妻と口論。


なかなか家事に協力できていない私。

今日は長女が柔道の練習の日。

頭痛がひどかったので私は留守番。

せめて家事くらいはしようと思った。


乾いた洗濯物を畳み、引き出しにしまう。

カゴに溜まった洗濯物を洗濯機に入れ、スイッチを押す。

少し休んで、洗い終わった洗濯物を干した。

ほどなくして、みんなが帰宅。


下の子をお風呂に入れて、着替えさせていると、妻が言った。


「洗濯したの? 今日は柔道着も一緒に洗わなきゃいけなかったのに。なんで、何度も言ってるのに覚えないの。」


……忘れていた。


妻の怒りがこちらに向かう。妻は年下だけど、わたしの何倍も気が強い。

「また洗えばいい」と言うと、「節約してるのに、なんで自分勝手なことばかり」と責められた。


些細なことで、そこまで怒るのかという勝手な思い。

でも、数日前に「洗濯はしないの?」と言われた言葉が頭に残っていて、今日はちゃんとやろうと思ったのだ。


だけど、間違えたことでで全部が0点になってしまった。やっても怒られて、やらなくても怒られる思い。


妻が言うように、普段しないから覚えることができていないのだ。

言われたことは受け止めできる。


僕だって、つらい。

本当は休みたい日もある。

それでも、毎日仕事に行っている。

当たり前のように見えても、当たり前じゃない。

ちゃんと踏ん張っているつもりなんだ。


ここ数年、私の両親との関係がよくなく、その間に入る形で妻との仲もぎくしゃくしていた。

それでも妻の気持ちを少しでも軽くしたくて、私は妻の立場に寄り添いながら両親と向き合ってきたつもりだった。

実家を私がローン組んで建て直して同居していたけれど、私世帯が外へ出て二重の家賃を払うことができない。ローンを払えなくなると、代々の土地を含め全てがなくなる。

両親に折れてもらい別居してもらった。目一杯な罪悪感抱えて。親不孝な息子でごめんなさい。

けれど、それでも、関係はあまりよくならなかった。家事を任せきりにしてきたことが積み重なっていたのだと思う。


私も感情を抑えきれず、「そこまで責めることなのか」と反論してしまった。失敗。

最近は、二人きりの時に話しかけても反応してもらえないことが多かった。

積もり積もっていたのだとおもう。

妻の怒りは収まらず、子どもたちが心配そうに見つめていた。


――ごめんね。悪いお父さんで。


妻は、口論になるといつも、かつて署名させた離婚届を出すと言う。

一人で夜中に出て行ったことも度々。

これまで何度も、私の謝罪と「協力する」という約束で関係をつないできた。

私のためというよりも、子供たちのことを思って留まってくれたんだとわかっている。

それでも、今回もやり直したいと謝ったけれど、もう取りつくしまもなかった。

自業自得。


「同居させたあなたを恨んでる」という、あの言葉が頭をよぎる。


もう、何を言っても届かない。

妻は「明日、娘たちを連れて出ていく」と言って荷物をまとめ始めた。

子どもたちは泣き出した。


――ごめんね。謝ったけど、お父さん、もう許してもらえないんだ。


どうしたらいいのかわからない。

子どもたちのために頑張らなければいけなかったのに。

もう、何をすればいいのか見えない。


みんな、私の元から去っていく。

父親失格。夫失格。自業自得。


もっと苦しめばいい。

もう、どうにもならないところまで苦しめばいい。

ただただ、子どもたちに謝りたい。


妻にはもう、謝罪を受け入れてもらえない。

これまで、苦労や嫌な思いさせてごめんなさい、


幸せだったなあ。

つらいことも多かったけど、楽しいことや嬉しいこともたくさんあった。


妻にも、息子にも、娘にも、両親にも、疎遠になった弟にも――謝りたい。



人として欠けていたのだろう。



ごめんなさい。みんな。