サラリーマン時代に、スラッとした紫色のスーツ着て、確か写研の本社での研修の帰り、

会社からは「定期券が神保町~新宿になっているから交通費は神保町から写研本社の駅までの切符代金で計上します。」と念を押されたけど、

通勤地獄が大嫌いでしたから、

月イチで赤い電車は海老川の土手で横転する時代ですから、

路線図を見てラクをして帰りたかった。

ニュースステーション(現報道ステーション)、筑紫哲也のニュース23、NHKの夜9時のニュース、
の時代に、

「初めて乗るが、先頭車両か最後部が空いているハズだ。」

で、先頭は混んでいたので最後部に


「やたた!ガラ空き!オレ一番~!」

のホームの先頭で「座る策、作戦」を考えていたが、

なんかアナウンスが連呼している。

こっちは座りたくて聞こえていない。

だが、「列車は遅れます」

頭では(ざけんなっ!人増えたら混むじゃねーかよー)

で、駅員さんが見かねて私に声を掛けた。



「もしもし?ここは女性専用車両ですよ。」


『なんすかその男性差別?』

「いや、条例で決まりましたし、少なくとも営団線では決まっています。ニュースご覧にならなかったですか?」

『ニュースステーションも筑紫哲也さんも好きだから毎晩見てます。その様なニュースは今の所報道されていません。なんすか?その逆差別?』


たぶん駅長クラスの方だったようで、駅長さんは落ち着いていて話題を変えた。

「では、あなたは何故ここに立っているのですか?」



『空いているし、列の先頭に立てたから座れる可能性がかなり高いからです。ドアが開いたら一番乗りで関取合戦して座りたいからです。仕事で疲れているからです。』


そこへノロノロと遅れていた地下鉄が来た。パアーンと警笛を鳴らしながら。

駅長さんは後ろに消えた。



で、俺がしたのは「席が空いているのはどこか?どのドアに何人降りる人(邪魔する人)がいるか、などを最短コースでルートを瞬時に考えた。」

ぷしゅ~、とドアが開き、紫色のスーツの若くてスマートな俺はダッシュして狭いが空いている座席に見事座れた!



だが、まず臭い。

そして「ほぼ全員が俺を(ケッタイ奴おるわ)みたく視ている、つか睨んでいる。」



(これはただ事ではないっ!)

せっかく座れたが、慌てて隣の車両に移ろうとしたが、ガタガタやってもロックされているんだか壊れているんだか、、、


そこへ、車掌さん(先程の駅長クラスさんだったかも)が来て、カギを開け、無事紫色のスーツが普通車両に移ったのを見てまたカギを掛けた。



無知とはおそろしい。





(実はやっとこさ就職が決まってサラリーマンの仕事が充実していたから、ニュースを見る暇畷が無かったんだよね。フレックスタイム制だけど結局「課長より遅い出勤」だと気まずいからなんだかんだで朝7時04分とかの赤い電車とか新宿線とかだったから。)




無知とはおそろしい。

「知らなかったでは済まされない」からなあー。