練馬駅大江戸線の改札からホーム階へのエレベーター。先に乗っていた親子?の小学校高学年くらいの少年が僕の姿を見つけ、開くボタンを押して待ってくれた。
マスク越しに「ありがとう!」と小声でつぶやきながら会釈して乗り込んだ。エレベーターの奥には、両手杖の脊椎症の少年のお母さんらしき方が乗っている。
向こう側から初老のオッサンが小走りで向かってくるのが目に入り、咄嗟に「開」ボタンを押した。そのオッサンが乗り込むや開口一番、お礼を言うでもなしに、「普段から走って鍛えてるから間に合った、やっぱり走らなきゃね!」と大きめの声が耳に入る。少年が小声で「走りたくても走れない人もいるよ!」僕の耳に届いたけど、初老の方の耳まで届いたかは定かではない。
杖が必要で走ることなどできない僕はそのオッサンの言葉に少しカチンと来て、少年の言葉に相槌を打つように「オジサンも走れないんだよ!みんなが五体満足とは限らないからね!」きっとオッサンの耳にも届いてくれたたと思う。ホーム階へ着くやオッサンはそそくさとエレベータから小走りで離れていった。
降りた少年が母親らしき方へひとこと「走れるなら階段つかえばいいのに!」悔しさも籠っていたように思えた。少年に相槌を打っていつもの場所で到着を待つ。
少年の言葉に少しスカッとしながらも、未だ蟠りが残った心の中で「オッサン、いい年こいて空気読めよ!」