アンティークショップ~紫の石~
…ごめん…なさい…。」
と早口で潤にそう言って謝っていると、
俺の訴えを聞いた潤は、
「しょおさん…ごめんなさいっ!!」
と言うと、背中の白くて小さな羽根を必死に、パタパタパタッ…と羽ばたかせ、来た方向へと戻って行ったのだった。
飛び立った実家の2階の部屋の窓をくぐり抜け、ようやく部屋へと到着した頃には俺はグッタリとしながら潤はしがみついたまま暫く放心状態でいたのだった。
俺の背中を優しく撫でてくれる温もりを感じるながら暫くその状態のままいたのだった。
ようやく落ち着きを取り戻していき動ける様になったのだが…。
ああ…。
何たる失態…。
潤にこんな情けない姿を見せてしまうだなんて…。
潤に幻滅されたかも…。
ふとそう思い、
「ハァーーーーッ。」
と深いため息をついたのだった。
「潤。
ごめんな…。」
と潤に声を掛けたのだが、潤は何だかプルプルと震えており何となく自分の肩が濡れている様な気がして、
「どうした?
潤?」
と潤の肩を両手でそっと押して潤の顔を見ようとしたのだが、潤はフルフルと顔を横に振って俺に顔を見られるのを嫌がるのだった。
けれど、潤の紫色の綺麗な瞳からは大粒の涙がポロポロと溢れ出ており慌てて、
「潤っ!?
どうしたっ!?」
と聞いてみるのだが、潤はフルフルと顔を横に振るだけで何も言ってくれないのだった。
せっかく潤は空を飛ぶのを楽しんでいたのに、俺のせいで中断してしまったので潤は悲しんでいるのかも…。
あっ!!
大きな木の上まで行かなかったからそれが悲しかったのかもしれないよな…?
否…、高い所が苦手だなんてヘタレ過ぎて潤に幻滅されてしまった可能性もあるよな…?
ああ…。
俺と一緒に居るのが嫌になって泣いているのかも…。
グルグルと頭の中であれこれ考えながら、
「潤…。
ごめんな…。
俺のせいで大きな木の所まで行かなくて…。
それに潤がせっかく空を飛ぶのを楽しんでいたのを邪魔してしまったし…。
あと…」
「…っく…ぐすん…。
…ちがうん…です…。
しょ…おさん…。
と潤はそう言いながら俺の前に正座をして、頭を下げたのだった。
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俺の目の前で正座をした潤が紫色の綺麗な瞳からポロポロと涙をこぼしながら泣いていて、潤は、
「…っくっ…くずっ…うっうう…。
しょお…さん…ごめん…なさ…い…。」
と泣いて謝るばかりなのだ…。
「潤。
潤は悪くないよ。
俺が高い所が苦手なのが悪いんだよ…。
ごめんな、潤。
ほら、泣き止んでよ。」
と言い、潤の目元をそっと自分の人差し指で拭ってやり、
「高い所が苦手だなんて…格好悪くて…。
潤に言い出しにくかったんだよな…。
ごめんな…潤。」
と言うと潤はポロポロと涙をこぼしながらフルフルと首を横に振り、
「…っうう…うっうっ…ぐすん…。
しょお…さん…は…格好悪く…ない…です…ぐずっ…。
僕が…ちょうしに…のっちゃったから…。
しょお…さん…ごめん…なさい…。」
と言うと潤は俯いて更に泣き始めてしまったのだった。
「じゅーん。
潤は悪くないよ。
ほら、泣き止んでよ。」
と言いながら両手をそっと握ると潤の顔を覗き込み微笑みながらそう言うが、潤はなかなか泣き止んでくれず…。
「…しょお…さん…。
…ぼくのこと…きらいに…ならないで…ください…ぐずっ…。」
と言いながら泣く潤をそっと抱きしめると、
「じゅーん。
俺、潤の事を嫌いになんかならないよ。」
と潤にそう言うと、潤は涙で潤んだ紫色の綺麗な瞳で俺を見つめると、
「…ほんとう…ですか…?」
と聞いてきたので、
「ああ、本当だよ。」
とニッコリと微笑みながら潤にそう言うと潤は、
「…よかった…。」
とホッとした顔をしてそう呟いたのだった。
泣いている潤の顔を見ると悲しくなってしまい笑顔にしてあげたいと思う反面…。
俺の為に潤が泣いているのかと思うと…不謹慎なんだが…嬉しく思ってしまう自分もいて…。
そんな潤が愛おしくて…。
「潤…。
好きだよ…。」
と思わず言ってしまったのだった。
潤が驚いて涙で潤んだ瞳を大きく見開いて俺を見上げてくるのを見て…。
しまったっ!!
おれ、何言ってるんだよっ!?
男の俺に好きだと言われても潤は困るだけだし…それに気持ち悪いと思っているだろう…。
慌てて潤に、
「あっ、えっと潤…。
…今のは…無しという事で…。」
と言うと潤は、
「今のは…無しなんですか…?」
と紫色の瞳を潤ませながらそう聞いてきたので、うんうんと頷きながら、
「そう、無しという事でっ!!」
と言うと潤は、
「じゃあ…。
…しょおさんは…ぼくの事が…好きじゃないんですね…。」
と悲しそうな顔でそう言うとポロリと紫色の綺麗な瞳から涙がこぼれ落ちたのだった。
潤を泣かせてどうするんだよ、俺っ!?
「えっと…その…。
俺は潤の事が好きだよっ!!
でもそれは潤にとっては迷惑な事だと思うし…。
男の俺に好きだと言われても嬉しくないと思うし…迷惑だと思うし…。
だから俺が潤に『好き』と言ったのは無かった事にして貰いたくて…。」
と慌てて潤に説明をすると潤は泣きながら、
「っくっ…くずっ…。
…じゃあ…しょおさんは…ぼくのことが…好きなんですか…?」
と聞いてきたのだった。
潤の涙で潤んだ紫色の綺麗な瞳を見つめながら、
ふぅーーーーーーーーっ
と息を吐き出し、呼吸を整えて…。
「ああ…。
好きだよ、潤…。」
と言うと潤の頬に右手を沿わせると…。
潤の唇に自分の唇を重ね合わせたのだった。
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⭐to becontinued⭐
いつもお話を読んでくださって、ありがとうございます
ここ数日、潤くんがテレビにいっぱい出てくれて嬉しいですね
(まだ全部ちゃんと見れていないのですが…)
そ、そして…。
潤くんが翔くんの夜会に登場なんですね
う、嬉しいです
可愛い潤くんとデレている翔くんが見れるのを楽しみにしていますっ
そしてお話なのですが…相変わらずのノロノロペースですみません…
気長にお付き合いいただけると嬉しいです