それから学校は夏休み。
母親の職場の院長先生のお宅に
置いてもらい平和な日々が続いた。
夏休みが終わる頃に
母親が小学校の近くに
小さいアパートを借りた。
引っ越しの荷物は少なかった。
父親から逃げてきたあの日
まとめて持ってきた洋服・ランドセル
少しのおもちゃ。
母親の職場の院長先生と奥さんが
小さなテレビをプレゼントしてくれて
母親の仲間が親子3人が囲める
テーブルをプレゼントしてくれた。
1部屋は3人で寝る部屋。
もう1部屋はご飯を食べたりテレビを見たり
のんびり過ごす部屋。
夜勤は週末だけ。
私たちも一緒に行って
母親の仕事の邪魔をしないように
休憩室で次の日の朝まで過ごす。
夜勤が終わったらスーパーに寄り
3人でアパートに帰りお風呂入って
お昼食べて母親は昼寝。
私と妹は静かに隣の部屋で遊んでいた。
何ヶ月か前までは父親が休みでいると
とにかく怒らせないようにと
気を使っていた週末だったから
静かに過ごせる日曜日が嬉しかった。
2〜3ヶ月経ったある日の夕方
学校から帰宅して妹と宿題をやっていたら
「今日家の近くに父親の会社のトラックがいて
Jくんがジュース買ってた」
と妹が話し始めた。
Jくんとは
父親と一緒に働いてた若いお兄さん。
時々父親が家に
若いお兄さん達を連れて来て
その中にいた1人。
よく一緒に遊んでくれた。
その人達を父親が連れてくると
母親が夕飯を作って出したり
時々お弁当を作ったりしていた。
「見られてないよね?」
と聞いたら
「たぶん気付いてないと思う。」
焦った…。
今思えば、小学校の近くだけど
前に家族で住んでいたアパートも
父親の会社もそんなに遠くないのだ。
でも転校したくないという
私と妹の事を考えて
母親が一生懸命探してくれた
新しいおうち。
絶対父親に知られたくない。