「毎朝キミと散歩から帰ってきた時、
玄関の上のツバメの巣みるでしょ」
ハイ、ご主人の楽しみですよね、
今朝もビービー鳴いてました
「昨日暑さで弱ってて、
一羽力尽きてた」
ご主人がっくりしてましたよね
あの場所は暑すぎます。
「大きくなってきて天井に頭当たってたから
照り返しも辛かったよね」
あとの４羽は今朝元気でよかったですよね
「うん、だけどあの後あまりにも親鳥が鳴いて るから見に行ったらね」
落ちてましたか？
「巣にでっかい蛇が絡みついてた」
えっ！助けましたか？
「長い胴体を玄関の照明と巣に巻きつけて
巣に入って一羽ずつ呑み込んでた」
助けられないですか！！？
「位置が高過ぎて、つついた所でビクともしない、やり過ぎると巣が壊れる、
親鳥も周りを飛びながら必死に鳴いてるけど
近づけずにいたよ。
なんか、
もうどうしようもないんだなぁって、
蛇にだって生きていく権利があるなぁって」
自然の摂理ってやつですか、、、、
「でも、
いつもならビービー鳴いてるヒナが
兄弟が呑み込まれていく横で、
親鳥が目の前で鳴きまくってくのを見ながら、
鳴きもせず、
次は自分の番だって緊張で体を膨らませ
ビクともせず真っ直ぐ前を向いてた顔が
今も頭から離れない」
そんで落ち込んでるですか
「あれは親鳥をみてたのかな、
自分だったら、
あんなに必死に鳴き叫んでる親を見たら
少しホッとした気持ちになるかもって
よく分からん感情と
助けなかった罪悪感と」
「さっき見たらね、
空の巣があるだけ、
あれだけ鳴いてた親鳥もいなかった。
カラスや猫を心配してたけど
ヘビが1番強かった
何というか圧倒的だった」
ご主人が追い払えないんですもんね
「可哀想なことをした」
でもツバメは毎年きますね
「そうは言っても巣立つ確率20%くらいだよ、
これまでも原因わからなかったの
蛇だったのかなあ」
カラスの時もありましたね
「いつも思うけど、
動物達の死に際って
畏敬の念を抱かずにいられない、
私も潔く死にたい」
ぼ、ぼくもいい感じに死にますよ！
「縁起でもないこと言わないのっ」
少しは元気でましたか？
「うん、
死に際考えて頑張って生きることにするよ」
ボクはだらだら寝まーす
「それもいいね」
