翼骸骨v翼


つづき。


出雲大社を出たのが15時すぎ。

ここまで来たら、
 
前回行けなかった日御碕神社にも行っておきたい。

出雲大社から日御碕神社まで9.4km。所要時間20分程度。



海岸線沿いに進む道は

傾き始めの太陽と青い海がよく見えてきれいなんだけど、

勾配は上がり、車道は狭く、急カーブが多い。

多分今、崖っぷちを走っているよね。

1本道で、後続車もいなくなる。



入り口は少しわかりづらいけど、
 
上道をくぐると鳥居が見えてきた。

15時半に日御碕神社に到着。

ここには、
 
天照大御神と神素戔嗚尊が御鎮座されている。

鳥居の手前にバス停。
 
バスが旋廻するには狭そうだな。

駐車場は、鳥居を横目に通り過ぎた先にあった。



そこから楼門が見えるけど、
 
一部工事中で足場が組まれている。

このあたりにも朱塗の神社があるんだね。

鮮やかな色調が、京都を思い出させた。

下賀茂神社と上賀茂神社の朱色の楼門を。



木造なのかな、
 
かなり年季の入った狛犬さんがお出迎え。

形状は原型をどの程度留めているのだろう。

典型的な狛犬とはずいぶん違って、

やけに丸くて、摩滅したかのようなライン。

シンプルだけど凛々しい。



境内は変わった構造だなと思った。

地形を利用したものなのかな。

お社のすぐそばにもう一つお社があるんだけど、

そこへは急な階段を登ってのご挨拶になる。

土地の高低差が面白い。
 
狭い敷地内での二重構造というのがね、

メゾネットやロフトに登る感覚に似ている気がして。

そばにはないけど、近くにある感覚。

姉弟だけど、
 
隣同士にはしなかったんだなぁ。

鎮座している高さも方向も違うけど、
 
90度に向かい合ってる。



地上にあるのが天照大御神を祀る日沈の宮で、

階段の上にあるのが素戔嗚尊を祀る神の宮。

どちらも拝殿の後ろに本殿が続いている権現造り。

この敷地内に
 
これだけの社殿を持っているのはすごいな。

朱塗の立派な社殿で、
 
国の重要文化財に指定されているだけある。

社殿に続く廻廊を眺めるのも好きなんだ。



鮮やかな半面、
 
剥がれかけの朱塗と木材の亀裂が目につく。

海のそばだから潮風がきついのかな。

伊勢の海から昇った太陽が、この海に沈むのだそう。

ピーンヨロロローって、トンビの鳴く声が聞こえる。

見上げるとトンビが強風を押さえるようにして、
 
高い位置に滞空している。



くまなく見て歩いていると、
 
今度は社殿に蜘蛛の巣が張っているのが目につく。

そういうのを見ると、
 
古い上に殺伐とした感じがしてなんだかこわい。

いろんな虫も出てきそうでそれもこわい。

重要文化財なのに、
 
あんまりお手入れされてないのかなぁ・・・

過疎化が進んで、
 
そういうところに人を使えないのかなぁ・・・

などなど勝手にいらん心配をしてしまった。



足首まであるマキシスカートを履いていたのに、
 
お尻の真下を蚊に刺される。

なんでこんなところを食われるんだろうか。

神の宮をお詣りした後、
 
境内の高台を見て回っていると、

背後の木からガサッという大きな音がする。

スズメバチやん!ドクロ!



