『オカンの嫁入り』(2010)母と娘をつなぐもの | 弱小!名作おバカ映画応援団

『オカンの嫁入り』(2010)母と娘をつなぐもの


監督・脚本 呉美保
原作 咲乃月音
出演(役名) 宮崎あおい(森井月子) 大竹しのぶ(森井陽子) 桐谷健太(服部研二) 絵沢萠子(上野サク) 國村隼(村上章) 林泰文(本橋信也) 斎藤洋介(佐々木義男) 春やすこ(島村幸) たくませいこ(和田真) 綾田俊樹(猪瀬亮二)

月ちゃんは、オカンと二人暮らし。ある夜、酔っぱらったオカンは、金髪の冴えない若い男、研ちゃんを連れて帰ってきた。

「私、プロポーズを受けることにしました」

いきなりの宣言、そしてこれから一緒に住むという。当然月ちゃんは納得いかず、普段仲がいい大家のサクちゃんちに転がり込む。

月ちゃん、何だか毎日フラフラしてるようだが、仕事は?…月ちゃんは、過去のトラウマにより、電車に乗ることが出来なくなっていたのだ。だから、月ちゃんの世界は、オカン、サクちゃん、オカンが勤める病院の先生、村上だけ。でも月ちゃんは現状に満足している。だから、乱入者の研ちゃんが、余計に許せないんでしょう。

前半は笑いながら観られるのだが、後半は涙、涙…キャメロンディアスの『私の中のあなた』以来の号泣…。

オカンの月ちゃんに対する強い愛情。月ちゃんが、今の現状に満足していることが心配でならない。オカンは、白無垢が着たいから、試着するのに電車にのって一緒に行こうというのだが、月ちゃんは自分が邪魔になったからだと誤解してしまう。逃げ出そうとする月ちゃんを、ガッツリ掴んで離さないオカンの姿は、月ちゃんのことを本気で思っていないと出来ないこと。誰のオカンもそうだと思いますが、絶対に太刀打ち出来ない存在。大切な娘のためなら、鬼にもなるし、嫌われたって、大事なんですから。

だが、オカンが余命一年だと分かる。倒れて入院…そして朝、サクちゃんちで泣いていた月ちゃんに電話が…

「月ちゃ~ん!どこにおるん?起きたら誰もおらんねんもん?どおゆうことぉ~?」

能天気なオカン…ほんと強い!

オカンの病気のことを知っていたのは研ちゃんだけ。何で教えてくれんかったん?教えてくれてたら、対応変わってたのに…いやいや、オカンはそんなこと望んでいません。

「死ぬから受け入れるん?そんなん全然嬉しないわ…」

入院して治療に専念することも拒否してるオカン、月ちゃんとのいつも通りの日常を壊したくないという思い。

月ちゃんちで飼われている犬のハチも、病気でダウン。以前からおかしかったはずなのだが、それに気づいていたのは研ちゃんだけ。オカンの病気のことを知っていたのも研ちゃんだけ。一番近くにいるのに分からなかった月ちゃん。どちらも共通点がある。

だけど、ハチは物言えぬ犬ですから、月ちゃんが気づいてあげるべきなのだが、オカンの場合は違う。月ちゃんのことを思う強いオカンにはやはり太刀打ち出来ません。

ラストは、結婚後幸せな月ちゃんたちで終わるのだが、研ちゃんのセリフ「これまでと同じようなことが、これからも続くとは限らない」とあるように、おそらくオカンはいつかはいなくなってしまうだろう。でも、あのラストを見る限り大丈夫!だと思えます。




Android携帯からの投稿