こんにちは

 

突然ですが、「心を奪われる」という表現、

すごく心の動きが分かりやすくて大胆な表現だなあと感じました。

 

「心を動かされる」とは少しニュアンスが異なるかもしれないけれど、

その言葉よりも「奪われる」というと自分の意志とは関係なく、

心(感情)がさらわれてしまうような、

一瞬にして連れ去っていかれるような。そんな感覚ですね。

 

私が今回、こんな気持ちになったのは「ヴィラン」という曲。

ボーカロイドというジャンルの曲だそうです。アラサーで若者文化とは

かけ離れたところにいる私ですが、YouTubeで動画を見ていたときに

始めて出会いました。

 

初めて聞いたときは、そのポップで勢いのあるメロディーと

カラフルな美少年のイラスト、不思議な表情、いい意味でごちゃごちゃしていて、

どこか独特な世界観を醸し出す曲に、まさに一瞬にして「心を奪われ」ました。

 

歌詞をあまり見ずに何回も繰り返し聞いているうちに

「手をつなぐだけでゾッとされる」「雄蕊と雄蕊じゃ立ち行かないの?」

という言葉が耳の中に飛び込んでくるようになりました。

 

ん...?どういうこと?

 

改めて歌詞をきちんと読みながら聴きなおし、

「雄蕊と雄蕊」の言葉をはっきりと見たときに、

ああ、これはそういうことなのか。と理解しました。

 

私は自分の平和ボケ加減にハッとしました。

最近ではトランスジェンダーの芸能人の方もテレビで大活躍されているし、

オープンにされている方も多いから、世間でも性の自由が暖かい目で見られるようになり、

時代は進歩したものだと思い込んでいたからです。

 

この曲を聴いて、いやそれは違うんだ。と思いました。

もちろん昔よりもトランスジェンダーの方々に対する世間の見方が変わったのは

間違いない事実だと思います。

しかし、自分が考えていたほど甘くないんだと、思い知らされました。

 

(体の性別としての)男性が男性に、そして女性が女性に恋心を抱くということは

蛇蝎視されるのだと。まだまだそういう世間の目は根強く残っているのだと。

この「蛇蝎」という言葉もこの曲で初めて知りました。

何せ語彙力がないもので。お恥ずかしい。

 

蛇蝎とは、文字通り蛇やサソリのことで、「人が忌み嫌うもの」の例えだそうです。

 

(ここではあえて「彼」という表現を使いますが)

主人公の彼にとって男性を愛することは普通であり、当然のことなのに、

世間の‘普通’とは違う。

世間の普通と違うだけで自分にとっての普通を「突然変異」が

起きたような反応をされて否定される。

だから彼は、そんなんじゃない、「ただの僕だ」と訴えているんでしょうね。

 

切ないな、辛いな、悲しいな。そう感じました。

私がこんなことを思ったところで何の解決にもなりませんが。

彼ら彼女らはその何十倍、何百倍もその苦しい気持ちを重ねて生きてきただろうから。

分かっているけれど、そう思わずにはいられませんでした。

 

もちろん、そんなことばかり考えていても辛いから前に進むために、

違う考え方をして前向きに生きようと、悲しみのステージは終えて

次のステージに進まれている方だってたくさんいらっしゃるだろうとも思います。

 

この曲を作った方の情報をいまいち把握できていないのですが、

作家?としての活動もされているというような情報もありましたね。

 

言葉の選び方が素晴らしいなと思いました。

「蛇蝎ライフ」も言いたいことがすごくよく伝わってくる言葉ですけど

自分の内面のことを「皮膚の下」と表現しているところも、

表現の仕方が上手だな~!と思いました。(上からですみません)

 

あくまで私の感想ですが

さらにこの曲が魅力的なのは主人公の感情が何なのか分からないところです。

悲しんでいるのか、怒っているのか、悔しいのか、開き直ったのか。

歌詞だけを見ると少しネガティブな要素が強いのかなと思いますが

それをあのポップなメロディーが中和させている。

(でもネガティブ要素の全てを中和しきれていない感じがまた雰囲気が出るなあと思ったり。。

 最後のサビの部分なんかはメロディーの勢いが加速することで負の感情を煽るような

 効果がある気もします。)

 

そこが初めに書いた、いい意味でごちゃごちゃしている独特の世界観を

感じさせるのかなあと思いました。

 

はあ、この曲を聞いた時から感想を言葉にしたい!と思っていたので

熱が入ってしまいました。語るなあ~、自分。という感じです。

 

だけどこれは本当に、心から思うんです。

異性が恋愛対象の人は同性から恋愛対象として好きだ、と言われたら戸惑うかもしれない。

逆も然り。これは当然のことだと思います。

そこで思いを受け入れるかどうかは別の話として置いておいて、

 

今、言いたいのは真剣に恋をしている人を、自分の価値観に当てはめて

「それは変だ。」とか「おかしい。」とか頭ごなしに否定して、

その人の想いや気持ちを傷つけるような人は絶対に許せないし、

許してはならないということ。

(だからといってむやみやたらに攻撃・バッシングするのは、違いますけどね)

 

もっともっと、すべての人が生きやすい社会になりますように。

 

この曲に出会えて、普段は考えないようなことを考えられてよかったなと思いました。

 

では、よい午後を。