アメブロには影響力がやや有る。

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芥川賞作家・松本清張に「日本の黒い霧」という小説がある。

そこには戦後間もない頃、GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)の占領下の日本で実際に起こった幾つかの不可解な事件について書かれてある。

松川事件、帝銀事件、三鷹事件、下山事件等。

下山事件とは、昭和二十四年七月、常磐線北千住と綾瀬間の線路上で当時の初代国鉄総裁、下山定則氏の轢死体が発見された。

遺体は貨物列車に入念に轢かれた為、線路上数十メートルに渡って胴体、手首、脚、頭とバラバラに散乱していた。

この事件は当初から自殺、他殺両方の説があったが、この事件を作家松本清張は他殺と決めつけ話を進めた。

その内容は、下山総裁は出勤途中何者かに拉致され、その後別の場所に移動して殺害され、現場まで数人の男達によって運ばれ、夜中に線路上に遺体を遺棄した。

事実、当時、文化勲章受章・東大法医学教室・古畑任三郎(古畑種基)教授もこの事件に関しては死後轢断、つまり他殺の鑑定書を出している。

しかし現実問題として、白昼総裁を拉致し、他の場所に移動して殺害、自殺に見せかけるため夜中に遺体を線路上に遺棄するなど到底出来ることではない。

事件後の警察の調べでも、遺書は無かったが、下山総裁が国鉄職員の大量解雇を苦にして鬱状態になり、自殺を図ったとしている。

事実、下山国鉄総裁の元には、GHQの圧力の他にも、国鉄職員や労働組合からの恐喝の電話が毎日のようにあった。組織のトップが思い悩んだ挙句、追い込まれうつ病を発症して自殺を図るはよくあるパターン。 

ましてや当時の国鉄総裁の立場としては他に逃げ場がなかった。

義理人情に厚い温厚な下山総裁としては国鉄職員の大量解雇には耐えられる限界を超えていた。

にもかかわらず、作家松本清張は、この事件をGHQによる自殺に見せかけた他殺の線で話を進めて行った。

恐らく、この共産党支持の作家の頭の中には、最初からこの事件は、国鉄職員や労働組合の反発を抑えるためのGHQによる謀略的殺人という思い込みがあったのではないだろうか。

他に考えられることとして、自他殺両方が疑われる事件の場合、推理作家は往々にして他殺の方に意図的に話を持って行く傾向がある。

その方が話が面白くなって沢山本が売れ、出版社も作家も両方金が儲かり笑いが止まらないからである。