私の父は根っからの真面目人間です。
熱心な証人ほど、その傾向が強いと思います。
父の子供の頃に育った特殊環境も影響していると想像するのですが、大学を出て社会人になってからも、職場の人たちとの良い人間関係を築けず、苦労していたようです。
私は4人兄弟(だった)のですが、長男は現在37歳、二男36歳、私34歳、弟32歳でした。
弟が母のお腹にいたころか、出産で里帰りしていたころか、弟が生まれた時かははっきりと分からないのですが、とにかく今からおおよそ32年前です。
父は職場の人間関係に悩み、退職して家にいるころでした。
宗教とはそんなものですね。
弱っている人間につけ込む、そしてのめり込む。
父の心が弱っているときに証人の方が家を訪ねてきました。
今にして思えば、その頃父が仕事を辞めていたことが悔やまれてなりません。
あの時父が家におらず、母が対応していればこの結果にはなっていないかもしれません。
こんなことを考えること自体、無駄なことでいずれにしてもいつかどこかのタイミングで証人に出会っているとは思うのですが。
父の母親が熱心なカトリックの信者でしたが、父は子供の頃からカトリックの教えには矛盾が多く疑問を持っていたそうです。
それで、父は証人が尋ねてきた後、再度うちに呼びいれて自分が長年抱いてきたカトリックや宗教に対する疑問をすべてぶつけたそうです。
そうするとその証人は父の疑問すべてによどみなく明確な答えを聖書から導き出したそうです。
父にとってはそれがすべてでした。
母が同じく証人になるのは父の影響によるものです。
一般的には女性の方が先に関心を示す場合が多いようですが、うちは夫の方が先に心を開くというめずらしいパターンで、証人からすると絶対に逃すまいという格好のターゲットだったのでしょう。
それから私たち子供たちにとっては地獄の生活が始まりました。
もっとも一世である両親にとっては薔薇色の生活かもしれませんが。
つづく