アンティークショップ~紫の石~

































確かに…今、この部屋に流れているピアノの音色はたどたどしくてプロのピアノの音とは思えなくて…言われてみれば聞き覚えのある曲のような気もする…。



それにカセットデッキで流しているという事はカセットテープに録音されている音源な訳で…子供の頃父がよく俺のピアノの演奏を録音していたけれど…それが今ここにある筈はなくて…。





なぜなら実家に置いてあるからだ。









「はっ!?
どういう事?」



と理解出来ずにそう聞くと潤が、






「あ、今流しているテープはしょおさんのパパさんがこの間遊びに行った時にくれたんです。
『翔には内緒にしておいてね。』と言ってました。
子供の頃、しょおさんがピアノの練習をしているのを録音していたそうですっ!!
僕、このテープ聞くのが毎日楽しみで、まーくんといつもお料理を作りながら聞いているんですよっ!!
ねー、まーくんっ!!」



とニコニコと嬉しそうにそう言うと、まーくんも嬉しそうにニコニコとしながら、



「そうそうっ!!
潤ちゃんがとっても気に入っているんだよっ!!
僕もね翔ちゃんの弾くピアノの音が大好きになっちゃって、潤ちゃんと2人で毎日聞いているんだよねっ!!
ねー、潤ちゃん。」


と2人で顔を見合わせて嬉しそうにそんな事を言うもんだから、思わずつられて俺も笑顔で、



「そっか、親父からテープを貰ったんだ。
子供の頃の俺のピアノ演奏を気に入って貰えてよかったよ。」



そう答えたのだが…。





父が…?


潤に…?


俺の子供の頃のピアノの練習テープを潤にあげただとっ!?



冷静になって思わず、



「えっ!?
はっ!?何でっ!?」



と叫んでしまったのだった。
























アンティークショップ 〜紫の石〜 ㊸
































流石に子供の頃のピアノの演奏を流されるのは恥ずかしくて、



「潤、やっぱり…これは…。」


と言いかけると…。



ジッと俺を見つめる視線を感じて、その視線の先を見つめると…。






紫色の綺麗な瞳をウルウルと潤ませて俺を見つめる潤と、その隣には黒目がちな綺麗な瞳をウルウルと潤ませるまーくんが居たのだった。



2人は先程までの嬉しそうな表情とは打って変わって悲しそうな表情で、





「…しょおさん…やっぱり…ダメですか…?」



「…翔ちゃん…ダメなの…?」




と、今にも涙がこぼれ落ちそうな瞳で見つめてくるもんだから…、そんな2人を見ていると『ダメだ。』とは言えず…。





「…ダ…ダメじゃないよ。
ちょっとら恥ずかしいけど…潤とまーくんが喜んでくれるのならいいよ。」



と笑顔でそう言ってしまったのだった。




ああ…俺…。


何言ってるんだよっ!!


『恥ずかしいからダメだっ!!』と言えよっ!!


と心の中ではそう叫んでいたのだが…。



あんな悲しそうな瞳をした潤とまーくんには口が裂けても言えないし…。





俺のその言葉を聞いた2人は、



「「いいのぉーっ!!」」



「しょおさんっ!!」


「翔ちゃんっ!!」


「「ありがとうっ!!」」



と声を揃えてそう言い頭を下げると、



「よかったねーっ!!
潤ちゃんっ!!」



「はいっ!!
これからも毎日しょおさんのピアノが聞けますっ!!」


と言い、潤とまーくんは手を取り合ってピョンピョンと跳ねて喜んでいたのだった。


喜びながら2人はクルクルと回っており、そんな2人を見ながら、




ああ…。



あんなに喜んでくれる潤の笑顔が見れるななら『ダメ!!』だと言わなくて正解だったな。




と思いながら潤とまーくんを見つめていると、俺の視線に気付いた潤が、


「まーくん、ちょっとごめんね。」


と言い、まーくんの手をそっと外しトテテテテテテッと走って俺の方へとやって来ると、



「しょおさん、本当にありがとうございますっ!!」



と言いながらギュッと俺に抱きついてきたのだった。




ああ…。

本当に潤は可愛いな…。




と思いながら思わず笑みがこぼれ、


「ふはっ。
そんなに喜んでくれるのならよかったよ。」



と言いながら潤の頭を撫でてやると、潤は俺の胸元に顔を擦り寄せてきて、



「はい。
僕、しょおさんの奏でるピアノの音色が大好きです…。
それに、このテープ…。」



と言い潤が、


「ふふふ…。」



と微笑むと…。




『とりゃー!!とりゃー!!
とりゃー!!とりゃー!!とりゃー!!』



と言う声がカセットデッキから聞こえてきたのだった。





「はっ!?
はぁーーーーーっ!?
ちょっと待ってっ!!
これはちょっと…。」



と慌てて声を上げると、



「しょおさんの可愛い声も聞けるんですもん。」



と潤はそう言いながら俺の顔を見上げると、楽しそうにクスクスと笑っていたのだった。























アンティークショップ 〜紫の石〜 ㊸
⭐to becontinued⭐
















いつもお話を読んでくださって、ありがとうございます照れ


〝どうする家康〟のキャスト発表がありましたねキラキラ

キャストが豪華で今から楽しみですね音譜


ムロツヨシさんとの共演は個人的に嬉しいですチュー


そして出演者発表の記者会見の時の潤くんが素敵すぎてうっとしちゃいましたラブラブラブ




























https://twitter.com/nhk_ieyasu/status/1465244148097814532?s=20