■ご質問:

私はJW2世ですが,幼い時からかなり大きくなるまでひどいムチをされ,このことだけは絶対に許せないと思っています。

外国の児童虐待問題のように,日本でもムチ問題でものみの塔協会を訴えることはできないでしょうか?

もし訴えることができないとしても,何か社会問題にすることはできないのでしょうか。このままほっておくことは絶対許せません。

 

■回答:

 

1.まず,日本国内で,ムチ問題の件でJWを訴えることは,残念ながら現在ではできないように思います。

 

一つの理由としては,今現在,かつてのようなムチ問題が蔓延していれば,児童相談所等を通じてすぐに問題化させ,ムチをした親を傷害罪で刑事告訴することが可能かもしれませんし,ものみの塔協会の明確な指示があることを立証できれば,協会の責任追及も不可能ではないかもしれません。

 

しかし,現在では,ムチの悪習は,日本のJW社会で横行してはいないのではないでしょうか。

 

ものみの塔のお決まりのパターンで,「かつてはそういうこともあったかもしれないが,協会の指示はなく,一部の熱狂的信者が誤って行ったもので自己責任だ」という形で片づけようとしていることが明白な印象があります。

 

また,海外の法体制では,過去に行われた悪習であっても,ものみの塔協会の指示によるものであることが立証できるならば,責任を追及することが可能かもしれませんが(児童虐待行為の多くはかなり前の時期に発生しているのではないでしょうか),おそらくこの「ムチ」という悪習は,日本国内で顕著に見られたものであって,海外ではあまり問題になっておらず,日本国外の元JWたちの活動結果に期待することも難しいように思われます。

 

2.このように,法的責任は追及できないとしても,「ムチ問題」を社会問題化して,「エホバの証人」という組織が過去に組織的に行ったことを公にし,この団体に対する社会の健全な評価を促す,という形でこの問題に取り組むことは可能かもしれません。

 

このような活動を行うためには,

①可能な限り正確なデータと,

②そのデータを集約・公表する社会的に信頼できる機関

が必要になると考えます。

 

単なる一例ですが,

ⅰ.ムチの被害に遭ったという人で,実名で経験を提示してもよいという人が現れ,

ⅱ.〇〇年から〇〇年の間ムチをされた

ⅲ.どのようなムチの実態だったか

・〇〇という理由や〇〇という理由でムチをされた

・ムチは〇〇を使用された(使われたムチ棒の種類)

・ムチは〇〇という形で行われた(おしりをぶたれた,数をカウントされた等々)

・ムチにより〇〇という傷を負った(ミミズ腫れになり数週間残った,痛みで椅子に座れなかった等々)

・その他ムチに関するほかの状況(父親や学校の先生に傷を見せるなと言われた,等々)

ⅳ.ムチをされた当時に所属していた会衆名・巡回区名

ⅴ.ムチについてのものみの塔協会の指示・関与

・〇〇という巡回監督が〇〇年に会衆に来てからムチの方式が指定された

・長老が家に来てムチをするように指示した,ムチの道具を長老が配った,等々

 

というような情報を詳細に提供し,

 

ⅵ.それを信頼できる機関(大学・弁護士・児童福祉団体等)が責任を持ってデータ分析し,

過去のものみの塔の出版物上の指示も合わせて分析し,

ⅶ.データ分析結果をものみの塔協会に送付して回答を求め,

ⅷ.送付したデータと回答結果(ない場合はない旨も)を,社会的に信頼のおけるインターネット上のサイトに公表する,

 

などの方法により,実際に起きた出来事を社会に知らせ,JW組織に対する客観的な判断材料の一つにしてもらう,

という方法があり得るかもしれません。

 

仮に,日本各地の詳細なデータ(個人が経験したことを詳細に言うだけで構わない)が集まれば,それを分析することで,

・年代ごとの特徴

・地域ごとの特徴

・巡回区ごとの特徴

が見えてきて,それに対してのものみの塔協会の関与も明確になるものと想像されます。

 

3.もっとも,上記のような方法をとるには,いくつか問題があります。

 

まず,正確なデータが必ず必要になりますが,

上述したような情報を責任を持って提供してくれる被害者が果たして現れるのか,

現れたとして何人現れるのか,

大きな課題になりえます。

 

データ化するにはできれば1000人分のデータくらいは必要でしょうし,

仮に100人の情報であったとしても,何とかデータ化できるかもしれませんが,100人集まるかどうかも想像できません。

 

また,こうしたデータを集計する作業が必要で,さらにその後ものみの塔協会の見解を求める作業があった方が良いですが,

こうした作業を行うのに適任と考えられるのは,個人であれば大学教授・弁護士・医師などでしょうし,

団体であれば,それなりに権威のある団体でなければならず,

こうした協力者が現れるかどうかも,大きな課題になりえます。

 

結局のところ,現在の「元JW社会」は,潜在人数は非常に大きいでしょうが,統一的な活動をする基盤がありませんので,

そうした基盤を作る人が現れ,

しかもその基盤作りに成功しないと,

こうした組織的な社会問題化はかなり厳しく,

残念ながら,時の経過とともに「自己責任」で片づけられる,という,

JW問題のお決まりの泣き寝入りパターンになってしまいかねないと考えられます。

 

4.上記のような組織的な問題追及の方法とは別の方法として,

「JW経験者として著名な人が,自分個人,または別の誰かの経験を詳細に語る」

という方法があるかもしれません。

 

この方法であれば,たったひとりの経験であっても,説得力があり,社会の耳目を集め,ものみの塔協会がしてきたことについての正確な情報の提供という目的は達成できるかもしれません。

 

最近では,自分自身のエホバの証人体験を漫画化して注目を集めている方もおられますので,

そうした方たちが,ご自身の経験か,または,凄惨な経験をした別の誰かの実体験を書籍化するなどして,

社会に事実を知らせることも,1つの方法かもしれません。