タバコの煙燻らせ、ロックグラスに注いだスコッチを飲む。
そう、これは今日の終わりを告げる行為。
そんな時に限ってあいつらの事をふと思い出す。
思い通りにならない女たち。
そもそも女を思い通りにしようなんて事自体が浅慮である。
だが男という生き物は愚かなもので、禁忌だからこそ萌える。もとい燃えるのである。
あいつは取引先の女社長。
ふとした事から近しい仲になった。
なんといってもメール文が独特だった彼女。
ある時は
「今日わパトーカーがいるかもしれませんので気おつけて。」
と「は」を「わ」。「を」を「お」と表記し、可愛いアピールをしてくる。
そんな彼女を助手席に乗せ運転していた時の事だ。
「人差し指くん、最近はCD(シーデー)売れないんだってね」
そう、彼女はシーデーと口にした。確かに。
(彼女はDをデーと読む人なのかもしれない)
思い立ったが吉日。
試すしかない。
その時脳裏には「DVDはデーブイデーと言うのか?」しかなかった。
そこでこう話しかける。
「そういえば、ビデオももう古くなりましたねぇ。」
彼女が口を開く。
(言えっ!言ってくれ!デーブイデーと!)
「今はDVD(ディーブイディー)だからね。」
ガッデム!!
さすがは年上の女性。
そう簡単に思い通りにはならない。
だが、ここで臆するようでは男ではない。
会話は政治の話になり、彼女がこう言った。
「TPP(テーピーピー)、人差し指くんはどう思う?」
キタ!
千載一遇のチャンスだ!
政治の話をしながら次の好機をじっと待つ。
そういえば彼女は車に乗る前に「銀行へ行きたい」と言っていたのを思い出す。
(ATMはエーテーエムと言うのか?)
試してみたくなり、こう切り出す。
「あっ、そういえば銀行行きたいって言ってましたよね。」
「あっそうだった。忘れてた(笑)」
「でも・・・ちょっとこの辺りに銀行はないんですけど、どうします?」
「それだったらコンビニでいいよ?ATM(エーティーエム)ある所なら。」
畜生!!
畜生!!畜生!!
いや落ち着くんだ人差し指。
考えてみたら当たり前じゃないか。
そう自分に言い聞かせ、私たちはコンビニへ入った。
「何か飲み物買いましょうか。お金おろしてる間に僕飲み物取ってきますよ?」
「ありがとう!お願いしようかな。」
「何がいいですか?」
「それじゃあねぇ・・・私はCoffee(カーフィー)」
いきなりキター!!
発想の斜め上なうえにノーガードだったー!!
そして続けざまに
「あっ、やっぱりコーヒー牛乳にしようかな。」
ええええええええええええええ!!!!
カーフィー牛乳じゃねぇのおおおおおお!!!!
その後の事は全く覚えていない。
思い通りにならない女、推定還暦前後おそるべし・・・。
またこんな事もあった。
あいつは食堂で働く看板娘だった。
私は足繁く通った。
勿論、この看板娘が見たいからだ。
お釣りを渡す際に
「はい、20万円♪」
とニッコリ笑う彼女に私は恋にも似た感情を覚えたものだ。
彼女をどうにか振り向かせたい。
そう思った私は彼女の常套句でもある「○○万円」を逆に使ってやろうと思い立った。
「ふふふ、面白い人(*´∀`*)」
そう言われるに違いない。
そしていよいよその時が来た。
「はい、お会計780円でーす。」
「あ、それじゃ・・・1000万円で」
・・・来い。
・・・・・・来い。
・・・・・・・・笑ってくれ。
「はい、1000円ですね・・・220万円のお返しでーす」
完璧なまでのスルー!!
「それは私だけに許されたフレーズなのよ!!」とでも言わんばかりのスルー。
その後はどうやって帰宅したか全く覚えていない。
ちなみにその店は閉店して、今は更地になっている。
閉店の張り紙に
「年齢の為、体力が続かなくなりました。」
と書いてあった時も、その真っ直ぐ過ぎる言葉に何も言えず
ただただ「さすがだな。」とつぶやくしかなかったのは言うまでもないだろう。
と、ダラダラとこんな事を書いてしまった。
そろそろグラスも底を突く。
まぁ何が言いたかったのかというと
年配者は難しいって事で(笑)
※追記
「おーい♪」と見知らぬ女性に手を振られました。
(もしかしたら知り合いかもしれない)と思い手を振りました。
この後の話はしなくてもいいと思います。
あれです。オランジーナ現象です。
誰か上げた手のカッコイイ下ろし方教えて下さい。
ちなみに僕は頭を掻き誤魔化しました(苦笑)
