その洞窟は、川を渡るバナナ運搬イカダを見た川岸から1キロほど下流のがけの中腹に掘られていた
草に覆われた崖の、比較的歩きやすい場所を中腹まで下りて、斜めに進んだあたりにその洞穴は存在していた
入り口の手前には、分厚いコンクリートで前を防護した竪穴が掘られていて、なかには水が溜まっていた
そして危険防止と思われる鉄条網の間を潜って中に入ってみると、真っ暗な中から、何かが一斉に飛び出してきた
てっきりこうもりだと思ったその物体は、なんと岩ツバメの群れであった
そのとき初めて、鳥が、鳥目ではない事を実感したが、フラッシュライトも無い状態で、それ以上進む事は危険であり、その洞窟を出ることにしたが、1メートル幅の通路の横には丹念に掘られた排水路が、今でも原型を止めたまま、完成直後ような趣を止めていた
そこにはスピリチュアルなものは感じなかったが、戦争でその場所と留まらざるを得なかった人たちの事を思うと、永く留まるべき場所ではないような気がして退散することにしたが、気が付いてみれば案内してくれたフィリピン人は洞窟に入ろうとはしなかった
今NHKで夏恒例になった被爆問題を取り上げている
今までに何度も取り上げられたテーマだが、これほど生々しい映像を見たのは初めてのような気がして、人間の愚かな行為に思いをはせてみることにした
かつてNOが言えない日本人と呼ばれた、我々であり、仕方が無かったのかもしれないが、これほど悲惨な結果を齎す戦争に対してNOを言わせない国家と言うものを見直してみる必要を感じている