異国の地であきらめない姿

物語の中で主人公は言葉が通じず、仕事も友人も母国においてきた状態である。そんな中で、彼は空港のカートを回収して貰える小銭をかき集め、バーガーキングでハンバーガーを買い、クラッカーに無料の調味料をまぶして食べ、母国語と英語の本を購入して、内容を見比べながら言葉を覚え、工事中の場所でベンチをいくつも組み合わせて寝床を作り、と自分が置かれた状況に対して必死に策を練って生きていく。彼が生きようと思うのは、アメリカに来た大切な目的があるから。でも、それだけでは生きていくことは出来ない。そんな中で、何故彼は生きることが出来たのだろうか?

空港という人工的なところでも、国を失い、人とのつながりもない場所では生きることは困難だ。しかし、彼は決してあきらめず、密入国することもなく、空港で生き続けていく姿に、最初は彼を邪険に扱っていた空港内の職員たちも次第に理解を示していく。そんな人々の助けを得て、食事を手にして、人とのつながりや交流を持ち、好きな女性と会うためのおしゃれな服を買おうとする、女性のエスコートや告白などにお互いに助け合い、周りの人々の為にも行動していく機会を得ていく。

彼が空港内で生きていくことが出来るのは、自分一人によるサバイバル術のみではなくて、周りの人々との繋がりが彼に生きる力を与えたのだと思う。そんな風に異国の地で生きていく彼の姿は、昨今の日本で周りとの交流が薄くなり、セーフティーネットを失い孤立していく人々がいる実情にも通じるものがある。衣食住だけではない生きるために必要な物をこの映画を通してみることが出来た。

キャラクター豊かな空港内職員

主人公が空港内で出会う人々は個性的な人ばかりだ。わざと滑りやすいワックスをばらまいて、人が滑るのを見て楽しむ清掃員、同じ空港内の職員に恋をするものの、おくて過ぎて主人公を介してしか恋の質問が出来ないフードサービス、空港に来るたびに悪い男性とばかり付き合ってしまうキャビアンテンダント、マニュアル通りの入国審査しかできない国境警備隊など、個性豊かな人々ばかり、人種も民族も多彩な登場人物、空港という一つの場所での彼らと主人公の交流はとてもユーモラスだ。彼らの魅力が、この映画を明るく楽しいものにしていると言える。

 

『ターミナル』 感想

 

空港内という一つの舞台で、そこに生きる主人公や多種多様な人々との交流を表した作品。自分だったらどうするのだろう?主人公の様にあきらめない姿で生きていくことが出来るのだろうか?そんな中で映画では空港内で生きる、という一つの目的のために様々な工夫を重ねて生きていく主人公とそれを支える周りの人々の姿が決して暗くならずに描かれている。見ている中で、明るく、しかし感動的に楽しめる映画作品だ。ぜひ一度ご覧になることをお勧めする。

 

 

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