ドラマの撮影がやっと終わって
番組の収録の為に、一時帰国した愛しい人に
ちょっとでも会えたらいいな。って
車を走らせる。

日付が変わるまで……45分……



「…はぁっ。間に合ったぁー。」


合鍵を使って入ると…


「ふふっ。おかえり。…で、ただいま。」

オレの来ること分かってた翔くんが
両手を広げて待っててくれた。

すぽって彼の腕の中に入って
翔くんの香りを吸い込んで

「うん。…ただいま。おかえり……。」

って呟くと……


「またすぐ明日行くのに……
無理しなくてよかったんだよ?
ま、俺は来てくれて嬉しいけど?」

抱きしめてた腕を緩めて
優しくポンポンって頭を撫でてくれた。


「んじゃ、ちょこっと飲みますか。
チョコに合うかは…わかんないけど…」

……シャンパンを用意してくれてた翔くん。


なんだよ?
お見通しかよ?
オレ、チョコあげるなんて言ってないけど。

あ、テレビで言ってたか(笑)





「はい。ギリギリ間に合ったね。
Happy Valentine❤」

シャンパンで乾杯しながら
翔くんに小さい紙袋を渡すと

「おっ!手作り?
よく時間あったな?」

ニヤつきながら、わざとらしく、嬉しそうに
受け取ってくれて
やっぱり作ってよかった。
ちょっとでも会えてよかった。
オレってやっぱ単純だなー。


「昨日の夜、溶かして、混ぜて、固めただけ。
翔くんだってできるよ。(笑)」

「ぜぇーーってぇ無理っ!
てか、できてもやらない!」

「ええーー?何でぇぇー?
オレも翔くんの手作りチョコほしいー❤」

ってちょっと甘えて
翔くんの腕にしがみつくと


ぎゅっとされて

「老後引退して隠居生活になったら作るよ。
…だから、それまでは毎年、潤から
よろしくお願いします(笑)」

ふざけて言ってるのかもしれないけど
なんだかプロポーズみたいで
ちょっと、泣きそうになる。

はぁー。オレ、やっぱり疲れてんのかな?
けっこう、翔くん不足だったんだな。って
今更ながら気づいて

翔くんの背中に手を回して
数日ぶりの大好きな人をぎゅーって
抱きしめた。


「…会いたかった?」

耳元で、オレの大好きな翔くんの声。


「……ん。会いたかったよ。」


「……ふふ。素直じゃん。
で?…チョコ…潤は味見したの?」


あ、急いで作ったから味見してなかった。

「…まだ…だった…。」


抱きついてたオレの体をゆっくり離して
袋から、チョコをひとつ取り出して
ポイって口に入れた翔くん。

「うんめぇぇーー!」

ほんと…この世の中に
こんなに美味しそうに食べる人って
いるのかな?
そんなとこも大好きなんだよね。

幸せそうにチョコを頬張る翔くんを見てたら


んっ。ってキスされて
口の中に甘いチョコを押し込まれた。

「ど?自分で作ったチョコの出来栄えは?」


「んふっ。美味しいね。」


唇のはしについたチョコを
ペロって舐めると

急に真顔になって
オレの顔を見つめる翔くん。


「…おまえ…。
そういうこと…他の奴の前で
ぜってぇーすんなよ?…」


「…へっ?…」

全く意味が分からないオレのおでこに
コツンってデコピンをして…


ぎゅって手をつかまれて
ソファーから立たされた。



「…も、限界。………いこ?」



……だから……
返事はしないで……
オレの手をひっぱる翔くんの手を
きゅって握り返した。





来年も、再来年も……
ずっとずっとその先も……
翔くんと一緒に
Valentine❤お祝いできますように……




Happy Valentine's Day


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