その昔、1983年頃に、私はメール・アート&ミュージック・シーンにどっぷりと使っていました。思えば、当時の硬派な音楽雑誌Fool’s Mateに、秋田昌美さんが、「世界の音楽」と言う連載コーナーを持っていて、それで、メール・アート&ミュージックの世界を知ったと言う訳です。当時としては、SNSやe-mailも無く、郵便だけが、海外や国内と繋がるツールだった訳で、月2万円近くも郵便料金に費やしていました。そんな中で、特に、仲が良かったアーティストが2人いました。1人は、当時はカナダのバンクーバーで、ラジオ番組をやっていたGerald X Jupitter-Larsen氏(The Haters)で、もう1人はオランダでDe Fabriekと言うバンドをやっていたRichard Van Dellen氏です。

 前者のGX氏は、当時、私がK2名義で作ったカセット作品”ZombieAnatomy 1”(c-46)を彼のラジオ番組で、全部放送してくれて、本当に嬉しかったんです。その後も、ずっと交流が続き、彼がThe Hatersとして来日して、日本ツアーを敢行した時も、GXと彼の当時のパートナー、そして一緒に来たScot Jenerik氏を、当時住んでいた千葉県市川市のマンションに泊めてあげたり、ツアーに付き合ったりしたのも良い思い出です。また、私の新婚旅行でドイツのフランクフルトに行った時にも、偶然、GXと会ったりして、皆んなでカフェで談笑していましたね。その後、私が、コロナ禍のパンデミック直前に、アメリカのLAに学会出張で行った時にも、GXと会うことできました。そんなこんなで、交流は続いており、見た目はちょっと怖そうだけど、本当に優しくて、実直な人物です。

 もう1人のRichardは、当時、国際カセット・カルチャーで活動していた人物で、凄く物持ちが良いと言うか、30年前に送ったアートワークなんかもちゃんと保存していたりするんですよね。それで、当時、彼が国際コンピレーションLPを計画していて、5分につき参加料20ギルダーと言う条件で、音源と各国のラジオ番組の一部を集めてましたので、私も参加する事にしました。これが、私の音源が初めてレコードになった思い入れのある作品です。その後も、折につけ、彼のハンドメイドのレコード作品と私のカセット作品とを交換したりしていました。個人的にはレコードとカセットの交換はちょっと忍びなかったのですが、彼は文句も言わずに交換してくれました。Richardとはまだ会ったことはないのですが、私の親友でもあります。

 今や、SNSやメールでの交流も可能になり、気軽に交流できるようになりましたが、その分、繋がりが増え過ぎて、交流密度が薄くなってしまったようにも思えますが、それは時代なので、致し方ないでしょう。そんな長い付き合いになった2人ですが、お互いに良い歳にもなってきたので、健康に注意して、更なる交流を深めたいと思ってます。


GX Jupitter-Larsen & Kimihide Kusafuka 


TNB & K2. Artwork by GX


A 5-Minutes Hour by GX


国際コンピLP “Trans Atlantic Overdub”


De Fabriek & K2 single