平安時代の性の手ほどき書 | 山科薫マニアックな世界を楽しみましょう

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書かれた明確な年代は不明なのですが、平安時代であることは確かです。

”性の手ほどき書”、つまりセックスハウツー本の現代語訳の一部が手元に

あります。


天地も昼と夜が交わって万物が創生されるように、人間も男女が交わって

初めて国と成す。という凄まじいほどのセックス賛美から始まっているので

すが、特徴は、男性心理に気を使っていることです。


「男女接触の際には、その相手を瓦か石みたいなつまらないものだと見下

すように気を楽にし、その反対に自分自身は、金や玉のような尊いものだと

一応優越感を持つようにしてかからないと、肝心のものが言うことをきかなく

なる・・・・」


これ、一部抜粋です。

相手を見下しとか、優越感を持つようになんて記述があることから、男尊女卑

の表れじゃないかなんて解釈もかつてあったそうですが、とんでもない。

そのくらいに考えないとものがいうことをきかなくなるとしてあるのだから、む

しろ、逆に、気の弱い男が多く、そんな男たちに勇気をうながすために書かれ

たことがうかがわれるのです。優越感という言葉の前に、「一応」という一言が

入っているのが、可愛い所ですよね。


実際、精力が弱くても前戯で補う方法があるとか、接吻は女の下唇を含むの

が基本などと、優しく丁寧に手ほどきされています。始める際は、女の左側に

座るべしとあるのも、右利きの男が多いために利き腕をしっかり使えるようにと

の配慮だったと思われます。


平安時代は、牛車の中で強引に男を押し倒してヤッてしまう和泉式部(その辺

については私の拙著「愛欲の日本史裏絵巻」に詳しく描写されています。なん

て、宣伝してしまいました)のように、女性に性の豪傑や研究家が一杯いました。

和泉式部は牛舎の件を日記に書いて発表しているくらいですから、豪傑と研究

家を兼ねていたのですね。


それに対して、男は草食系が多かった。女に押され気味の時代だったと、思わ

れるのです。結婚と離婚を繰り返す女が多かったのに対し、男で60歳すぎての

初婚というのはめずらしくなかったそうですから。


まあそれに関しては、モテ過ぎて遊び過ぎての晩婚というのもあるので、何とも

いえませんがね。でも、奥手ゆえの晩婚も、少なくはなかったはずです。

この手ほどき書、作者不詳ですが、私は、女性だったのではないかと見ています。


ところで、草食系男についてですが、私は、或る心理学者の方に聞きました。

その人によると、恋愛が下手な人、失敗する人に最も多いのは、短いスタンスで

か恋愛を考えられない人だそうです。せっかちこそ致命的だそうなのです。


それに関しては、私も全く否定しません。また、その学者に言わせれば、本当の

恋というのは、植物を育てるようなものだそうです。


だから、草食系で奥手といわれる人も、のんびりやるのが一番じゃないかと思い

ますが、いかがでしょうか。