アンティークショップ~紫の石~






































「カズ。
『チッ』って何だよ。
それよりも一体なんなのか説明をして貰いたいんだけど。」



と言うと潤も、


「カズくん。
僕も知りたいです。」


と興味津々で紫色の綺麗な瞳をキラキラとさせながらカズにそう言うと…。




カズは、はぁーっと大きなため息をつくと、


「ジュンくんまで…。」


と呟き、


「う〜ん…。」


と悩んでいると、



「カズくん、持ってきたよーっ!!」


と、まーくんがいつの間にやら丸められた大きな紙を手にしていたのだった。



「ちょっとっ!!
まーくんのバカッ!!
何持ってきてるんだよっ!!」



とカズが慌ててまーくんが手にしている丸められた紙を取ろうとするが、まーくんの方が背が高いので両手を上に上げている状態で丸められた紙を持つとカズは取る事が出来ず、


「まーくん、それ返せよっ!!」



と言うがまーくんは、



「カズくん、ちょっとくらいいいよね?」


とニコニコと微笑みながらそう言うのだった。




「それ、なに?」



と聞くと、


「これは…「分かったよ、まーくん。
それを翔ちゃんとジュンくんに見せてもいいよ。」」


まーくんが説明をしてくれようとしたのだが、カズがまーくんが喋っているのを遮ってそう言ったのだった。



「まーくん、その代わり…。」



とカズはニッコリと微笑むと箸の様な棒を左手にいつの間にか持っていて、


「NAUIHATOKONAIKEYO!!」


と言いながらまーくんに向かってその棒を振りかざしたのだった。

















アンティークショップ 〜紫の石〜 ㉞





















「IKOYORUBUーTE!!」


とカズが店内に向かって例の箸の様な棒を振りかざしながらそう叫ぶと、店内の奥の方から大きなダイニングテーブルがズズッズズズ…と音を立てながらこちらに向かってやって来たのだった。




テーブルが勝手にこちらに向かって来るので驚き、カズに向かって、

「はっ!?
どういう事っ?」

と聞くが、カズは相変わらずニコニコと笑顔の仮面のまま何も説明をしてくれず、テーブルが俺達の近くまで来るとカズは、


「まーくん、地図を広げて。」


と言うとまーくんは待ってました!!と言わんばかりにバサァッとテーブルの上に地図を広げると、


「カズくん、これでいい?」


と聞くとカズは、


「まーくん、ありがとう。
大丈夫だよ。」


と答えたのだった。










地図って一体何の地図だよ?



と思い、まーくんがテーブルに広げた地図を覗き込んで見たのだが…。




その〝地図〟と言われる紙には何も描いておらず、ただの無地の紙だったのだ。


会議なんかで使われるホワイトボードくらいの大きさの長方形の形をしていた。


紙はわら半紙の様な素材でかなりの年数が経っているらしく紙全体が黄ばんでおり特に端の方は茶色っぽい色になっていて、ただの古びた紙にしか見えなかったのだ。



「あのさー、カズ。
これのどこが地図なんだよ?」


とカズに聞くと潤も俺の隣でうんうんと首を縦に振りながら頷いていた。



そんな俺達を見たカズは、


「んふふふふふ。
そりゃあ、これは特別な地図だからね。」


と楽しそうに笑いながらそう言ったのだった。








「この地図に描かれている世界は…。」


と言うと、左手に持った箸の様な棒をテーブルの上に広げられた紙に振りかざし、


「神々が住んでいる〝神界(しんかい)〟」


と言うと、その紙の上の方の位置に紙を焼いたかの様な煙が上がったかと思うと、茶色く焦げたかの様な色の三角形の図面が現れたのだった。



「へっ!?
何?今の?」


と聞くと、まーくんが、

「翔ちゃん、これが地図だよ。」


とニッコリと微笑んでそう言ったのだった。



カズは〝神界〟と言って現れた図面の左横を箸の様な棒で振りかざし、



「天使達の住む〝天界(てんかい)〟」


と言うと再び煙が上がり、茶色く焦げた様な色の三角形の図面が再び現れた。




〝神界〟の右横を箸の様な棒で振りか指しながら、



「悪魔達の住む〝魔界(まかい)〟」

と言うと再び煙と共に三角形の図面が地図の上に現れた。



その後も、



「妖精達の住む〝妖精界(ようせいかい)〟」




「そして…魔法使い達の住む〝魔法界(まほうかい)〟」



と言い、箸の様な棒を地図に振りかざし、〝天界〟の下の部分には〝妖精界〟が現れ、〝魔界〟の下には〝魔法界〟が現れた。


その五つをよくよく見ると星の形になっていて、その星の真ん中は空洞になっている事に気付き、


あの部分はなんだろう?



と思っていると、



「その5つの世界の中央に位置するこの場所が〝幻想の森〟」


とカズが言うと地図の中央には小さな木々に囲まれたミニチュアの街が現れたのだった。



「森といっても木々に囲まれた街なんだけどね…。」



とカズは呟きを、地図全体を琥珀色の潤んだ瞳で見つめると、






「これらの全てを合わせて〝ファンタスティックワールド〟って言うんだよ。」




と言いながらカズは左手に持った箸の様な棒を地図全体に振りかざすと、地図の右上には




〝Fantastic World〟



という文字が浮かび上がり、星の形をした図面がキラキラと輝くと、〝神界〟は黄色、〝天界〟は青色、〝魔界〟は赤色、〝妖精界〟は緑色、〝魔法界〟は紫色に輝き、よくよく見るとその中には小さな小さなミニチュアの街が出来上がっていたのだった。


















アンティークショップ 〜紫の石〜 ㉞
⭐⭐to becontinued⭐⭐