アンティークショップ~紫の石~
えっと…?
これは…。
この状況は…。
と…。
目の前にある潤の綺麗な顔を眺めながら、頭の中は…パニクっており…今の状況を把握するのに時間がかかってしまい…。
この状況って…。
これって…。
これって…?
えっ!?
ええっ!?
えーーーーーっ!?
キ、キ、キ、キ、キス…されているよな…?
そっと触れるだけの軽いキスだが、潤の唇は俺の唇触れていて…。
潤はキスをする前に、
『…まーくん…。
…ズルいです…。』
と呟いていたがそれとコレとどう繋がるのが何が何だかパルプンテであって…。
でも…。
潤の唇…柔らかくて…気持よくて…それでいて…ずっとこうしていたいよな…。
と思ってしまい、目を瞑り潤の唇の感触を味わっていると…。
「あーっ!!
やっぱりジュンちゃんも気になったんだーっ!!」
と言うまーくんの声と、
「あ、こらバカッ!!
まーんくん待てってっ!!」
と慌てるカズの声が聞こえたのと同時に、パッと目を開けると潤の唇から自分の唇をそっと離すと、潤の閉じられていた瞼がゆっくりと開き、紫色の綺麗な瞳がゆらゆらと揺れていて…。
その瞳にはもう涙は浮かんでいなかったが、名残惜しそうに俺の唇をジッと見つめながら、ほんのりと頬を赤らめている潤が愛おしく感じて…。
「潤…。」
と潤の名を呼び潤の頬にそっと自分の右手で触れるのと同時に、
「やっぱりそうなのかなー…?
ジュンちゃんも気付いたっ!?」
と言うまーくんの声が間近に聞こえたので、慌てて潤の頬から自分の手をそっと離したのだった。
「もうっ!!
まーくんっ!!」
とまーくんを追いかけてきたカズもやって来て、カズの方へと顔を向けるとカズは気まずそうな顔をして、
「翔ちゃん…邪魔してごめんね…。」
と小さく呟いたのだった。
アンティークショップ 〜紫の石〜 ㊵
まーくんが潤に、
「潤ちゃんっ!!
やっぱりそうだよねっ!?」
とニコニコと微笑みながら話しかけるが、潤は頬を膨らませてジッとまーくんを見つめた後(もしかして睨んでいるのかも…?)、ぷいっと顔を逸らすとギュウッと俺に抱きついてきて、
「まーくん、ダメですっ!!」
と顔をフルフルと横に振りながらそう言ったのだった。
そんな潤を見たまーくんは、
「えっ…?
ジュンちゃん、僕…何がダメなの…?」
と黒目がちな瞳を悲しそうに潤ませながら、潤にそう聞いたのだ。
あんなにまーくんと仲良くしていた潤が急にまーくんに対しての態度がおかしいので、
「潤…。
どうした…?」
と聞くと潤は俺に抱きついたまま、
「…まーくんは…。
…しょおさんに近付いたら…ダメなんですぅ…。」
と言い…。
「「えっ!?
何でっ!?」」
とまーくんと声を揃えて潤にそう聞くが、潤は何も答えてくれずただ頬を膨らませたままで…。
どういう事っ!?
と思っていると見かねたカズが、
「さっきまーくんが翔ちゃんの顔を覗き込んでいたのが原因なんじゃないんですか?
…2人ともチューしているのかと思いましたもん…。
ねー、ジュンくん。」
とカズがそう言うと潤はコクッコクッと頷き、
「…していまし…た…。」
と紫色の綺麗な瞳に涙を浮かべてそう言ったのだった。
潤のその発言を聞いた俺とまーくんは驚いて、
「はっ!?」
「えっ!?
と声を上げた後、慌てて両手をブンブンと左右に振りながら、
「「チューなんかしてないしっ!!」」」
と叫んだのだった。
するとカズが、
「そう見えたよねー?
ジュンくん。」
と余計な事を言うもんだから、潤の瞳から涙がこぼれ落ち…コクンッと頷くと潤は俺に抱きつく指にギュッと力を込めて、
「ゔっゔゔ〜…。」
と泣き始めてしまったのだった。
そんな潤を見たまーくんが慌てて順に駆け寄り、
「ジュンちゃんっ!!
僕、翔ちゃんにチューしてないからねっ!!
誤解だからっ!!
僕がチューをするのはカ…ズ…ごふっ…!!」
と言っていたかと思うと、何処からか木彫りのウサギが飛んできてまーくんのみぞおち辺りに命中をしたのだった。
「まーくん、余計な事は言わないっ!!」
と言うカズの左手には魔法の杖が握られていいて…。
やっぱりカズは仕業か…。
と思い、カズの顔をチラリと見ると…。
カズは耳まで真っ赤にしていて、
えっ!?
何で…?
と思っていると、
「ゴホッゴホッ…いったぁ…。
カズくん…ひどいよぉ…。」
まーくんは涙を溜めながらみぞおちを押さえてカズにそう訴えると、カズは左手に持った魔法の杖で右手の手のひらをポンポンと叩きながら、
「まーくんちょっと黙ろうか?」
とニッコリと微笑んでそう言ったのだが…。
さっきまで顔を耳まで赤らめていたカズとは打って変わって…。
カズの目は笑っておらず…。
こっわっ!!
と思っていると…。
まーくんもカズのその顔を見て、喋るのをぴたりとやめたのだった。
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