僕には好きな人が居る。とは言っても自分からアピールできないタイプの人間だから全然仲良くなれてない...その子はとても人気があってクラスの中心的な存在だ。まるで僕とは反対だな...

いつも1時間目が終わると僕の後ろの席にいる石田さんのところに彼女はやってくる。とても綺麗で長い髪がふわりふわりと浮き、            観ている男子たちを次々と虜にする。

「ねぇ!ねぇ!佳奈子今日空いてる?一緒にネックレス買いに行かない!?昨日すごく可愛いのがあったの!」

「別にいいけど...どこの店で買うの?」

その続きの会話を聞きたかったが彼女が石田さんの席に行くと近くにいる女子たちが物凄い勢いで集まってくる。やはり人気者は大変そうだな。

そんなことを考えていると、2時間目のチャイムが鳴った。彼女が自分の席に戻ろうと綺麗な髪を靡かせていると僕と目が合った。すると彼女は可愛らしい顔でニコッと僕に微笑んできた。

嬉しすぎてその日は眠れなかった。

金曜日、いつもと様子が違っていた彼女はなぜか頬を隠すようにしていた。最初は転んで怪我でもしたのかなと思っていたけど、そんなこと本人には聞きずらいし...

そう思い、僕は竹田に聞いてみることにした。

「あのさ、桜田さんなんか顔を隠しているように見えるんだけど怪我でもしたの?」

「お前知らないの?」

「うん...」

「そっか...桜田さんお姉ちゃんから暴力を受けてるらしいんだ。多分、頬を隠しているのは跡が残ってるんじゃないかな?」

「まじかよ...」

そういうと竹田は少し悲しそうに頷いた。

僕はその時、なぜ家族に言わないんだろうと思っていたけど、彼女の身になってみたら少し言えない気持ちもわかるような気がした。

週明けの月曜日、彼女は学校に来なかった。それだけでクラスの女子も男子もいつもより楽しくなさそうだった。クラスの中心が居ないんだからそりゃそうなるか。

その日は所々から彼女の話が耳に入ってきた。お姉ちゃんに家で暴力されてるだの。ただ熱を出して休んでいるだけだの。正直僕は心配でたまらなかった。

その日は彼女が居ないショックで下を向きながら帰ったが、いつも僕の帰り道にある公園からブランコに乗る音が聞こえてきた。

誰か乗っているのかと目を向けてみると、そこには僕と同じように下を向きながらブランコをこいでいる彼女がいた。

僕は驚いてそこで止まってしまうと、それに気づいた彼女がこちらに目を向けた。

「え!上杉君!?もしかして学校帰り!?」

「え、うん!桜田さんはこんな所で何してるの?」

そう聞くと彼女は悲しそうな顔をした。

「お姉ちゃんから逃げてきたの...」

「え...と...大丈夫?辛いんだったら話聞くよ!」

「え...ほんとに?ありがと...じゃあ隣においでよ!」

少し緊張しながらも僕は彼女の座っている隣のブランコに腰を落とした

「私ね...知ってると思うけどお姉ちゃんから暴力を受けているの...」

そう言うと彼女は頬に貼ってあった絆創膏を取った

「え!大丈夫!?結構深いんじゃないこの切り傷」

「うん...深いの。昨日は殴られるだけで済んだんだけど今日はカッターで切られちゃって...ごめんね?あんまり見たくないよね。」

「ううん!大丈夫!凄くいいよ!」

「え?」

「あ、いや、凄くいいってのは、えっと...切れてても変わらず可愛いよってこと。あ、ごめん!きもかった?」

「えへへ...少し照れるな~ありがとね!」

彼女は悲しそうな顔からちょこっとだけ笑顔になってくれた

「え、うん!喜んでもらって何よりだよ!」

「上杉君って優しんだね。」

そういわれた今の僕の顔はきっとリンゴ位に赤くなているだろう...

それから僕は辺りが暗くなるまで彼女の話を聞いた。

「ほんとに今日はありがとうね!すっきりした!」

「ううん!こちらこそありがとう。また困ったら相談してくれて大丈夫だからね。」

「うん!その時は上杉君のこと頼っちゃうね!あと、このことは2人の秘密だからね!じゃあまたね!」

「うん!絶対守るよ!またね!」

普段あまり感情的にならない僕がその時だけはうれしさを隠しきれなかった。

水曜日、この日はバレンタインデーだった...この日も彼女は休んでいて僕はバレンタインにチョコがもらえないというよりも、彼女は大丈夫だろうか。と心配の方が大きかった。

帰り道に昨日の公園に行ったが彼女は見当たらなかった。

木曜日の朝、信じられないニュースが僕の目に映った。

「昨晩女子中学生が刺されるという事件がありました。被害者の名前は、桜田 美奈。」

「え?」

僕は信じられなかった。一昨日までは一緒にブランコをこいで相談をしていたのに、最後にまたねって言ったのに...僕は食べていたパンを手から落とし、2階の部屋に向かった。

下から僕の名前を呼ぶ声が聞こえてきていたが、僕はそんなことを気にすらせずに部屋の中の扉にもたれて座った。

ホワイトデーの日に僕は彼女にチョコを渡そうとした。またねって言ったから...きっと渡せるって信じてた。なのにもう顔すら見れないなんて...

僕はためていた涙が一気に出た。前が見えないくらい沢山...沢山涙が溢れ出ていた。

数時間経った頃、家に警察が来た。渡したいものがあると言って僕の部屋にあがってきて、僕に長方形の箱を渡した。

「何...ですか?これ」

「中を見てみてください。」

そういわれて中を見てみるとそこには沢山の美味しそうなチョコと、「相談乗ってくれてありがとう!」と書かれた1枚の手紙だった。

僕はそれを見てまた前が見えなくなるくらい沢山泣いた。

「それは、美奈さんの机の上に置かれていました。きっと昨日君に渡す予定だったんでしょう。」

「あり...がとう...ございます」

「お気の毒に...犯人はお姉さんでした、彼氏が家に来る目的が美奈さんに会いたいからだったそうでそれに対してお姉さんは妹がいなくなればいいと考えて殺めてしまったそうです。」

「姉さんにはそれに相応しい罰が下されますから...」

「はい...分かりました...」

「では、私たちはこれで失礼します。」

そう言って警察は僕の家を出ていった。

僕は、桜田さんから貰ったチョコを食べられなかった。

1カ月後、桜田さんのお墓に行った。

その日はホワイトデーで、お返しをしなければいけなかった。僕はいるはずもない桜田さんに一生懸命話しかけていた。

「あのね...桜田さんがくれたチョコ、僕やっぱり食べられないや...ごめんね...せっかく作ってくれたのに。でも、桜田さんにはチョコよりも大切なもの...恋をもらったから...僕からあげられるものはこれしかないけど、頑張って作ったからゆっくり食べてね!」

そう言い、僕は桜田さんのお墓に形があまり綺麗じゃない手作りのチョコを置いた。

 

 

 

 

 

 

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