それまで弁当をゆっくりと食べていた潤が、
「うーん、お腹いっぱい。
僕もなんだか眠くなっちゃった…。」
「ふぁーーっ。」
と大きなあくびをすると潤は、
「僕も少し眠ろうーっと。」
と言うと智くんの横に寝転びスヤスヤと眠り始めたのだった。
そんな潤を見て、
「ふはっ。
潤って可愛いよな。」
と呟くと和が、、
「潤くんは昔っから可愛いのよ…。
だからさ…。」
潤を見ながらそう言い俺の方に振り返ったかと思うと、
「翔ちゃん。
遊び半分で可愛い潤くんに手を出さないでくださいね。」
ニッコリと微笑んで冗談っぽい声でそう言ってきたので、
「はっ?
何それ?」
と言いながら和を見ると…。
和の口元はいつものように笑っているけれど和の目は笑っていなくて…。
「だって、翔ちゃんは初っ端から潤くんをナンパしてたじゃない。
そんな人に潤くんは任せられないなー。」
と言いながら薄茶色の潤んだ瞳でじっと俺を見つめながらそう言ってきたのだった。
入学式の日に潤をナンパしたというのは誤解だしネタとして言っているものだと思っていたのだが、和はもしかして本気でそう思っていたとか…?
いやいや…今までの和の態度からしてそれはないだろう…。
でも今日の和は本気っぽい感じだし…。
ってか未だに俺は和に警戒されているんだ…。
と思い、
「はぁーーーーっ。」
と、ため息をつき、
「和、あのさー。
言っておくけど俺、そんな遊び人じゃないし…。
それにナンパなんかしていないし。」
と言うと、
「まあ、確かに子供の頃迷子になっていた事にも気付かない様な鈍臭い子だったから、育ち方さえ間違えなければ悪い人ではないんでしょうけどねー。」
和は腕を組んでチラリと俺を見ながらそう言ってきたのだった。
「ったく…。
その話はもういいから…。」
うんざりとしながら和にそう言うと和はやっと楽しそうに、
「んふふふふふ。」
と笑ったのだった。
「でも、潤くんとの事はまだ認めた訳ではないからね。」
と意味不明な事を言ってくる和に、
「はあ!?
何それ?
潤との事って何だよ?」
と言ったその時…。
「うわっ!!
冷たっ!!」
と雅紀の叫ぶ声が聞こえたのだった。
雅紀の声のする方を見ると、雅紀はいつの間にやら眠っている潤の隣に横になり潤に抱きついていたのだった。
「「えっ!?」」
和と同時に声を上げ、
「ちょっとっ!!
まーくんっ!!
アナタ、潤くんに何してんのよっ!?」
「雅紀…。
何で潤に抱きついているんだよ…?」
雅紀にそう問うと雅紀は無邪気な笑顔で、
「だってー。
潤ちゃんの寝顔があまりにも可愛かったから、ついついハグしたくなったんだもん!!」
とニコニコとしながらそう言ってきたのだった。
それを聞いた和は、
「『ついつい…。』じゃないよっ!!
まーくん、早く潤くんから離れてよっ!!」
と言いながら立ち上がり、ヅカヅカと歩いて雅紀の元へと行くと、
「ほらっ!!
早く離れるっ!!」
と雅紀の身体をグイグイッと引っ張ったのだった。
雅紀は残念そうにしながら潤から離れると、
「でもさ、和くん。
潤ちゃんとっても冷たいんだけど、大丈夫なのかな?」
と首を傾げながら和にそう言ったのだった。
和は雅紀に、
「はあーっ!?
そんな訳ない…。」
と言いながら潤の身体にそっと触れると、
「冷たっ!!」
と叫び、
「潤くん、大丈夫っ!?」
と言いながら潤の身体をユサユサと揺すったのだった。
和達の元へと行き、
「潤、大丈夫か?」
と言いながら潤の頬にそっと触れると潤の頬は冷たくて…。
こんなに天気の良い日に日に当たりながら寝ているのに、何で潤はこんなに冷たいんだ?と首を傾げて考えていると…。
それまで潤の隣で俺達の声にも動じず寝ていた智くんが寝返りを打ち潤に触れた途端、
「冷たっ!!
