もとAKB48中西里菜改め、やまぐちりこのAV、あなたは見ただろうか。

私は見た。見てしまった、と言った方がよいかもしれない。そして見たことを今、後悔している。これは見ない方が良かった、見るべきではなかった。

感想をはっきり言おう、最悪である。こんなことがあっていいのだろうか?許されていいのだろうか?


もとAKB48のメンバーがAV出演、というニュースが流れた時、私は興味をもったものの、関心はさほど高くなかった。AKB48のメンバーをほとんど知らなかったからだ。知らないメンバーであれば、もとアイドルであろうと関係ない、好みのルックスであれば見るに値するし、そうでなければ、話のネタになるだけだ。

AVに出るのが中西里菜と知って驚いた。中西は、私が唯一知る(もと)AKB48のメンバーだったからだ。テレビのトーク番組に出演したのを見たことがあった。年の割にしっかりしたことを言う人だという感想をもった。目標に向かってしっかり努力できる人だと感じた。

彼女であれば、知っている。自分が知っている元アイドルがAVに出演する、これは見なければならないと思った。発売日の8月27日に向けて、私の胸は高鳴った。


発売日1日前の8月26日。発売日は明日だが、フライング発売するところがあるであろうことは目に見えていた。それを狙って1日前に買いに行く。算段はついていた。
この日に向けて、中西里菜のAKB時代の画像はチェックしていた。正直、驚いていた。これは清純そのものではないか。雑誌の記事で、経験人数が一人としていることは知っていた。なるほど、そうだろう、この清純な雰囲気なら処女と言われても信じる。

この清純な娘があられもない姿で男と性行為におよぶ所を、もうすぐ見ることができる。興奮せずにはいられなかった。と同時に、こんな清純な娘がなぜ…?かすかな疑問が残った。


8月26日深夜、予定通りフライング発売している店舗を見つけ、購入することができた。1日前に手に入れられたという喜びがあった。と同時に、何故か嫌な予感がした。手に入れてはいけなかったような、今すぐ返品した方がいいような気がした。

家に戻った時、時刻はすでに27日の0時を迎えようとしていた。疲れていた、明日の仕事もある。今から全て見れば、終わる頃には午前2時を超えるだろう。明日にした方がいい、そういう思いもあった。

しかし、せっかく1日前に手に入れたのだ、今日見なければ意味がない、そんな思いが背中を押した。


全ての映像が終了した。

気付いた時には、午前5時を回っていた。すでに空は白んでいた。一睡もすることはできなかった。仕事に差し支えるのは間違いなかった。

見終わったのは午前3時ごろだったろうか。気になる所やセリフが聞き辛いところを何度も巻き戻して見たため、思ったより時間がかかった。

見終わって2時間、私はひたすら考え続けていた。股間はすっかり萎えている。

彼女はなぜAVに出たのか?行為の最中、彼女はいったいどんな思いだったのか?そればかり考えていた。


本来なら、もっとも見どころのシーンであろう所で、私の股間は萎えた。彼女が、やめて、もうできない、と、うめくように言ったからだ。その発言は、真に迫るようであり、何かの演技であるようには見えなかった。感じ過ぎて堪らないあまりのうめきとも思えなかった。


作品の冒頭から、中西里菜、いや、“やまぐちりこ”の表情は固かった。雰囲気が、事前に見ていた中西のものとまるで違った。少々、がっかりした。中西里菜の天真爛漫な雰囲気のままでAVに出ることを期待していたからだ。私の期待は裏切られつつあった。目の前のやまぐちりこは、知っている中西里菜とは別人と言われても不思議でないほど、表情、雰囲気が違っていたからだ。

それからの私は、画面上の“やまぐちりこ”から、中西らしさを探すために、目を皿のようにして、モニターの画面にかじりつくことになった。そして、私の期待はなんとも皮肉なところで実現することになる。


私がモニター画面上で、“はじめて”中西里菜を見つけた時、それが、あの、やめて、もうできない、のシーンだった。まるで、それまで必死に演じていた“やまぐちりこ”の仮面が剥がれ落ちるようにして、彼女は顔をのぞかせた。

それは男優に感じさせられることによって、理性が飛んでしまい、演じる余裕がなくなって、初めて姿を現した、素の中西里菜であるように見えた。


皮肉なことだが、彼女が感じれば感じるほど、彼女がAV女優になるために作り上げた人格であろう“やまぐちりこ”は姿を消した。そこに現れたのは、かつてのアイドル中西里菜だった。

そして、素の中西里菜は、この状況に耐えられる女性ではなかった。


彼女は、やめて、もうできない、を繰り返した。そこには、AV女優“やまぐちりこ”は、もう、いなかった。そこにあったのは、まかり間違ってAVに出てしまった、アイドル中西里菜が無惨に犯される姿だった。

最初のセックスのフィニッシュ直前、中西は再度、やめて、もうできない、を繰り返した。その時の彼女の顔のなんと美しく、可愛らしかったことか。それは精一杯の媚態ではなかったか。本気で女性が懇願する時、その表情は、こんなにも美しく、可愛らしくなるものなのか。


身をよじらせ、やめて、と懇願する中西に対し、男優は容赦なく腰を振り続けた。中西のボルテージが上がって、フィニッシュの時が近づくと、男優は彼女の手を取った。しかし、である、彼女は、その手をゆっくりとではあるが振りほどいたのである。その姿勢は、明確に拒絶だった。

最初の行為が終わって、スタッフが彼女に感想をきいた。気持ち良かったです、と答える彼女。そこに、中西はもういなかった。そこにいたのは、AV女優“やまぐちりこ”だった。


2回目のセックス、彼女は、最初に比べれば、いくらか“マシ”に見えた。男優を明確に拒絶するようなシーンはなかった。しかし、それでも、できない、を繰り返した。男優は、嫌がっているのを誤魔化すためか、気持ち良くて?ときき返す。気持ちよくて、と同意する彼女。しかし、そのやりとりはぎこちなく、わざとらしく聞こえる。

本当に皮肉なことだが、彼女が感じれば感じるほど、“やまぐちりこ”は姿を消して、中西里菜が顔を出すようなのだ。そして、中西は、自分がAVに出て好きでもない男と行為に及び、しかも、その姿を撮影されているという現実に、真から納得していないように見えるのだ。


中西里菜が、やめて、もうできない、と懇願した相手は、本当に男優に対してだったのだろうか?彼女が無意識でうめいた相手は、中西里菜の意志を封じて、AV女優“やまぐちりこ”を作り上げた、自分自身に対してではないか。ふと、そんな思いが交錯する。


彼女がAV女優になると決めたいきさつを私はしらない。しかし、映像を見る限り、それが彼女の意志であったとはどうしても思えない。


経験人数がひとりだという、清純な女性を、本人の意志に反してアダルトビデオに出演させる権利が誰にあるというのか。


それは人として許されることなのか。


汗ばんだベッドの上で、私の心は、怒りと悲しみに満ちた。


外はすっかり明るくなっており、鳥が鳴いていた。

最初の記事を投稿します。


第一回は、『元A○B48?やまぐちりこAVの小説的レビュー』です。


掲載は今日、午後5時くらいを予定しています。どうぞお楽しみに。

作家・木下寄与丸のブログです。政治経済から風俗ネタまで、幅広く書いていきます。書かせていただける媒体がありましたら、是非、ご連絡ください。