1匹だったし、
 
凶暴な外来種ではなかったけど、

一通り見て回れたあとだったので、

身の危険を感じてお暇する。



ここまで来て出雲日御碕灯台に行かずに帰ったら
 
後悔する。

灯台の駐車場には数分で到着。
 
そこから灯台への散策路を歩くと、

真っ青な空の中に真っ白な灯台が見えてくる。

うわぁ、きれい。

ぱきっとした青と白なの。まじりっけなしの。



石積みの灯台では東洋一の高さなんだとか。

あの灯台には登れるらしい。
 
最上階から観光客の歓声が聞こえてくる。

その声を聞きながら、
 
日本海を眺める日御碕遊歩道を進む。

散歩道からは経島が見える。

経島は、
 
冬から初夏にかけてウミネコが繁殖に訪れる島で、

その時期にはたくさんのウミネコがやってくるらしい。

遊歩道には、鳥見台が数か所設置されていた。

どこまでも水平線が広がっている。

ここから益田はあっちの方。
 
あの辺は浜田になるのかな。

西に見える断崖や島を見ながら思った。

実際にはもっとずっと西なんだけど。



遊歩道は長くて、
 
どこまで行こうと歩いているうちにどっと疲れてくる。

日が傾いてきたもんね。
 
鳥見台で腰かけてしばらく休憩する。

断崖の降りられるところまで降りて、
 
日本海と空を撮って。



このあたりの岩は海食によって隆起した岩盤と、

柱状の奇石が連なる断崖絶壁になっていて、
 
裸足で歩くと痛そう。

溶岩が日本海の荒波に浸食されてこうなった、
 
っていう説明書きを読む。

海しかないのに、
 
溶岩なんてどこから来たんだろう?って思った。

今日通過してきた大山と蒜山は、火山なんだね。

あんなところから流れてきたのか・・・



最後にもう一度灯台を見ようと遊歩道を戻る。

どうやったらあの中に入れるのかわからない。

そびえる灯台の足元は塀に囲まれている。

近づいていくと、塀の側面に門が見えた。
 
あそこから中に入れるんだ。



出てきた人が、
 
重そうな鉄のゲートを半分閉めていった。

門の表札には
 
「海上保安庁 出雲日御碕灯台」
 
と掲げてあって、

ちょっとお堅い感じ。

灯台の周りをうろついて、
 
また門のところに来た。

なんか気になって。
 
まだゲートは半分開いてる。

誰もいないので入ってみた。
 
閉館まであと15分あるよ。



真下から灯台を見上げていると、
 
中にいた職員の方から声をかけられる。

灯台見学券200円で展望台に行けるとのお誘い。

ま、迷う・・・今で十分へとへとなのに、
 
この高さを登れると思う??

でも、登ることにした。

このまま登らずに三重に帰る自分が
 
考えられなかったので。



中は土足禁止。
 
当然エレベーターじゃなかった。

狭くてちいさならせん階段を、
 
一段一段駆け上がっていく。

これがねぇ、
 
秘密基地みたいで楽しかったの^-^



一人しか通れないので、
 
らせんの登り始めや踊り場毎に

「出る人優先だよ」
 
と灯台のキャラクターが呼びかける注意書きが貼ってある。

ここで喧嘩したら転落は免れない。

ちいさい子やお年寄りは、
 
登れても降りられないかも。

らせん階段は滑りやすいので、裸足でよかった。

スカートが長くて裾を踏んづけそうになるので、
 
ウエストで何重かに折って丈を短くする。

わたししかいないので^-^

調子よく登っていくのに、
 
らせんを5周してもまだ着かない。

最後の13段はほぼ梯子。

そしてやっと展望台。
 
扉から出て、
 
灯台から360度の景色を見てきた。

風が強いのでしっかり柵につかまる。

あるのは足場と柵だけのシンプルな展望台。

この灯台は明治36年から
 
ずっとここに立っていて、
 
今も現役。



ここが島根半島の最西端かぁ。

松林と断崖絶壁があんなに下にある。

こんな高さから
 
ゆっくり海を見下ろしたのは初めて。

さっきよりもずっと遠くに水平線が見える。

高いところにいると、
 
人間てちっぽけだなって思える。

海も山もこんなに大きいんだよ。



閉館時間が近づく。

もと来た傾斜を降りる。全部で163段あった。

降りたらすっきりした。
 
長かった1日がいよいよ暮れる。

駐車場を出たのが17時すぎ。



今度はチェックイン。

松江市に向かう。


つづく。




翼骸骨v翼




【日御碕神社】 出雲市大社町日御碕455 境内自由 駐車場無料
【出雲日御碕灯台】 出雲市大社町日御碕1478 入場200円 駐車場無料