何だぁーっ!?」
と言いながら飛び起きたのだった。
智くんは隣で眠っていた潤を見つてもう一度潤に触れ、
「…潤のヤツ…冷たいけど大丈夫なのか?」
智くんが眠そうに目をこすりながら和にそう聞くと和は、
「…分からない…。
潤くん…体調悪いのかも…。」
今にも泣きそうな顔をして潤を見つめながらそう答えたのだった。
当の潤は起きる様子もなく、
「…ふふふ…。」
と楽しそうに微笑みながら眠り続けていたのだった。
和は心配そうに、
「潤くんっ!!
潤くんっ!!
潤くん、大丈夫っ!?」
と潤の身体を揺らすのだが潤の起きる気配はなく…。
「ねえ、潤くんってば、起きてよっ!!」
と和が必死に眠っている潤に声をかけるのだが潤は、
「…ん…んん…。
こどもの…ころの…。。。くんに……ってたんだ…。
…ふふふ…。」
と寝言を言ったかと思うとブルリと震えて、
「…さむっ…。」
呟いたのだった。
和が、
「潤くん、寒いの?
大丈夫っ!?」
と声をかけると…。
「トゥーン!!!
あぁ…いたい…。」
と言いながら潤はゆっくりと目を開けたのだった。
「「「えっ、!?
今のなに…?」」」
何が起こったのか理解が出来ず、智くんと雅紀と俺は驚いて和にそう尋ねると和は潤の背中をさすりながら、
「ああ…。
今のは潤くんのくしゃみだよ。」
と答えると潤のおでこに自分の左手を当てると、
「おでこは熱くないんだけどな…。
でも潤くんは寒いんだよね…。」
と呟き、
「潤くん保健室に行こうか?」
と潤に優しくそう問いかけたのだった。
潤は寝起きでボーッとしながらも、
「…ううん。
かず、だいじょうぶだよ。」
首を横に振りそう答えたのだが…。
ガクガクと震えながら、
「さむ…。」
と呟くので和が、
「でも…潤くん寒いんでしょう?」
潤にそう聞くと潤はブルッと震えながらコクンと頷いだのだった。
「潤くん…熱があるといけないから保健室に行こう。
ねっ。
俺も一緒に行くから大丈夫だよ。」
と小さい子供を諭すかのように優しく潤にそう言うと、潤は仕方がないという顔をしてコクンと頷いたのだった。
2人が立ち上がるのを見て、
「俺も一緒に行くよ。」
と言うと、
「「えっ!?」」
嫌そうな顔をした和と、目を大きく開いた後ニッコリと微笑んだ潤が俺の方を見ていて…。
「潤…寒そうだし歩くのが辛いかもしれないから…ほら。」
と言い潤に背中を向けてしゃがむと、
「んっ?」
と潤は首を傾げて俺を見つめてくるので、
「おぶって行ってやるから。
ほら。」
と言うと潤は慌てて、
「しょおくん。
僕、そんな…体調悪くないから大丈夫だよっ!!」
と言うので、
「俺が心配だからさ。
ほら、潤おいで。」
と背中を潤に向けてそう言うと、
「でも…僕重いし…。
それに…恥ずかしい…。」
と潤がそう言うと、
「潤ちゃん、よかったじゃん。」
「そうそう。
翔くん細いけどサッカーやっているから筋肉あるから潤の1人や2人おぶったって平気だよ。」
と雅紀と智くんがそう言うと、
「ああ。
無駄に筋肉だけはあるもんね。」
と和が頷きながらそう言ってくるもんだから、
「おいっ!!
和っ!!
お前、本当に失礼だよなっ!!」
と言うとそんな俺達の様子を見ていた潤はクスリと笑うと、
「じゃあ…。
しょおくんの無駄な筋肉を使わせてあげるね。」
と言うと、ふわりと俺の背中におぶさってきたのだった。
その潤の身体はとても冷たくて…。
冷たいのは潤の身体だけではなく、着ている制服のブレザーやズボンとても冷たかったのだ。
「うわっ。
潤、本当に冷たいじゃん。」
と言いながら、これじゃあまるで冬の寒い外を歩いていたみたいだよな…なんて思ったのだった。
⭐⭐ to becontinued⭐⭐
お話を読んでくださって、ありがとうございます
お久しぶりのRONTAです
相変わらずノロノロペースですみません…
気長に更新を待っていただけると嬉しいです