柴崎さんのリーダーセッションを見に行きました。



S-KIT
小野研二(tp)
柴崎浩(g)
IKUO(b)
草間信一(key)
山口鷹(dr)
@GRAPEFRUIT MOON



会場は住宅街の一角にあるライブ&バーで、

キャパは立ち見込みで100名程度。

入場には整理券が必要で、
 
その獲得のために一度来店する。

それがわたしには大仕事であり、一大事であった。

その1枚が欲しい人はたくさんいて、
 
わたしの分はないかもしれない。
 
けど来てみたら
 
整理券はあっさりと入手できたのだった。

無人の店頭の小さなかごの中で、
 
わたしの来店を待っていた。

とても人気のあるセッションなので、

着くのがあと少し遅かったらなかっただろう。



小野さんは、
 
IKUOさんのソロアルバムに参加されている。

わたしの持っている情報は、その程度だった。

登場した小野さんのまくし立て具合に、
 
わたしは何かを思い出していた。


小野さんは何を言っても
 
客席からの反応がほとんどないので、

つまんねーなーという感じで不機嫌そうだった。


「今日の客は可愛くないのが多いな」

「可愛いですよ

柴崎さんが慣れた様子でフォローしていた。

「小野さんも可愛いです



わたしは自分の中のイメージとのギャップと
 
ひたすら闘っていた。

職場の名物医師・N先生に近い存在感と、
 
筋金入りの江戸っ子な感じ。

(最近、こんな感じの患者さんと喋ったわ・・・)

驚きを隠せず呆然としていると、
 
周囲の反応も同様であったのか、

「みんな、小野さんのこと嫌いにならないでね」

と柴崎さんが言ったのがおかしくて、
 
思わず笑ってしまった。



この日は柴崎さんがリーダーだったので、
 
よく喋ってくれた。

柴崎さんのギターは、めっっちゃいい音だった。

なんて優しい音を奏でるのだろう。

演奏も素晴らしかった。

完璧というのはこのことを言うのか。
 
一瞬で目が離せなくなって、

これは今日、
 
ずっと柴崎さんを見ているかもしれないと思った。



IKUOさんはこの日、
 
改造したLongway2を準備されていたのだけど、

いきなり音が出なかった。

ローディーさんも登場し、
 
各パーツの接続などを確認している。

それで出た音が中音域を軸にした柔らかい音だったので、

S-KITってもしかして
 
軽めでお洒落な音を奏でるセッションなのかと思っていたら、

そういうわけではなかった。



IKUOさんはもっと高低差をつけた
 
重めの音を期待していたそうだけど、

やむなく設定を変更していた。

「狙った音とは違いますけど」
 
と少し残念そうだったけど、

わたしにとってはどの音も正解であるので
 
新鮮だった。



小野さんも
 
1曲目からトラぶっていたようだったけど、

曲中に復活されていた。

トランペットの何かが外れていた。

(あ、あそこって外れるんだ・・・)

トランペットの生演奏を見るのは初めて。

でも演奏よりも人柄に関心が向かう うさぎ



草間さんも
 
個性的なキャラクターをお持ちだと思った。

表情で演奏をされるので、
 
それで高潮の到来を知ることができた。

閉眼して、口角は下げて。

テンションが上がってきても
 
口角は上がらないけど、

最高潮の時には眉間のしわを深くして
 
音と融合していた。

演奏中は厳しい表情だけど、
 
MCのときは楽しそう。



山口さんは寡黙な印象で、

表情を変えることなくドラムと向き合っている。

MCでも「タカ!」と
 
小野さんに呼ばれるまで参加しない。

というか、自分に話題が振られていることに
 
気づいていない。

MCの間も集中しているのかな。



草間さんと山口さんは
 
別件のリハーサル後のセッション。

朝早かったそうで、
 
「風前の灯です」と草間さんは言っていた。

山口さんは
 
武道館でやるライブのリハーサルだったそうで、

どちらも長時間に及んだのでは。


お疲れなのだと思うけど、
 
演奏に支障を出すような人たちじゃないので
 
わたしには全然わからない。


IKUOさんは取材後の参加。
 
チョパレボの取材があるのを忘れていて、

メールで起こされて急いで出かけたから、
 
なんだか眠いって。

いつもは出かける2時間前には起きて、

ゆっくりコーヒーを飲んだりとかして準備をするそうで、

朝のバッタバタが目覚めのよくない理由だそう。

わー!って言いながら
 
ヘアアイロンで髪を伸ばすジェスチャーが

リアルに今朝を想像させた笑*



 
柴崎さんはTOTOの『Georgy Porgy』で
 
歌を披露されたのだけど、

歌もうまかった 豆しば

『Flying clouds』という柴崎さんの曲と、

このときの照明が
 
水色と淡いオレンジ色でとてもきれいだったのが、

印象に残っている。

ベースソロもよかった。
 
今日の音の丸い感じにも合っていると思った。



初めて出逢う人と曲に
 
ひたすら圧倒されていたけど、

最後に『Air Shot』っていう
 
ものすごい曲をされてしまう。

でもこの曲の存在は知っていたので、

やっと聴けた。

超かっこよかった プリネコ*。



小野さんは始終S-KITをほめまくり、
 
客席にも同意を求める。

S-KITは10年目を迎えるそうで、

メンバーを加入させた時のお話なども交え、

「すごいだろ? S-KITすごいだろ?」
 
と小野さんが聞くたびに

うんうんとうなずいた。



小野さんはすごく楽しそうで、
 
「このまま死にてぇな~」とまで言っていた。

そしてIKUOさんと柴崎さんに、
 
世界に出ろと何度も言っていた。

翼地球翼
 
 

小野さんはこんなお話もされた。

以前IKUOさんのご両親に会った時に、

どうやってIKUOさんを育てたのか
 
というインタビューをされたそうで、

それを聞いてIKUOさんは驚いていた。

rabbit?汗あせ2「えっ、何を聞いたんですか??」


かねてから、
 
どのように育てたらこのような人物に成長するのか

という疑問をお持ちだったらしい。

抜きんでる人というのは、
 
幼少期にすでに何かを得ているものなのかも。

そうでなければ自分を信じることなんてできない。



ねこ小野さん「何を食べさせていたんですか?」

うさぎIKUOさんのお母さん「普通のものを食べさせていました」

aya片福面と一緒



ステージは地下にあるのだけど、内装が洒落ていた。

白いクロスの壁に照明の色がよく映えた。

バースタイルのお店だけど、ギターの音は最高によくて、

音響やPAもこだわっているんだろうなって思った。



1部、2部、アンコールと演奏が終わり、

しあわせだった気分もつかの間。

沈没しかける船から鼠が逃げるかのように、

出入り口に人が吸い込まれて行き、
 
やがて人で詰まり、

扉が閉ざされた。



女性たちに埋め尽くされる出入り口付近で
 
顔と体を扉に押し付けながら、

渾身の力を振り絞って
 
スタッフの方が叫んだ。


「これから明日の整理券の配布を行います!!」


さっきまでの余韻とか全部吹き飛んだわ。

その物々しさに、災害時ってきっと
 
こんな感じなんだろうなと軽く戦慄しつつ。

開け放たれた扉をくぐり、
 
明日の整理券も無事獲得。



よかった。明日もここに来れるんだ。





片福面と一緒 そんなわけで明日に続く 片福面と一緒