ユノは取引先へ向かうと仕事を開始した






ーはぁ

アリサはため息をついた


ー大丈夫ですか?
キョウコはコーヒーを差し出すと
アリサを見た


ーありがとう…ねぇ、キョウコはすぐに彼氏を忘れられた?


ーまたその話ですか?

アリサは困った顔でキョウコを見た

ーまぁ2ヶ月くらいは引きづりましたよ、夜とか淋しくなったりしました、でもそういう時は忙しくするのが1番ですよ


キョウコはアリサに資料を渡した

ーそうよね

アリサは笑った


ケンジはその様子を不思議そうに見ていた

ーなんかあったんすか?

ーいいところに来た!ケンジ、この書類を会議用にまとめてみて?頼んだわよ!

ケンジは声をかけなきゃ良かったと思った

キョウコは笑った



ケンジがデスクに戻るとキョウコがコーヒーを持ってきた



ーケンジ、例の彼女とは結婚しないの?

ーあぁ、それですか

ーなに?それって、うまくいってないの?

ケンジは椅子にもたれかかるとうなだれた

ーなんかうちの両親に気に入られていなくて…

ーえ?彼女?

ーまぁ、若いのもあるんですけど、うちの両親は派手な子が苦手みたいで…

ーあら…結構固いのね

ーまぁ、うちのアネキもピアニストで、中国のコンサートで演奏とかしてるんで、割と教育熱心な方なんですよね

ケンジはコーヒーを飲み呟いた

ーあんたも苦労してるのね


ー運命ってなんなんすかね…俺はあいつと結婚したいって思ってたんだけど、祝福されない結婚にはしたくないんだよな

キョウコは下を向きカップを見つめた


ー両親に感謝できるあんたはカッコイイわよ、あんたの男気も必要だけど、彼女の覚悟も必要だわね


ー覚悟か…

ケンジはまたデスクに向かって


キョウコはケンジの肩を叩いた



アリサは書類をまとめるとファイルに整理し
パソコンに向かった
勝算がない、でもまだ負けたと決まったわけぢゃない、ユノを手に入れる方法を考える
考えれば考えるほど胸が痛い
嫌われてるなんて、とっくに知っていた
もう一度チャンスが欲しい

欲張りな自分に嫌気が差す
自分でも自分が嫌いになる

だけど、ユノの心を少しでも引き寄せたい…

猛スピードで契約の書類をまとめ
電話をし、次々と顧客との新規案件を掴んで行った


ーこれから現場回ってくるわね

アリサは身なりを整えると会社を出た
ハイヒールから伸びる足
綺麗な長い髪
大きな目にマツゲ

アリサが歩くとその道がランウェイのようだった


ーわぁ、あの人モデルかな?

ー細いし、美人


道行く人が時々立ち止まった

アリサは悲しくなった
こんな地味なスーツを着ていても
ユノは振り向かない




ーねえ?きみ、こうゆうの興味ない?
スカウトが声をかけてきた


ー今、仕事中で忙しいんです、

アリサは立ち去ろうとするが
スカウトはしつこくついてきた

ーきみなら、これくらい出せるよ、うちからデビューしたタレントもいるよ?安心だよ?

キョウコは無視をしたが

そのうち逃げようとして、通りを外れたところで別の男が身を乗り出してきた


ーなぁにしてんの?こんなところで、かわいいねえ

ガタイの良い男だった

キョウコはたじろいでしまった

まだ街の道に慣れていないため
方向が分からなくなっていたのだ


ーこんな可愛い子が、こんなとこ歩いちゃだめだよー

男がジリジリ寄ってきた


「…アリサ?」

商談帰りのユノがアリサを目撃し、近づいてきた

ーユノ!

ユノはガタイの良いそいつを睨むと、アリサを掴んで一通りの多い道へと引っ張り出した


「なにがあった?」


ーなんか…スカウトから逃げていたら道を外れてしまったみたい、気付いたらあそこに

「危なかった、何されるかわからなかったぞ?」

ユノはアリサの腕を強く掴んだままだった

アリサはまた悲しくなった



ーでも…だとしても、あなたは振り向かない…
私がどんな目にあったって
あなたはもう、振り向かない…

段々と思いが溢れてきてしまった

気付くと肩を震わせたアリサの目は
涙でいっぱいだった


ユノはアリサの肩に触れると
優しく抱き寄せた



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「…本当のことを話すよ…今日仕事が終わったら連絡してくれ」
そう言うと
アリサから離れて、行ってしまった

ーほんとうのこと?

アリサは時が止まった

ユノはアリサに打ち明けなければならないと
腹を決めた