セッションに行ってきました。
SERGIO SESSION
小野研二(tp)
Katzuya Shimizu(g)
草間信一(key)
小松由佳(key)
IKUO(b)
RIKITO(b)
山口鷹(dr)
@GRAPEFRUIT MOON
この日にセッションの予定を入れたことは
早い時期にアナウンスがあったのだけど、
お盆だったのでスルーしていた。
サービス業なので。
そのことはすっかり忘れて過ごし、
セッションの数日前に友達に聞かれて勤務表を見たら、
その日は深夜明けだった。
回数券配布が怖くて行けなかった会場だけど、
この時ばかりは予約不要であることが幸いして
行くことにした。
(予約が必要な場合には、SOLD OUTしていただろう)
この日の小野さんも熱かった。
小野さんは、最前のお客さんが微動だにせず
おしとやかに聴いているのが理解できないといった様子で吠えていた。
花火の柄のシャツを着ていたのが印象的で、
そのせいなのか、どうがんばっても曲調がトロピカルに聴こえる。
どの音も高めの音色で、輪郭が丸くて、ふわふわしているのだ。
小野さんは「今日はIKUOを疲れさせる日」と言っていた。
IKUOさんを疲れさせてどうするのだろう。
家に帰ったあと仕事をしないで寝てもらうのかしら…
今日は草間さんの名前は出てなかったのに、いらっしゃった。
得した気分
キーボーディストが二人。
柱で姿は隠れるけど、わたしの前に二人の鍵盤を叩く手が見える。
これはなかなか見れない景色。
それを眺めながら、このまま時間が止まったらいいのになぁ、と思った。
音がきらきらキラキラしてくる。
前のお客さんは不動でも、小野さんの機嫌はすこぶるよかった。
「ドラムとベース、相性良すぎ」
鷹さんとIKUOさんの、正確で息の合ったリズムや作り出す雰囲気を大絶賛し、
口端に小指がくるように手の甲を当てて、小声で
「できてんの?」「何か、あんの?」と聞いていた。
それを見て思わず視線を合わせるお二人(笑)。
katzuyaさんはギターを操っているみたい。
katzuyaさんのバンド八十八ヶ所巡礼と
IKUOさんのBULL ZEICHEN 88は、
どちらも結成10周年を迎えられるということだった
同じ88を有する者同士で何かやりたいねと話していた。
ブルハチは異種格闘技が好きなバンドだから
いつか絡んでくれそうだけど・・・
小野さんのトランペットもかっこよかった。
音に人生とキャリアが刻み込まれている。
小野さんはアメリカ西海岸に、
アメリカの独立記念日に合わせて旅行に行った時のお話をされていた。
2日で30のバンドを見れたと喜んでいた。
根っからの音楽人だね。
質のいい音楽を無料で聴けたのだそう。
セッションが佳境を迎えると、小野さんはまだ空間に残る音の余韻をとらえて、
「ドラムとベースにピアノが乗るだろ、これが『グルーヴ』だッ」
と叫んだ。
すっかり上機嫌で、
「1月もやるから」
心は早くも恒例の新春セッションへ飛ぶけれど、
さすがに気が早いと思ったらしく、
「いや、俺死んでるかもしれないし・・・」
と、はやる心を押さえている。
そこに間髪入れず
「追悼でやります」とIKUOさんが言った。
IKUOさんって、絶対面白いわ(確信)。
草間さんが書いた『True Love』という曲を
「真実の愛」と訳して一人でキャーと騒いでみたり、
IKUOさんに80年代に栄えた同伴喫茶の説明をしたりと、
はしゃぐ小野さんの楽しそうな様子をよく覚えている。
IKUOさんのローディ―だったRIKITO君が登場して
ツインベースになる。
緊張した面持ち…
するとRIKITO君の音が出なくなった
本人によると、機材がIKUOさんにびびったとのこと。
何を試しても状況は改善されず、RIKITO君は
「男のアン直で行きます!」と言い放った。
いいぞ!!
そう言うの待ってたわ。
全員に背を向け、アンプにシールドを挿すRIKITO君を見守った。
この日『It's me』を演奏した時のことは、
忘れられないな。
アンコールで最初に小野さんが登場し、
大きな拍手と歓声の中で順番にメンバーを呼び込んでいく。
最後に呼ばれたIKUOさんは、「ギター、IKUO!」と紹介された。
IKUOさんは特に慌てる様子もなく、
上手に立つKatzuyaさんからギターを借りて
弾き始めた。
ギターがものすごく小さく見える。ストラップもめっちゃ短い。
ギターを渡したKatzuyaさんの様子からも予定外の出来事なのは確か。
だけど遠慮なくギターで『It's me』を弾きまくっている。
ギターの位置、高過ぎよね??
だけど全く違和感を感じないわ。
ギターを弾くIKUOさんを初めて見たけど、
うますぎてびびった。
縦横無尽に速弾きしてライトハンドに移ったら、
「ドラム、IKUO!」
と紹介されたので、今度はドラムセットへ向かって歩き、
ドラムの奥に座っていた鷹さんと入れ替わる。
そしてドラムを叩き始めたのだけど、うわ、めちゃうま…。
ニコニコして『TWIN』を叩いていたIKUOさんとは別物だった。
それでいていい音。芯のあるドラムを叩ける人なんだ。
かっこいいドラムをわかってる
この人ドラム大好きやもんな。
最後には小野さんのトランペットを渡される。
躊躇していたけど、
吹き始めたらすぐに感覚をつかんで吹きまくり。
ペットでトリルを決めまくって、嫉妬した小野さんに止められた(笑)。
予想以上にうまく吹くので、嫌になったと小野さんは言っていた。
トランペットを吹いたのは小学校以来と言っていなかったっけ。
マウスピースにはサイズがあって、
他人のトランペットを吹くのはすごく難しいそうなんだけど、
普通に吹いてたわ。しかもかっこよかった。
不動だった客席がどれだけフィーバーしたことか。
スタンディングオベーション。
IKUOさん祭りだった。
大歓声の中で
IKUOさんは小野さんに言われるままに
あちこち移動して演奏を楽しんでいたのだけど、
わたしはその様子を見て、
神さまが箱庭で遊んでいるのを眺めているようだと思った。
箱庭というのは、神さまがお勤め以外で使う
専用のプライベートルームみたいなところで、
小さいけれど究極に美しいスペース。
終わらない宴に思われたセッションも最後の曲を迎える。
名残惜しそうな声が上がると、
「じゃあ『Sweet Love』と『Directions』どっちがいい?」
と小野さんが2曲を提示した。
客席からは『Sweet Love』の声が上がる。
人気のある曲なんだ…
『Directions』のイントロのパンチのあるベースが聴きたいけどなぁ、
と思っていたら、『Directions』のイントロのベースソロをやってから
『Sweet Love』に入ることにしてくれた
急な決定にメンバーさんは、「は?」って感じだったけど、
超簡単なやりとりで解決していた。
かっこよすぎだ。
特別な夜でした。
素晴らしい時間をありがとうございました。
IKUOさんお疲れさまでした