人違いの思い出 | 山科薫マニアックな世界を楽しみましょう

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私は、人の顔と名前を覚えるのは苦手ではないつもりですが、ただ

いたって感覚的な部分に頼るせいか、妙な人違いも多くします。


その中の一つを、書きたいと思います。


1988年の春頃、新宿の歌舞伎町を歩いていたら、知りあいの男性

と会って、お互いほぼ同時に「やあ、」とあいさつをしました。私は、そ

の男性を、以前舞台で共演したTだと、信じて疑いませんでした。


ただし、違和感があったのは、彼が腹が出て、締まりのない体になっ

ていたこと。私がTと共演した舞台というのは、一応ミュージカルでし

て、歌って踊る場面が結構ありました。その後私は映像中心にシフト

しましたが、Tはそのままミュージカルの道に進みまして、それなり

にメジャーな商業作品にも主演するようになっていたのです。


私はそんな彼の活躍を素直に心底喜んでおりまして、今後にも期待

すると共に、自分への励みにもしていたのです。


だから、Tの腹が出た姿は残念でして、

「駄目だよ、こんな腹してちゃ。絞らなきゃ。踊れる?」

そう、言ってしまいました。すると、


「いやあ、踊りなんて、とてもとても・・」

それから、

「ふうん、ミュージカル、やってないの?」

「ミュージカル?無理でしょう。俺が、出来るわけないじゃん。平凡な、

会社員だよ」

「そうなんだ。まあ、それはそれで、いいんじゃない。頑張って?」

「ああ・・、サンキュー。ところで、昔のだれかと、会う?」

「うん。土田とか、三島小雪とか」

「え?、土田?三島?」

「うん。三島小雪って、女でいたじゃん」

「女?」


てな感じで、まるで噛みあわない会話の後、別れました。


さすがに私も、変だなと思って考えた後、その男性がTではなく、高校時代

同級生だったKだということに、気づいたのでした。


悪いことを、しちゃった。Tは、スリムでダンスが得意。顔も精悍でして、一応

二枚目路線でした。そんなタイプのミュージカル俳優が腹の出た締まりの

ない体になるのは大いにまずいことですが、サラリーマンが腹が出るのは、

良いとはいえないまでも、まあ、その人の自由。私にダメ出しされる筋合い

ではありません。


また、彼が「三島?女?」と首をかしげるのは当然。高校は、男子校だった

のですから。


私は、Kに会って、「あの時はすまん。実は・・な事情で」と、謝って、事情説明

もしたいのですが、それから24年半、会う機会がありません。このブログ、

読んでる、なんてこともないでしょうな。


私には、結構こういう経験が少なくないのです。