懐かしのカリスマニューハーフ | 山科薫マニアックな世界を楽しみましょう

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ニューハーフの方が殺害された事件、犯人が逮捕され、解決しましたね。

やはり恋愛のもつれとかが原因で、犯人は真面目そうな人。切ない事件

ですね。


私はふと、昔結構親友に近かったニューハーフの友人を、思い出しました。

本当に遠い昔、彼女とは座談会で知りあいました。ホモ、レズ、女装趣味者、

ニユーハーフがそれぞれの性について語るという内容で、彼女は勿論ニュー

ハーフ、そしてポルノ俳優の私が、司会を務めたのです。彼女とは、その時

から妙にウマがあいました。


彼女のルックスは、米倉涼子さんと木村佳乃さんを足して2で割った感じ。

というと「まさか」と思う人が多いかもしれませんが、本当にそんな感じで、と

にかく絶世の美女でした。


また、上智大学を中退した後アメリカに留学していた関係で、語学が堪能で、

夜は新宿の店にハニーという名で務めながら、昼は通訳の仕事をしていまし

た。才色兼備。


上司のはからいで、昼間は完全な女性として働いていたそうです。そして彼女

を男かと疑う人は誰もいなかったという話も、本当です。


実際、ハニーは一度テレビのバラエティー番組の性別当てというコーナーに

出たところ、5人いた審査員全員に「女」と答えさせたくらい。当然のように、

「きれい!」と感嘆の声がスタジオ中に起きていました。


ただ彼女は、常に自然体でした。何度か一緒に飲んだりもしましたが、こんな

ことをよく言っていました。


「オカマやニューハーフの人がシナをつくったり、変に上品ぶったりするのは、

かえってマイナス。だって、イイ女って、そういうことしないでしょう」

「でも私は、無理に女になろうとは思わないの。オカマでも男でも、好きに言って

もらって結構よ。私はただ、この姿が自分にとって一番自然だから、そうしている

だけ。自分らしくいたいだけなの」


聞きようによっては気障だし、今の時代であれば、逆に使い古しのようにも聞こえる

かもしれません。


しかしハニーが言うと、すごく説得力があって恰好よく、惹きつけられるのです。私

も自然体で共感しました。


「うん。わかる。そもそも、男とか女である前に、人間であることが大事なわけだしさ

あ、その人間って生き物は一人ひとり違うわけだから、その自分の個性って奴をより

大事にしなきゃいけないわけだよな」


なんて私も柄にもなく『人間論』を大真面目な顔で語ったりしました。


勿論彼女が美しくて頭も良いから自分を愛しやすいんだろうって思う人も、いるでしょ

う。しかしハニーがいうのは、誰にもある自分の長所を知ってそれを愛し、生かすと

いう、とても素朴なことなのでした。


私とハニーの間に、恋愛は、ありませんでした。私はハニーが好きでしたが、それは、

恋愛感情とはまた違う、人間としての憧れのようなもの。彼女は私の一種のカリスマ

でした。


あれからハニーのいた店が閉店したり(といって、店には一度しか行っていないのです

が)、私の方も波乱万丈だったりして、もう何年も会っていません。


どんな熟女になっているのでしょう。自分らしさは、たもっているかな。