名僧・行基があっさり退治したという前世の悪霊 | 山科薫マニアックな世界を楽しみましょう

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鬼神を操り、空を飛ぶ山伏・役小角。昼は朝廷の高級官吏、夜は地獄

で閻魔大王の秘書のアルバイトをしていた小野篁。この種のオカルト

っぽい話は、平安時代くらいまでの日本には多数あります。


役小角の話は今年2月3日。小野篁の話は同じく2月8日に記事にして

ありますので、興味のおありな方はぜひ、検索してみて下さい。


この2人の例は極端にしても、怨霊や霊能、超能力ともいえる話があま

りに多いということは、実際に今とは比べものにならないほどに「目に見

えない世界」を裏付けるような出来事も沢山あったのだと思います。


そして、そうした霊能者の一人に、行基という名僧がいます。彼は諸国

を巡って社会事業を行ないながら教えを説くなど、目に見える世界でも

多大な功績を残し、聖武天皇から大僧正の地位を与えられています。

それが、745年のこと。


そんな行基が、社会事業のひとつとして、難波に船着き場をつくり、そ

こで説法を行ないました。僧侶だけでなく、一般人にも公開の説法です。

その中に、子連れの女性がいました。その子供が、泣き出して説法の

邪魔をします。


子供は10歳くらいになっていますが、脳に障害があるようで、マトモに

歩くことも出来ず、やることがほぼ赤子同然だったそうです。行基はそ

の子を見て、


「そこの人、あなたの子を外に連れ出して、淵に捨てなさい」


そう言ったのです。女は出来ず、聴衆も「何てひどいことを言うのでしょ

う」と、囁き合いました。


しかし翌日も女はやって来て、前日同様、子供は泣きわめきます。する

と行基も、同じことを言うのでした。女はとうとう意を決して、子供を淵に

捨てました。と、子供は浮き沈みしながら、しっかりとした大人の声で


「ああ、残念だ。あと3年、お前に憑りついてやろうと思ったのに」


そう言ったということです。子供には、前世で女に物を貸した男の霊が憑り

ついていたのです。霊は、子供の体を使って女を苦しめていました。そして

これを機会に、霊は去りました。


これは『日本霊異記』の中にある話ですが、ただ行基に霊能力があったの

は事実と思われますので、この話も誇張はあってもまるっきりのつくり話

ではないでしょう。