現在3台のアンプに繋いでいるCDプレーヤーは12台。

ジャンク入手して修理後しばらくその個性を楽しんでから売却した台数は50を超える。だから現在愛用しているプレーヤーはちょこちょこ手入れしながら今後も手放すことはないだろう12台だ。もう設置場所もないし。

 

なのにまた買った。修理→売却 ではなく愛用機として。

Lo-D DA-703D 1987年発売 89,800円 PCM56P x4 重量10.5kg

物量合戦真っ只中、おそらく日立なりに力を込めた最後のモデルだろう。だが、残念ながら長岡鉄男氏の御眼鏡にはかなわなかったようでダイナミック大賞には選出されていない。音については後述するが、特に目を引くデザインでもなく地味で武骨でさえある。高倉健「不器用ですが・・・(CDプレーヤーも作ってみました)」のよう。

 

いつものように天板を外そうとしてその重さに意表を突かれた。裏に厚さ2mmの鉄板が取り付けられた二重天板は重さ約2.1kg。

 

底板にはVCソリッドベースと称する重さ約3kgの特殊樹脂。接触面(右画像)には、コンピューターシミュレーション解析による60個のシリンドリカルアブソーバー(円柱状突起)をアトランダムに配置し、振動を減衰するとともにボディの低重心化を図っている(のだそうだ)。

 

電源部とオーディオ部には日ケミのオーディオ用電解コンデンサが使用されている。デジタル用とオーディオ用に分けた2トランス。黒いカバーはカッコいいが何故片方だけなのか。ん~なんとも中途半端。

 

トレーが開かないというジャンクを入手した。

じゃあベルトを交換すれば全て解決!と思いがちだが、コトはそう簡単に収まらないのが世の常。トレー開閉不良のため以降の動作は未確認ということは、ベルト交換してディスクを入れても回らない、回っても読み込まない、読んでも音が出ない、音飛びする、スキップしない、ノイズ発生等々、様々な可能性がある。

 

最近はどうもジャンク修理に対する意欲が減衰している。

鬱陶しい梅雨の中、盛んに伸びまくる雑草処理は自宅庭だけではなく、一人暮らしだった爺さんが施設に入所して以来空家になっている西隣の庭、股関節を痛めて足を引きずっていた一人暮らしのおばあちゃんが先日右膝にもガタが来て杖なしでは歩けない東隣の庭。すでに仕事を引退した私なので見て見ぬフリする訳にもいかず、ボランティア精神よろしくボーボーの雑草と格闘している。遠くに住む両隣の息子・娘からは感謝されてはいるが、「お前ら、親の家の面倒くらいちゃんとしろよ!」と喉まで出かかっている一言を押さえつつ・・・。自宅、東隣、西隣、いずれも庭の広さ100坪以上。やりがいがあるっちゃあるw

 

こんな状況だから、ジャンクを入手して「さあ、かかって来なさい」と修理意欲満々とはならない。

 

さてこのDA-703D、商品説明通りでトレー開閉ボタンを押しても反応なし。

天板を外してすぐ目に入ったのが劣化して切れたベルト。プーリーをクリーニングしてから 35x1.5mmバンコードを取り付け、レンズは無水エタノールでキレイキレイにし、ピックアップ移動用レールにミシンオイルを塗布して、とりあえず準備オーケー。

 

ディスクを入れてPLAYボタンを押す。反応良く回転し始めたが・・・読み込まない。よ~く観察すると、本来はトレーが閉まるとピックアップがピクピクと上下運動して発光するはずのレンズが・・・発光していない。いや~、参った! お陀仏やんか。ピックアップは HITACHI HOP-M14。ALIEXPRESSで6,500円位の高額品だ。

 

あ~あ、とがっかりしながらディスクを何回も出し入れしていたら・・・読んだ。長年電気とご無沙汰だった回路が息を吹き返すまでちょっと時間を要したということだったのか。それ以降の動作はバッチリ。音飛びなし、ノイズなし、スキップ俊敏。

 

定位がしっかりしていて揺らぎがないので落ち着いて聴いていられる音は、見た目通りでどっしり系で大変結構なのだが、高域の繊細さを重視する方には今一つ不足感は拭えないかも。ウチにある他の1987年発売モデルと比較すると、Technics SL-P770, P990の堂々とした低音とは肩を並べるが明るく華やかな高域の魅力に欠け、SONY CDP-557ESDと比べるに至っては出音の質が違い過ぎてコールドゲームの完敗。ま、SONYのフラッグシップ(180,000円)と比べること自体が酷というもんだが。しかも557ESDは後々のESシリーズと比較してもダントツの最優秀機。CDプレーヤーのお手本だと断言する(感想には個人差がありますw)。

 

ケンウッド鉄工所のマネして、本体を重量級の天板と底板で挟んだだけでは長岡氏の眼はごまかせず、DACはPCM56Px4 とはいえ、Jクラスx2 と Lクラスx2 だなんてみみっちいコストダウンをしているのもみすぼらしい。1987年と88年は物量投入競争の最中なのだ。これが598? これが898? とびっくりされるようなモデルがフツー。比べたらすぐ分かるような見掛け倒しじゃとてもとても・・・ ダイナミック大賞リストをざっと見たところ、アンプ、スピーカー、CDプレーヤー、レコードプレーヤー、チューナー等々、Lo-D は一切見当たらない。選出されればいいってもんでもないけど、皆無ってのも寂しい。

 

だけど買った。

 

この古めかしい書体の社名が良い。

重厚長大な感じは石川島播磨重工業のようでなんとも頼もしい。その辺の町工場のようでもあるがw

 

CDプレーヤーとして優秀とは言えないかもしれないが、ラックに収めると地味でどっしりした容態が醸し出す存在感はなかなかだ。

 

ちなみに、

ヤフオクではトレーカバーに貼られたシールをよく見掛ける。これのどこがありがたいのかね。当時のLo-D最高級機がチャチな玩具みたいになってしまうではないか。とっとと剥がしちまえ!