High and Dry
Amebaでブログを始めよう!
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 最初次のページへ >>

HIP HOP LOVE/ZEEBRA

ご存じHIP HOP界の大御所、ZEEBRA tha Daddyの自伝。

彼自身の生い立ち、生きざま、思想などが赤裸々につづられてゆく。以下感想。


・ZEEBRAという名前の由来に、陰&陽まで含まれていたとは……想定外。

・サラリーマンの経験……「なんとなく9to5みたいな普通の生活にあこがれもあった」と。分かります。

 でもやはり「これじゃない」みたいなものを感じたんでしょうね、その「普通の生活」を通して。だから「俺にはこれ      しかねえ(feat. Maccho)」みたいな歌詞が出てくるんだろうし、リアリティが出るんだろうなあ。

・kjについての部分。よくあのDISはZEEBRAの嫉妬とか某掲示板に書かれているが、それは全くないでしょう。HIP HOPというもの、その精神、についてだれよりも模索し、忠実であろうとしてきたZEEBRAだからこそ、kjの姿勢、行動、諸々に対して許せなかったんでしょう、まさにHIP HOPという名の宗教において。世間一般的に捉えられているHIP HOPというものと本質的なそれとは大きく違うと思う。ちょっと前までならば、HIP HOP=「YO YO CHECK IT OUT」あるいは「ダボダボファッション」、そんで「悪い人たち」みたいな。今もそんな大差ない認識だろうけど、それって結局みための第一印象の話であって。kjも結局、その「みため」のHIP HOPから入ってしまって、本質捉えないままに「I LOVE HIP HOP」とか言ってしまったから、ZEEBRAも怒ってしまったんでしょう。というより、ZEEBRAのDISとはZEEBRAだけのものではなく、特にオールドカルチャーから、底辺から、真摯に本物のHIPHOPを根付かせようと奮闘してきた人たちの怒りの代弁だったんじゃないかな、なんて。そんでもって、その本質的なHIPHOPとは何かというと、この本の中でもZEEBRAが述べている通り、「ストリート(実際の通りとかいう概念を超えて、仲間とのつながりというのが本質的な意味)、オリジナル(自分にしかないものを生み出そうとする姿勢)、カルチャー(本物志向の者たちが自然発生的に作り出す渦、エナジー、パワー)」なんでしょうね。そういうオリジネイターたろうたる精神は、僕みたいな一般人たろうとも絶対に持ってるべきだし、そうじゃない人が多いのも事実ですよね。何よりも「みため」じゃなく「本質」みぬく第三の目が必要ということでしょうな。悪そうに見えて実はいいやつとか実際たくさんいるし、その逆もしかり(←こういう奴最悪)ですしね。

・フリースタイルオンリーのライブ、見たかったな(涙)。

Tokyo Tower


High and Dry



From this site, my eyes are covered with million of lights.
So many cars are running with emitting their flash lights.
It's like a spider's web……

A lot of town's dazzling lights surround me from every side.
I'm standing alone with receiving innumerable solitary hearts.

Oh……Tokyo Tower……
Oh……Tokyo Tower……

From outside, I would be shining with fascinating red.
In spite of, my inner sides are sinking down all day long.
It's like a false star……

A lot of town's dazzling lights surround me from every side.
I'm standing alone with receiving innumerable solitary hearts.

Oh……Tokyo Tower……
Oh……Tokyo Tower……

Whenever I climb up there, I see actual myself.

He is in a deep forest, where is no lights.
He is in a darkness sea, where is no words.

男とマスター

「また戦争だね」
古びたジャズ喫茶店のマスターは、半分壊れかけのぼろ臭いテレビを横目で観ながら言った。
「よくあることさ」
カウンターに座った男は、ジンを静かに舐めながら言った。
「まあ、いつでもどこでもやってるけどね」
「平和な日常の中の見えない戦争。これこそが一番えげつないと思うな。遠回しすぎて。
 平和という表皮を一枚捲ったら、その裏にあるのは血みどろの生存競争さ」
「否定はしないよ」
「そりゃそうさ」

ゆっくりとしたジャズの4ビートのリズムが、背景に虚ろに漂い揺れる。
テレビの中の慌ただしい殺戮の狂乱映像とは、一見すると対を為すけれど、
実際上はジャズの演奏も各々の楽器が互いに静かに鬩ぎ合っている。

「みんなギリギリのところで立っているんだよ。仮初の平和の中でかろうじで爪先立ちさ」
「私もそうさ。君もそうだろ。いつも笑っているけれど……」
マスターは笑いながら珈琲を舐めた。
「笑っている人ほど辛いのかもしれないね。たまにいるじゃないか。
 昨日まで元気な顔でテレビに映っていたアナウンサーが、翌日急に自殺していたりとか」
「気持ちは解かるってかい」
「少しだけね」

その後、言葉が途切れた。あるのは限りなく深い闇と、ぼんやりと頭上に垂れ下がっている、

淡い光を放つ電球だけだ。ジャズは、恰も死者を弔うレクイエムであるかのように、

哀しく響いた。

「泣きたくなってきたよ」
数分後、男はようやく口を開いた。
「そうか。実は、私も急に……」
マスターは微笑に涙が浮かんでいる。

「取り敢えず、生きていることに乾杯しようか」
「そうしよう」

二人は軽くコップの先をチーン、チン、と合わせた。
「あなたに光がありますように」
「君に幸せが降りますように」

二人はカウンター越しにそれぞれ両手を固く握り合い、頭上の虚ろな光を見上げ、

祈りを捧げた。

「主よ、争い堪えぬ此の世に、たとい僅かながらであろうとも、真なる光を与えたまえ……」

二人は眉間に皺が凝縮するほど深く眼を瞑り、救いを求めた。

「それじゃあ、そろそろ帰るよ」
「ああ、今日はありがとう。また来るんだろう?」
「ああ、もちろん。その時は、光を連れてくるよ。本当の光を……」
「私もそうなれるように願っている」
「じゃあ、また」
「さようなら、お疲れ様」
男は店を去った。

マスターは煙草を一服すると、白濁色の副琉円を両の鼻から頭上に吹き出し、

深い溜め息をついて、店仕舞いを始めた。

「光、光……」

心の中でそう思うと、何故か不意にマスターの眼から涙が溢れ上がり、

仕舞には滝のように零れ堕ち、風景が有象無象にぼやけ、

マスターは自分が、背景に流れる幻色的なジャズの中に紛れ込んで、

このまま永遠に放浪してしまうような心地にさえなった。

「ちょっと混乱しているな。今夜は薬を飲もう」

そう思ってマスターは、店を閉めて奥の自室へ戻った。
眠れない夜をどう乗り越えるかが、最近のマスターの悩みの種だった。

1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 最初次のページへ >>