担い手となり全国を牽引力するたつみ演劇BOXを迎えた華舞台星天座の八月公演は詰めて通いたいものだ。

 

☆口上挨拶  座長 小泉たつみ

☆舞踊ショー   ・ラストショー  火男

 

役者は芝居に惚れて、千両の値がつく、まさに、それはたつみ演BOXのためにある言葉だ・紀州屋良五郎