読解に関する2つの視点
現代文の読解では、文と文の関係と筆者のイイタイコトをそれぞれ把握する必要があります。
この2つの視点は、切り分けることが大切です。
例えば、
「Pは、AであるがBではない。しかし、Qは、AでありBでもある。」
という文章の構造は、
まず、「しかし」の前後で、Pの話とQの話に分けられます。
次に、Pの話は「Aである」ことと「Bではない」ことに分けられます。同様に、Qの話も「Aである」ことと「Bでもある」ことに分けられます。
これが文と文の関係の把握です。
しかし、これだけでは、筆者のイイタイコトは掴めません。
上記のような文章では、
「Qは、AでありBでもある」ことがイイタイコトである可能性もありますし、
「PとQは違うんだ」ということがイイタイコトである可能性もあります。
つまり、筆者のイイタイコトを把握するには、
文と文の関係の把握とは別の考慮が必要である
ということです。
現代文の参考書
現代文の参考書は、文と文の関係と筆者のイイタイコトという2つの視点を切り分けず、ごちゃ混ぜにして解説されているものが多いです。
その中でも、数少ない「2つの視点」を適切に切り分けた上で段階的に学べる参考書ルートをご紹介します。
Aルート
↓
↓
Bルート
↓
↓
各ルートの解説
まず、Aルートの中心となる参考書は、
「現代文読解力の開発講座」です。
この参考書は、各講の解説が
文と文の関係の把握→意味段落の把握→筆者のイイタイコトの把握
という順序で進んでいきます。
なので、この参考書1冊で「2つの視点」とそれを使った読解の全体像を学ぶことができます。
これに、文と文の関係に関する解説が詳しい「池上の短答からはじめる現代文読解」と、筆者のイイタイコトに関する解説の詳しい「現代文読解の基礎講義」を組み合わせたのが、Aルートです。
他方、Bルートは、
最初の「ゼロから覚醒 はじめよう現代文」の後半で、筆者のイイタイコトに関する解説がされており、
その説明を踏まえて、「ゼロから覚醒Next フレームで読み解く現代文」において、文と文の関係の解説がされています。
そして、「ゼロから覚醒Final 読解力完成現代文」では、最後のまとめとして要約の方法が解説されています。
どちらのルートが良いのか。
結論から言うと、個人的にはBルートをおすすめします。
Aルートの中心となる開発講座では、文と文の関係を同値と対立の2種類で分析します。
他方、BルートのNEXTは、文と文の関係を否定・論と例・論証・条件法・差異・類似・並立と選択・矛盾と逆説に分類しており、これと比較すると、開発講座の解説はどうしても見劣りしてしまいます。
例えば、開発講座では、論と例の関係も、類似の関係も、並立の関係も、すべて「同値」に括られていますが、これでは文章理解の解像度が低くなります。
また、そもそも「対立」関係という整理にも疑問があります。
並列されている2つのものについて、それらの共通点に着目して同値関係ではなく、相違点に着目して対立関係であると判断するには、先に筆者のイイタイコトを把握できていなければいけません。
文と文の関係を通じて筆者のイイタイコトを把握しようとしているにもかかわらず、これでは本末転倒です。
以上のような開発講座の問題点は、『池上の短文からはじめる現代文読解』で補うことができます。
短文からはじめるは、文と文の関係を論と例・対比・並立と添加・類似関係・限定条件・因果関係・矛盾と逆説に分類しています。