理論があって初めて、何かを人が観測できるかということが決まります。

とはアインシュタインの言葉です。

これはハイゼンベルクとの有名なやり取りです。

物理学の理論では観測可能な量だけしか取り上げない　ということは必要なことではなく、

ある種の理論の解釈の方便だということです。

面白いですね。

理論とはいわばイデア界です。まずはイデア（理論）があり、そして何を人が観測できるかが決まります。

理論がなければ何も見えなず、理論が先で、観測は後、ということになります。

ブリーフが先で、その後にそれに従って現実世界が見えるようになります。

正確に観測せよと言っているにも関わらず、結論ありきのような話ではあります。

万物の後ろには法則があり、イデアがあるとわれわれは前提として考えています。

このことをプラトン主義と言います。

現代科学がよって立つのはプラトン主義です。

目の前に広がる世界がランダムに見えたとしても、その後ろ側にはアルゴリズムが存在し、法則があり、理論があると確信しています。

その不完全な写像が現実世界です。

あながち間違っていなさそうに見えるのですが、ここで変な癖が出てきてしまいがちです。

観測されたものに誤差が生じても、その不完全さに納得せずに、直線を引きたくなります。

誤差という概念も、観測された世界の事象にはその真なる姿としてイデアがチラつくので、リニアな変化として直線を引きたくなるのです。

われわれはあるがままをそのまま捉えるのが苦手なのです。

法則、理論と違うとそのを間を埋め、誤差を無視して修正してしまいます。

例えば、水を熱する温度上昇などはそれに当たります。

実際に水を温めると、直線的に温度が上昇するわけではなく、細かくでこぼこした線になります。

理論がなければ何も見えず、理論が先で、観測は後であり、ブリーフが先で、その後にそれに従って現実世界が見えるようになることは真実ですが、弊害もあるということを知っておきましょう。

大衆的なプラトン主義として、正義は実現すると考え、悪は滅びるなどと安易に確信してしまうのもその残滓かもしれません。

（実際はそうでないことをたくさん観測できてたとしても）

科学はプラトン主義です。

さらに一歩進めて考えていく必要があるのです。

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理論が先、観測は後？